非常にお久しぶりです。ご無沙汰しております、草津仁です。
現実のあれやこれやでなかなか原稿に取りかかれずにいたのですが、
やっと一本漫画のレビューが完成しました。
題材は白泉社のLaLaという少女漫画雑誌に大絶賛連載中の少女漫画、
『劉備徳子は静かに暮らしたい』です。
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この記事の目次
『劉備徳子は静かに暮らしたい』はどんな漫画なの?
この漫画の中身は、まあ簡単です。
三国志の武将たちが現代に生まれ変わった!
そして高校で同じ学校に!これで何も起こらないはずがない!?という、
まあ同○誌でよくあるパターンのものです。
しかし、一つだけ違っているのは、この漫画では何故か、
君主たち(孫策除く)のみ、女の子に生まれ変わってしまったというところ。
前世からの忠誠心や恨みに更に現代の男女としての恋心も加わり、話は更にややこしくなっていきます。
少女漫画や男女の恋愛アレルギーを起こしているそこのあなた!
さて、『少女漫画』『男女の恋愛』と聞いて、
「自分には無理だっ!」と思っているはじ三読者の皆さんは多いと思います。
ですが、必ずしもそうとはかぎりません。
たとえば、草津仁自身も、
LaLaコミックスなんてピュアッピュアな少女漫画を読んでいたのは遥か昔、10年ほど前のこと。
「今の私には読めないのでは?」と思いましたし、
事実、読み進めていくのにたいへん時間がかかりました。
ですが、ハイテンションなときに、少女漫画パートをいっそギャグだと割り切って読んでしまえば、
ところどころに散りばめられた三国志の結構ディープなネタから、
作者は相当な三国志ファンだと分かりますし、
決して読むのは不可能ではありません。
たとえば、どんなものなのか、1巻の表紙を例に挙げて説明してみましょう。
劉備徳子は静かに暮らしたいの1巻 表紙からわかる作者・仲野えみこの三国志愛
1巻の表紙にいるのは、男子が2人に女子が1人。
君主が女の子に生まれ変わっていることとタイトルからするに、
中央のツインテールの女の子が転生した劉備だと分かります。
そして、これは何となく見れば分かると思うのですが、
向かって左側が転生した関羽、右側が張飛。背景は中華っぽい柄です。
しかし、今注目すべきは、背景に咲いている花々。
ピンク色のそれらは、何を隠そう、そう、桃の花です。
桃の花と言えば、劉備たち義兄弟’sの桃園の誓い。
この表紙は、それを意識して描かれていることがわかります。
各所に散りばめられたこうした三国志ネタを見つけ出していくというのも、
読み方のまた1つだと、私は思います。
事実、結構マニアックなところまで盛り込まれたネタは、私でさえ「そんな描写あったっけ?」
と首を傾げてしまうものも。
やっぱり、作者は相当な三国志ファンに違いありません。
まあ、百聞は一見にしかずと言いますし、それでは、
『劉備徳子は静かに暮らしたい』に登場する転生した武将たちについて、
1巻に出てくるキャラクターのみ、軽く紹介してみましょう。
劉備徳子は静かに暮らしたい『蜀』
・劉備 徳子(=劉備):この作品のヒロイン。
前世で仁の人だったように、現世でも「小さな親切」をするのが好き。
ちなみに、本人のポリシーとしては、あくまでもその親切は「バレないようにする」。
大人しい性格の割に金髪ツインテールだが、
これは少女漫画ではよくあることなので気にしてはいけない。
非常に目立たないようにしているが、
それは、「前世では自分が名乗りをあげたからこそ、乱世がより悪化したのだ」と
自覚しているから(この設定はなかなかよくできていると思います。
私が引っかかっていた点をスパッと解決してくれました)。
しゃべり方がややオッサンくさい(中世的)だが、
私服は意外にも可愛い(なんとなくダサいと思っていました……)。
目立ちたくないので、操や権にはあまり教室に来てほしくない。
・関 羽道(うどう)(=関羽):この作品の男性サイドの主人公。
性格がイケメンだった関羽は、現世ではイケメンに生まれきたらしい。
つまり今は……考えないようにしよう。
文武両道なのは、いつか現世で劉備に再会したときに、
お前などいらぬと言われないためらしい。
徳子が劉備だと気付いた途端に思わず教室のど真ん中で跪いたり、
作品途中まで徳子を「兄者」と呼び続けたりと、かなりの天然。
高いステータスの割に、童貞力は53万。
・張 飛虎(ひこ)(=張飛):徳子とは幼なじみで、兼保護者。
徳子と関が天然設定だからか、お前本当に張飛かよ!?
とツッコミたくなるくらいにしっかり者。
もしかしたら生まれ変わって一番人格が変化したキャラクターかもしれない。
飛虎、お前、生まれ変わってから何があったんだよ。
人間関係の範囲も広く、情報通な一面も。お前本当に張飛か?
よく紙パックジュースを飲んでいるのは、酒の代わりらしい。
・黄瀬名(きせな) 忠(ただし)(=黄忠):作中でちょっとだけ登場。
何故かこの人だけおじいちゃんだけど、まあ黄忠っておじいちゃんなイメージがあるよね。
徳子たちが通う高校の、用務員さんと思われがちな古株教員。
古株だけあって、一定の影響力があるらしい。
劉備徳子は静かに暮らしたい『魏』
・曹司 操(そうじ みさお)=(曹操):生まれ変わっても
やっぱりどこかで覇権を握ろうとする、この高校の生徒会長。
黒髪ストレートロングにスレンダーな体、プライドがエベレストと、
この作品の女子キャラ中一番の萌えキャラ。
もちろん、美人。
転生しても、やっぱり劉備を敵視している。
漫画のなかの生徒会は何かと権力が大きい(今の現実の高校では、
校則を変える時は、生徒に図ってから変えるよね……)が、
この漫画の中の生徒会もそのタイプ。
教師にも一定の影響力があるらしい。
・夏侯 惇(あつし)(=夏侯惇):生まれ変わっても
年中片目眼帯(本人曰く、目玉を食べちゃったとかではなくものもらいだから)の、操の右腕。
中身は前世とそんなに変わらない、無口でクールなイケメン。
だが、どうやら内には熱いものを秘めているらしい。
夏侯惇って、たいていどの日本の作品でも性格変わりませんよね……。
操に忠実だが、時々、お守役かな?と思う時がある。
・司馬田 懿作(いさく):仮病で保健室に閉じこもり続ける(この設定も司馬懿っぽくてすごく好き)、
一応魏の側の人間。本気を出したら周より頭が良いらしい。
なんかムカつく(草津仁は周瑜狂)。
飄々としていて掴みどころがなく、操のことも「操ちゃん」と呼ぶなど、
不遜な態度も垣間見せる(この設定もすごく好き)。
もしかしたら、前世の設定が現世で一番活かされているキャラクターかもしれない。
個人的には「何故に郭嘉とかではなく司馬懿?曹操の時代は才能を活かせてないのに?」とも思うが、
おそらくそのうち諸葛亮と頭脳戦を繰り広げることになるのだろう。
ちなみに、兄の名前は司馬一朗(=おそらく司馬朗←史実における司馬懿の兄)。
劉備徳子は静かに暮らしたい『呉』
・孫市 権(はかり)(=孫権):おっとり可愛い系の、孫市貿易のお嬢様。
甘えたちゃんで、この子が机断ち切ったりしたとは思えないが、
おそらく兄が存命のため、甘やかされて育ったのであろう。
黄蓋寺さんの態度を見ていても、甘やかされているのが分かる。
せっかくみんな揃ったのだから、
前世とは違ってみんなで仲良くやりたいという、非好戦的な立場にいる。
この設定、攻撃されたり領土を奪われない限り戦いをしようとせず、
兄から受け継いだ領土だけを守ろうとした孫権らしいと個人的には割と好き。
でも友だちがいない。ちなみに、兄も勿論、転生した孫策。
こちらは「お前どうした」という性格になっているので、乞うご期待。
・周 瑜月(あまね ゆづき)(=周瑜):権の兄に言われてビジネスライクに
権の面倒を見ている(この設定では「周瑜の主はあくまでも孫策」という印象を受けるので、
若手の呉メンバーと軋轢が生じるのではとちょっと気になる)、と自分では主張する、クールな毒舌家。
その実、権曰く、「権とは恋愛禁止と言われているため、
権が周を好きにならないようにしているのでは」。
勿論秀才。その適当気味な敬語喋りには、「周瑜はそんな喋り方しないっ」と
思う人も結構いるかもしれない(草津仁も慣れなかった)が、周瑜だし、何か理由があるのかもしれない。
権にも結構容赦ないことを言ったりするが、これは上記の通り。
前世が美周郎だけあって、眼鏡を外すと作中一番の美形。
なお眼鏡を外した姿はそのうち見られる。部活はもちろん雅楽部。
黄蓋寺さん(=黄蓋寺):いつも権の椅子になっている、
権の執事(高校に執事連れてきていいの?というツッコミは禁止)。
非常に無口。椅子になっているのは、公式サイトによればマゾだかららしいが、
その原因が前世の赤壁の戦いにおける苦肉の策にあるとしたら、周瑜がとっても罪深いことに。
……とまあ以上が1巻の登場人物です。2巻になると更にキャラクターが増えますが、
とりあえず1巻時点で止めておきましょう。
では、最後に、次回予告風にそれぞれの話の内容をちらっと紹介して、終わらせてもらおうと思います。
劉備徳子は静かに暮らしたい 1巻 プチネタバレ
・第1話
ここは、とある普通の高校。
しかし、そこには転生した三国志の武将たちの姿があった。
敵対したりしつつも何とかバランスを保っていた彼らの関係だったが、
そこに転生した関羽が転入してきたことにより、運命の歯車が回り始める……!
・第2話
「生徒全員が何らかの部活に入らなくてはならない」。
前話で操が決めた校則を辛くも乗り切った徳子であったが、
今度は「何の成果も残していない部活はおとり潰し」という無情にして無茶過ぎる校則を操が決定。
徳子はまたまたピンチに陥る。
さて、徳子は、この危機をどうやって乗り切るのか……!?
・第3話
意外な人物の登場でまたもや危機を乗り切った徳子たちであったが、
今度は「同好会=学校側から部費がおりない」というリアル過ぎる危機に陥る。
部費を稼ぐためにわらじを編む……
ではなくバイトを始めようと決心した徳子に声をかけてきたのは、意外な人物で……。
今度は少女漫画らしくカフェにてバイト!可愛い制服姿の徳子とついでに操がお目見え、
更に現世でも無駄に強い臣下たちの貴重な見せ場もある、楽しい回です!
・第4話
金銭面の問題も無事解決し、部活に使う道具を買いに行くことにした徳子たち。
しかし飛虎に突然部活が入ってしまい、急遽徳子と関の2人で買い物に行くことに。
男女2人での買い物……これってデート!?
意識してしまう童貞力53万の関と徳子を、案の定、次々とハプニングが襲う……!
少女漫画によくあるの○○○○を早くもしてしまう、
ベタベタな少女漫画回、苦手な人はいっそギャグだと思って乗り切りましょう!
・第5話
前回のデート?で起きたハプニングにより、「忠誠心とは……?」
と思い悩み始めた関。出くわした周に尋ねてみてもより疑問は深まるばかりで思い悩んでいたところ、
意外な現場に出くわしてしまう……! 関、夏侯それぞれの思いが明らかになってくる、
前話に続いてベタベタな少女漫画回です! 視点が関にあるのだけが唯一の救いかも!?
そして、巻末では、三国志には欠かせないあの人物が、満を持して登場します!
もちろん2巻では、彼が事態を更にひっかき回すことに……!
以上、次回予告風のあらすじでした。
三国志ライター 草津仁秋斗の独り言
あらすじにも書いたとおり、少女漫画はやっぱり少女漫画なんですが、
忠誠心×恋心や前世からの因縁が尾を引いた微妙な人間関係という
三国志転生ものだからこそ味わえるひと味違った恋愛が楽しめるので、
ベタベタな展開をギャグとして乗り切れれば、割と恋愛も楽しめます。
特に恋愛度が高い部分は視点が男子キャラに
視点が移り変わる(とは言っても女子が夢見る男子の視点ですが)ので、
普通の少女漫画よりはまだ読みやすいかもしれません。
しかし、最後に重要な注意点を。
今まで腐った目で三国志を楽しんできた方々においては、
「この組み合わせは私の解釈とは違う!!」が生じる可能性が極めて高いので、
もうその点は割り切ってお読みください。
どうしても自分の思い通りにしたい場合は、更に二次創作してお楽しみください。
大丈夫です、某大型イラスト及び小説投稿サイト?には、早くも二次創作が存在しております……!
でもキャラクターの解釈違いは、「転生してから色々あったんや」と、もう諦めてくださいね!
2巻を読んだら爆死すると同時に「二次創作してやる……!」
となるゾンビのような腐り人がたくさんいると、わたくし、信じております!
では、百聞は一見にしかず、このレビューを読んで気になった人は、
密林またはちかくの本屋にて、是非とも探してみてください!
以上、草津仁でした!
劉備徳子は静かに暮らしたい 2巻発売日
2017年8月4日にamazonにて販売中。
あらすじ:
元・三国志武将のゆるっと高校生活★ 恋の軍師も参戦!!なぜか日本に転生した、魏呉蜀の英雄たち。
しかも曹操・孫権・劉備はJKに!! 小学生の諸葛亮が仕掛ける恋の兵法に高校生組は翻弄され……!?
さらに権の兄・孫策の船上パーティや体育祭と、
2巻も三国が大激突★ いま試される忠誠心……!!
2017年8月刊。
画像引用元:公式サイト
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