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張飛はリーダー向き?三人兄弟の末弟はリーダー向きというアメリカの心理学論文は張飛に通用する?

2019年4月22日


 

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メタ認知について学ぶ袁術

 

こんにちは、三国志(さんごくし)ライターのYASHIRO(やしろ)です。いきなりですが私は三人男兄弟の末っ子です。そんなにいい思い出はありません。

 

李豊を蹴る司馬師

 

思い出すことといえば、布団(ふとん)の上でバックドロップを受け病院(びょういん)に担ぎ込まれたこととか、

竹刀(しない)脳天(のうてん)を急襲され頭部(とうぶ)からの出血(しゅっけつ)で気絶したこととか、まあ、そんなあたりです。

 

そんな私が、アメリカのサイト、psychologytoday.comで見つけた心理学(しんりがく)論文(ろんぶん)

 

出生順位が職場内の影響力に左右されるか?(Birth Order in the Workplace)

 

三人兄弟の長男・次男・末っ子は、職場に出てからの働き方に違いが出るのか、の研究(けんきゅう)です。

 

呉民衆の意見に耳を傾ける顧雍(こよう)

 

なかなか面白い研究ですが、いちばん注目に値するのは、

「三人兄弟の末弟こそ、人の意見をよく聞き、調整力に長けているので、リーダー向きである!」という結論。

 

言われてみれば、「三人兄弟(姉妹)の末っ子が超絶優秀で、兄貴(姉貴)二人はぶっちゃけボンクラ」というパターンは、古今の文学や映画でけっこう思いつきますね。

 

『ゴッドファーザー』シリーズのマイケル・コルレオーネと、二人の兄。

シェイクスピア『リア』の末娘コーディリアと、二人の姉。

『さんびきのこぶた』のレンガハウスの末弟と、二人の兄。

 

フムなるほど、この論文、なかなかあたっているのかも!

でも、もうひとつくらい、実例が欲しい。

 

子供時代の桃園三兄弟

 

・・・ということで、この理論が『三国志(さんごくし)』にもあてはまるか、やってみることにしました!

そして三国志でもっとも有名な三兄弟といえば、あの方々だろう、ということで・・・。

 

 

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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桃園の義兄弟で、実は末弟扱いの張飛こそが、一番リーダー向きということ?

羅貫中

 

この証明ができるか、やってみましょう!

まずは羅貫中(らかんちゅう)の『三国志演義(さんごくしえんぎ)』から、ざっと張飛(ちょうひ)の活躍場面を思い出していきましょう。

 

張飛の男気人生

 

・いろんな勇将と一騎打ちで戦っている。相当な相手と戦っても最低でも引き分け。

たいていの相手には完勝。この勝率の高さはまず間違いなく彼の長所!でも、リーダーシップの話とはいえないなあ。

 

張飛の男気人生

 

・「一人で一万人の兵士を相手にできるやつだ」と程昱に言わしめた。

 

豪族に提案する若い頃の程昱(ていいく)

 

あの冷静沈着な程昱(ていいく)さんが言っているのだから、お世辞や皮肉ではないでしょう。でもこれもリーダーの事例ではないなあ。

 

長坂の戦い 張飛

 

長坂の戦い(ちょうはんのたたかい
)
で、劉備軍壊滅の危機を、一騎で敵軍を一喝して食い止めて救った。

 

最弱武将と対峙する張飛

 

凄いことなのですけど、これもリーダーの事例ではないなぁ。

 

張飛と劉備

 

それでは彼が劉備(りゅうび)から「お前が責任者(せきにんしゃ)をやれ」とリーダーを任命されたケースを思い出していきましょう。

 

張飛にお酒はだめだよ

 

劉備(りゅうび)の拠点である徐州(じょしゅう)の留守番を命じられた。酒によって油断しているところに呂布(りょふ)の奇襲を受け簡単に奪われた。劉備の家族もこのとき人質になった。

 

酔いつぶれる劉備玄徳

 

うーん。どうしてもこの事件のインパクトが強い。劉備が優しかったからよかったものの、ふつう、一発でクビになるところの大失態ですからね。

 

孔明

 

ボスが諸葛亮孔明(しょかつりょうこうめい)だったら、この一回のアウトだけで、泣いて斬られていたかもしれません。

 

五虎大将軍の張飛

 

漢中(かんちゅう)をめぐる戦いで、部下たちを巻き込んで酒盛りをして敵を油断させ、城にこもっていた張郃軍(ちょうこうぐん)をまんまとおびき出し、乱戦に持ち込み圧勝した。

お、これがあったか!これはいい事例ですね!

 

張飛に殺される秦宜禄

 

過去の汚点を逆手に取り、酒盛りをして遊んでいるフリをして、「おお、張飛が酒乱バカというのは本当なんだな」とホイホイ出てきた敵を返り討ちにした、と。

本人の成長も見て取れる、好エピソードですね。

 

それに「これは相手をだますための酒盛りなんだから、本気で飲むなよ!」と部下たちを統制していたとなると、リーダーシップもちゃんと発揮できていた、ということになるのでは?

 

張飛がリーダーとしてもちゃんと成長していた、と考えさせる、ひとつの良い事例ですね!

 

 

 

張飛のリーダーとしての評価を、今度は正史から、さらにおさらいしましょう!

張飛にボコボコにされる魏続(ぎぞく)と宋憲(そうけん)

 

そうはいっても『三国志演義(さんごくしえんぎ)』は物語として脚色(きゃくしょく
)
が激しいので、念のため『正史(せいし)』のほうもチェックしておきましょう。

 

幕末 魏呉蜀 書物

 

パラパラと、張飛伝(ちょうひでん)のところを開いてみて、と。。。

 

・・・ん。

・・・んん?

 

漢中をめぐる戦いで張郃軍を撃破したとは書いてあるが、「酒盛りで相手をだました」云々のエピソードが書かれていない!演義で、ほとんど唯一「実は張飛ってリーダーシップあるのかも?」と思わせた「偽装酒盛り作戦」が、正史のほうで実在を否定されてしまいました。

 

張飛のリーダーシップを弁護するつもりだった今回のテーマにとってあまりに手痛い。他に、正史には、張飛のリーダーシップに関する記述があるか、探してみましょう。

 

張飛のパワハラに怯える張達と范彊

 

・「張飛は、目上の人には敬意をもって接していたが、下の者にあわれみをかけるところがなかった」

おお、いきなり、リーダー像としては厳しい記述がありますね。

 

パワハラをする張飛

 

・「張飛は毎日、兵士を鞭でたたいている」

おお、体罰が日常化していたのですね。

 

・「部下を処刑で殺しすぎた」

・・・えー!これは・・・もはや決定的ではないですか!

この一文があるだけで、少なくとも私は、タイムスリップで蜀軍に入ったとしても絶対に張飛隊に配属されたくない!

 

一騎打ち

 

 

三国志ライターYASHIROの独り言

三国志ライター YASHIRO

 

こうなってくると、最初に紹介した「末弟こそリーダー向き」云々の話も怪しくなってきてしまいました。

もう一度、くだんの論文を読み返してみます。

 

なぜ「末弟はリーダーに向いているのか?」の理由として、論文であげられていたのは、

・末弟は他人のこころを読むセンスに長けている

・末弟は相手がどうすれば働きやすいかを考えることができる

・末弟は癒し系である

・末弟は誰かの助けになることが好き

・末弟は物腰が柔らかく、話しかけやすい

 

・・・結論、少なくともこの理論は張飛にはあてはまらないことが判明いたしました。

そもそも張飛をサンプルにしようとしたのが、間違いのもとだったのかもしれません。

 

キングダムと三国志 信と曹操のはてな(疑問)

 

誰か他に、『三国志』世界に、有名な「三兄弟」はいないでしょうか?

 

・・・あー、思い出しました!

他にも重要な三兄弟が!

 

張角は歴史の表舞台に登場

 

黄巾の乱を起こした、張角(ちょうかく)張宝(ちょうほう
)
張梁(ちょうりょう
)
の三兄弟が!

・・・って、末弟の張梁(ちょうりょう)の登場が少なすぎて、有能だったか否か分析不能(泣)!

 

張梁(ちょうりょう)が好きだ!」という稀有な趣味の方!

ぜひ、このテーマを深めてみてくださいませ!

 

関連記事:張飛の武器は蛇矛じゃなかった?蛇矛は三国志の時代の武器だった?

関連記事:【三顧の礼】Three Kingdomsの諸葛亮が一瞬で張飛のハートをキャッチ!

 

 

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YASHIRO

とにかく小説を読むのが好き。吉川英治の三国志と、司馬遼太郎の戦国・幕末明治ものと、シュテファン・ツヴァイクの作品を読み耽っているうちに、青春を終えておりました。史実とフィクションのバランスが取れた歴史小説が一番の好みです。 好きな歴史人物: タレーラン(ナポレオンの外務大臣) 何か一言: 中国史だけでなく、広く世界史一般が好きなので、大きな世界史の流れの中での三国時代の魅力をわかりやすく、伝えていきたいと思います

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