キングダム
潼関の戦い特集




はじめての三国志

menu

執筆者:kawauso

【李傕・郭汜祭り 6日目】全員悪人の例外?献帝を保護するつもりだった段煨(だんわい)

この記事の所要時間: 350




 

李傕(りかく)郭汜(かくし)祭に登場する人々は、被害者の献帝を除けば、

弁護したくもなくなるような、残虐な悪党揃いでリアルアウトレイジなのですが、

どんな世界にも例外は存在するようで、これから紹介する段煨(だんわい)などは、

あの董卓(とうたく)の配下とは思えないようないい人でした。

そして、段煨の生涯は、人間良い事はするモノだなあとしみじみ思わせる

結末になっていたのです。

 

前回記事:【李傕・郭汜祭り 1日目】凶悪!董卓を上回る暴君李傕の履歴書

前回記事:【李傕・郭汜祭り 2日目】凶暴さでは李傕に劣らない郭汜のバイオレンスライフ

前回記事:【李傕・郭汜祭り 3日目】殺されてしまった悲劇の樊稠(はんちゅう)

前回記事:【李傕・郭汜祭り 4日目】献帝帰還の功労者の惨めな最期 張済(ちょうさい)

前回記事:【李傕・郭汜祭り 5日目】董卓の仇も討てず、気弱な李傕郭汜の上司 牛輔(ぎゅうほ)




涼州武威郡の人、段煨忠明

 

段煨忠明(ちゅうめい)は、涼州武威郡に生まれます、生年は明らかではありません。

それ以前に名が伝わっているのは珍しいと言えるでしょう。

 

これは、段煨が後に魏に仕えて大鴻臚(だいこうろ)、光禄大夫(こうろくだいふ)に

任じられ、闅郷(びんごう)侯に封じられて位人臣を極めたからです。

ちなみに、段煨の同郷人には涼州DQN軍団の一人張済(ちょうさい)がいます。




孫堅の侵攻に備えて華陰に進駐した段煨

 

西暦191年、反董卓連合軍で実質的に動いたといえる群雄、

孫堅(そんけん)は、陽人城でで呂布(りょふ)と胡軫(こしん)を撃破し、

副将だった華雄(かゆう)を捕えて縛り首にしました。

これに衝撃を受けた董卓は、孫堅を懐柔しようとし失敗すると

洛陽を焼き払い長安へと遷都してしまいます。

 

しかし、さらに孫堅が追撃することを恐れた董卓は華陰に中郎将の段煨を

配置して、東方の守りとしています。

同じように董卓は陜には牛輔(ぎゅうほ)を置いて反董卓連合軍に備えていました。

 

熱き漢たちが今年の夏も躍進する 李傕・郭汜祭り

 

掠奪をせず地道に開墾をして自給自足していた段煨

 

「ないモノは奪えばいいんだよぉ!ヒャッハー!!」というのが、

涼州DQN軍団の傾向なんですが、段煨は奇跡的にそういう事をしませんでした。

彼は掠奪どころか、華陰では開墾して農地を広げひたすらに自給自足します。

やがて、董卓が呂布に殺されて、同僚の李傕郭汜が長安に攻め込む事態になっても

段煨は、まるで動こうとはせず、董卓に言われた通りに華陰を死守します。

というより、董卓の仇討ちにも参加しない所を見ると、とっくの昔に、

董卓を見限っていたようです。

 

西暦195年11月 献帝の東遷の一行が通過すると知り歓迎に向かう

 

西暦195年の11月、献帝の一行が内戦で荒れ果てた長安を出発し、

東遷(とうせん:東に移動)する事になります。

この時点では献帝一行は洛陽ではなく、張済の本拠地、弘農へ向かっていましたが

それを知った段煨は、尊皇心が篤い人だったのか、是非、華陰で休んで頂きたいと

衣服などを携えてやってきたのです。

 

しかし、献帝の一行には、段煨と仲が悪い楊定(ようてい)が含まれていました。

その楊定を見た段煨は、献帝の前でも馬を降りずに警戒してしまいます。

楊定と仲が良い侍中の种輯(ちゅうしゅう)がそれを見咎めて

献帝に「段煨は帝に反逆しようとしています」と讒言、

 

さらに、段煨に献帝を奪われる事を警戒した董承(とうしょう)も楊定のサイドに立ち

「段煨の陣営に郭汜が700騎を連れて入ったようです」と献帝に嘘を言い

疑心暗鬼に陥った献帝は段煨の要請を断り、華陰を通過する事になります。

 

段煨、楊定と合戦 李傕郭汜の援助を受けて撃破する

 

その途中、段煨は楊定と武力衝突を引き起こし、献帝一行は慌てて出発しました。

ですが、最期の最期まで、段煨の振る舞いには無礼な所は無かったようです。

楊定と戦っている途中、リベンジに燃える李傕と郭汜の軍が舞い戻り、

段煨に加勢して楊定を撃破、敗れた楊定は荊州に落ちのび行方不明になります。

 

ここで、段煨は思わぬ人物を配下にする事になります。

献帝に印綬を返上して華陰に残った賈詡(かく)でした。

 

段煨に恐れられている事を知った賈詡は張繍を頼る

 

段煨は賈詡を厚遇しますが、あまり信用してはいなかったようです。

なにしろ、その時点でも賈詡は、牛輔、李傕と主君を変えていますし、

その神算鬼謀は底知れないと言われた策士、いつ自分の地位を脅かすかと

不安になったのでしょう。

それを察知した賈詡は、宛に割拠した張繍(ちょうしゅう)を頼り段煨の元を去ります。

この辺りの逸話を見ると、段煨の器量は小さく、群雄として天下を争うには、

力不足だった事が窺えます。

 

しかし、賈詡を恐れて好待遇を施しただけあり、賈詡が置いていった

賈詡の家族の面倒は、今後の事も考えて手厚く見ていました。

そのあたりの人を見る目は充分にあったのです。

 

謁者僕射の裴茂に従い、李傕の誅滅に力を貸す

 

西暦198年、献帝を保護した曹操(そうそう)は、謁者僕射(えっしゃぼくや)の

裴茂(はいぼう)に軍勢を与えて、李傕一味の討伐を命じます。

 

その途中で段煨は華陰から裴茂に従い、共に李傕・郭汜を討伐しました。

コツコツと華陰を開発していた涼州騎兵らしくない段煨は、その後曹操に帰順。

曹操も段煨の業績を評価して、大鴻臚、光禄大夫の地位に上ります。

これは九卿であり、高級官僚と言えるポストでした。

 

段煨は、赤壁の戦いの翌年、西暦209年に死去していますが、

李傕、郭汜、張済、董承のような人々が全て、終わりを全うしていないのに比べ

万事に慎重で残虐な振る舞いの無かった段煨は、穏やかな最期を迎えました。

 

[李傕郭汜祭]kawauaoの独り言

 

段煨は、涼州人は涼州人でも、一定の教養を持つ人だったかも知れません。

曹操に帰順してから与えられた大鴻臚のポストは外国使節の応接の仕事で、

やはり教養がないと務まらないからです。

 

涼州人にも皇甫酈(こうほり)のような知識人もいたので、

董卓に仕えていたとはいえ、元々が山賊に毛が生えたような李傕や

郭汜のような連中とは、段煨は身分階層が違っていたのでしょう。

 

次回記事:【李傕・郭汜祭り 7日目】最期の勝者?仲間達を蹴落し勝ち残った董承(とうしょう)




kawauso

kawauso

投稿者の記事一覧

三度の飯の次位に歴史が大好き

10歳の頃に横山光輝「三国志」を読んで衝撃を受け
まずは中国歴史オタクになる。
以来、日本史、世界史、中東、欧州など
世界中の歴史に興味を持ち、
時代の幅も紀元前から20世紀までと広い。
最近は故郷沖縄の歴史に中毒中、、

好きな歴史人物:

西郷隆盛、勝海舟、劉邦、韓信、、etc

何か一言:

歴史は現在進行形、常に最新のジャンルです。

関連記事

  1. 【キングダム】楊端和(ようたんわ)は実在した女将軍?史実を元に徹…
  2. 128話:諸葛亮孔明、ついに五丈原に堕つ・・
  3. 秦の始皇帝ってどんな人だったの?幼少期編
  4. 【教科書に載らない歴史ミステリー】徐福は神武天皇になったってホン…
  5. もし大政奉還が成功していたら日本はどうなった?
  6. 19話:超豪華!反董卓軍の英雄達
  7. 【八陣図】三国志の戦術マニア必見!少ない兵力を多く見せる必殺疎陣…
  8. 昌豨(しょうき)が凄い!あの曹操が5回攻めて勝てなかった乱世の黒…

google検索フォーム

過去記事を検索できます

ピックアップ記事

おすすめ記事

  1. あれほど豪華なメンツが揃っていた反董卓連合軍が董卓に負けた理由
  2. 西郷慎吾(従道)はどんな人?大器だが能天気な西郷どんの弟 西郷従道 幕末
  3. 【ビジネス三国志】孟獲から学べ!相手の心を掴むビビッドなキャッチコピー
  4. 【ドラゴンブレイド番外】古代ローマ版曹操?カエサルの生涯が凄すぎる
  5. 後継者争いは出来レース?曹丕が皇帝に就くことは生まれる前から決まっていた
  6. 関羽、曹操に取りあいをされた人妻 杜夫人

三國志雑学

“はじめての三国志150万PV" はじめての三国志コミュニティ総合トピック
“広告募集"

はじめての三国志 書籍情報


著:kawauso 価格480円
※Kindle読み放題対応

ピックアップ記事

おすすめ記事

王淩(おうりょう)とはどんな人?魏の忠臣として、司馬家の専横を許さなかった知勇兼備の将 象さんが最初に日本に来たのはいつ?【はじ三ヒストリア】 ゴールデンカムイネタバレ予想 127話 本当のチタタプ 【三国志平話】三顧の礼の諸葛亮が仙人で居留守 【キングダム】用心深い男、王翦の幸せな最期を大胆予想 祝融と孟獲三国志最強仲良し夫婦の面白エピソードとは 朝まで三国志2017 三国志の最強軍師は誰だ! 第4部 漢の時代の役人はこんなに大変!貧乏になると首って本当だったの?

おすすめ記事

  1. 三国志演義が詳細に描く諸葛孔明の病状とはどんなモノ?
  2. 【週間まとめ】はじめての三国志ニュース17記事【10/24〜10/30】
  3. 李儒(りじゅ)とはどんな人?董卓の恐怖政治を参謀として支えた謎の軍師
  4. 【お知らせ】はじめての三国志が有料記事の単品販売を開始 三国志をより深く知る 特集noteバナー(有料)
  5. 【知りたくなかった!】本当は書くほどの内容でもない赤壁の戦い
  6. 袁術は実はベトナムに逃げ延びていた!?【歴史ミステリー】
  7. 【素朴な疑問】三国志時代はどうやって兵士を集めていたの?
  8. 呉をもっと知りたい貴方へ!これで呉の性格が分かる!呉のトリセツ紹介

はじさん企画

袁術祭り
李傕祭り
帝政ローマ
広告募集
まだ漢王朝で消耗してるの?
HMR
ライフハック
君主論

ビジネス三国志
春秋戦国時代
日常生活
曹操vs信長
架空戦記
ライセンシー
北伐
呂布vs項羽
編集長日記
はじめての三国志TV
“曹操孟徳" “黄巾賊" “赤壁の戦い" “THE一騎打ち" “夷陵の戦い" “kawausoのぼやき記事" “よかミカンのブラック三国志"
“西遊記"

“三国志人物事典"

PAGE TOP