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劉備と徐庶との最初の出会いは?夜に隣室から漏れ聞こえてきた会話から始まった?

2019年4月20日


 

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司馬昭

 

これは必ずしも万人の賛同を得られるわけではない話かもしれませんが・・・。

修学旅行や林間学校で、夜にホテルで学友たちと寝ている時に出る会話って、めちゃくちゃ楽しくないですか?

 

曹操

 

友達の、普段とは違う顔が見られる、というだけではなく、そういう時に出てくる会話には、思わぬ本音や、意外な想いが込められていたりして、スナオに感動的だったりします。

 

私にも、忘れられない思い出があります。旅館の部屋にグループで泊まっていた時のこと。

ふと夜中に布団の中で目を覚ますと、学友たちのうちの何人かが、まだしつこく起きていて、部屋の隅っこに集まって、小声で話をしている。

 

耳を澄ませると、どうやら、クラスメートの寸評をしているらしい。

「〇〇って、こういう奴だよな」

「〇〇には、こういうところがあるよな」

などなど。いい評価を受けている人もいれば、悪い評価を受けている人もいる。

 

寝たふりをしながら聞き耳を立てていると、ついに私の名前があがりました。基本的には、やはり、ちょっとした悪口から、始まる。

多少、グサグサと突き刺さるところも多く、「存外、聞いているの、しんどいな」と思っていると。

 

「でも、あいつ、みんなの見てないところで、こんなことをしていたよな」

「そうだよな、それから、体育祭の準備の、あのとき、いい動きをしていたよな」

などなど、聞いているこちらも驚くほど、良いところも見つけ出してくれていて。

 

たった、それだけの話なのですが、なんかいい話を聞いたような気持になり、布団の中で、胸がじいんとしてしまった、そんな思い出が、あります。

 

 

 

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監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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劉備と徐庶の出会いは、隣の部屋から聞こえる夜話から始まった

関羽、劉備、張飛の桃園三兄弟

 

さて、概して、少年の心を熱くさせる展開の多い、『三国志演義(さんごくしえんぎ)』。

 

張飛と劉備

 

変な意味ではなく、「男と男の友情」に絡んだ名場面が続々と登場する物語ですが、その中でとりわけ、僕に「いいなあ」と思わせたのは、劉備(りゅうび)徐庶(じょしょ)の、初めての出会いの場面です。

 

二人の出会いは、そもそも最初からすれ違いになっている。

 

魔のトリオ攻撃が劉備を追いつめる

 

劉表(りゅうひょう)の後継者争いに巻き込まれ、命を狙われ、危うく逃げ延びた劉備は、地元の名士、司馬徽(しばき)先生の家を訪ねます。

 

司馬徽

 

そこで司馬徽先生より、

 

司馬徽とホウ統

 

臥龍(がりゅう)鳳雛(ほうすう)というあだ名の二人の賢者が、この土地、荊州(けいしゅう)にいる」ということを知らされるのですが、その二人の本名(諸葛亮孔明(しょかつりょうこうめい)龐統士元(ほうとうしげん)のこと)は、けっきょく、教えてもらえない。

 

司馬徽

 

もやもやした気持ちを抱えたままの劉備(りゅうび)に、司馬徽(しばき)は優しく、

「今夜はもう遅いから、泊っていきなさい」と言う。

 

お酒と夕食をごちそうになった後、劉備は別室に案内され、そこで寝床につきます。

 

 

 

「寝てる場合じゃないだろう劉備!」というツッコミは、スナオな十代少年読者には通用しない!

酔いつぶれる劉備玄徳

 

その夜。

劉備は、誰かが訪ねてくる音で、ふと目を覚まします。

 

隣室から聞こえてきたのは、朗々たる声の持ち主の、話し声。

誰か客人がきて、司馬徽先生と語らっているらしい。

 

徐庶

 

客人「劉表に仕えてみようと、訪ねてみたのですが、たいした人物ではありませんでした」

司馬徽「徐庶よ、お前は劉表などに仕える小物ではない。もっと大物に仕えるよう、仕官先は慎重に探しなさい」

 

寝たふりを続けながら、その会話に耳を澄ませていた劉備は、

「司馬徽先生からあそこまで丁寧に扱われているということは、この徐庶なる人物は、ひとかどの人材なのではなかろうか。もしかすると、臥龍鳳雛と先生がおっしゃっていた人物の、どちらかいっぽうなのではないかな」

などと思いながら、また寝てしまいます。

 

剣を持って戦う徐庶

 

その間に客人は去ってしまい、劉備と徐庶の、本当の対面は、もう少し後の場面にまで、とっておかれる、という次第となります。

 

「『この客人が臥龍鳳雛ではないか』と思ったんだったら、そのまま寝ないで、起きて会話に参加しにいけよ劉備!」

などと思ってしまうのは、大人の読者。

 

少年時代にこの展開を読んだ私なんぞは、

「寝ている間に隣室から漏れ聞こえてくる声が、すれ違いながらの、最初の出会い」

という展開に、ドキドキしたものでした。

 

古代中国・超科学の世界に挑戦する HMR

HMR

 

 

三国志演義は変な意味ではなく、少年をドキドキさせる技巧に満ちていると思う所以

貂蝉と呂布

 

皆さんご承知の通り、三国志演義には、見事なまでに色恋沙汰がありません。貂蝉(ちょうせん)呂布(りょふ)の物語も、あくまで陰謀劇の中で出てくる話で、ぶっちゃけ呂布の一人相撲ですし。

 

生卵を飲む呂布

 

そのかわり、男気を感じさせる友情パワーの話なら、グッとくる話がいろいろある。

 

劉備と徐庶の、すれ違いだらけの友情も、忘れられないエピソードなのですが、隣室から漏れ聞こえてきた会話が、のちに人生を変えるほど重要になる友情の始まりなんて、「夏休みの友情物語」みたいな、雰囲気抜群の展開で、少年を熱くさせるシチュエーションを心得ているな、と思った次第なのでした。

 

司馬徽と劉表

 

まして、ここでの司馬徽先生と徐庶は、直接名前を出していないだけで、けっきょくは、「劉表なんかに仕えるよりも、劉備玄徳に仕えてみたほうがいいのでは?」と、隣室で寝ている劉備のことを話しているに等しいわけですからね。

 

後でそれがわかってくると、なんとも、くすぐったい。

 

 

三国志ライターYASHIROの独り言

三国志ライター YASHIRO

 

でも、今、とつぜん気づいてしまいました。

ここで劉備と徐庶を引き合わせない司馬徽先生って、なんか、いやらしくないですか?

 

羅貫中

 

もちろん、ここで素直に二人が出会わないことが、作者の羅貫中(らかんちゅう)にとっては都合がいいわけですので、

この場面に関しては、実は司馬徽先生=作者という見方もできますね。

 

 

司馬徽

 

たとえば、もし司馬徽先生が、「徐庶よ、実は隣の部屋に劉備様が泊っているのだ。

酒を出すから、今宵はゆっくり、二人で話をしてみたらどうだ」

と言ってしまったら、一気に物語は先へ進んだはずですが、なんとも味気ない展開になってしまっていたことも確か。

 

孟達に恋文を送る曹丕

 

キューピット役のキャラクターには、もったいぶりや、わざとらしいじれたさも必要なのだと、痛感させてくれる、司馬徽先生の言動なのでした。

あ、しつこいようですが、「キューピット役」といっても、へんな意味は込めておりません。あしからず。

 

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YASHIRO

とにかく小説を読むのが好き。吉川英治の三国志と、司馬遼太郎の戦国・幕末明治ものと、シュテファン・ツヴァイクの作品を読み耽っているうちに、青春を終えておりました。史実とフィクションのバランスが取れた歴史小説が一番の好みです。 好きな歴史人物: タレーラン(ナポレオンの外務大臣) 何か一言: 中国史だけでなく、広く世界史一般が好きなので、大きな世界史の流れの中での三国時代の魅力をわかりやすく、伝えていきたいと思います

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