近年では三国志ブームもあり、様々な三国志、三国志演義題材としたゲームが出ています。しかしこういったゲームになると気になるのが武将たちの能力値。この武将はもっとこうでは?もっと高い能力では……?色々ありますよね。
今回はそんな武将たちの中でも評価の分かれる劉備の統率力について話していきたいと思います。
一般的なゲーム題材にされた劉備のステータスと「統率力」
まず一般的なゲーム題材にされた時の劉備のステータスを見てみました。多くの三国志ゲームに劉備は出てきますが、その場合のステータスとして「平凡な能力」「魅力的なスキルがとても高い」このような共通点が見受けられます。
つまり曹操などに比べると非常に凡才、しかしカリスマ性などに優れている、というのが一般的な劉備の評価と言えるでしょう。
さてここで気になるのが統率力。統率力というのは簡単に言ってしまうと周囲の人間を上手に扱える能力。的確な指示を出して操作できるかどうか、リーダーシップのような能力と言えますね。
カリスマ性だけはある、とされる劉備にこの統率力があるのかどうか、これを考えてみましょう。
劉備の戦歴を見てみよう
では劉備の戦歴、軍を率いて戦ったような戦いを正史準拠で見ていきます。
呂布戦では敗北。
袁術戦では勝利。
徐州では曹操に敗北、官渡では袁紹軍の配下で軍を率いていますがこちらも曹操に敗北。益州、漢中では諸葛亮が指揮をとったと考えられるので考慮しないでおきます。また夷陵では陸遜相手に大敗北をしていますね。
さて、これだけ見るとかなり統率力に欠けるように見えるでしょう。しかし負けた時の相手を見てみると、呂布、曹操、陸遜などといった三国志の中でも桁違いの相手ばかりを相手にしている時とも言えます。これだけでは致命的に統率力が欠けているとは判断できません、むしろ彼ら相手に戦って生還しているだけでもかなりの部類では……とすら考えられます。
正史の劉備の能力を評価してみよう
劉備が「戦下手」と評価されるのは、夷陵の戦いでの敗北や曹丕から「戦を理解していない」と酷評されたことに起因していると思います。が、前述したように劉備が敗北した戦というのは「相手が悪すぎる」場合が多く、また呂布との戦いでの敗北はそもそも味方であった呂布がいきなり裏切ってからの敗北です。
長い間、流浪の身であった劉備ですが、それは逆を言うと長い間の戦闘経験があるということ、そしていくつもの勢力の違う勢力で戦ってきたということでもあります。
これを考えれば決して劉備の能力は非凡なものではない、むしろその度に違う軍で指揮をとっていたことを考えれば、統率力に関してはそれなりに鍛えられていたとは考えられないでしょうか?
三国志演技の補正を加えたらどうなる……?
ここでちょっと良く言われている「ゲームの題材とされた劉備の能力は演義基準」というものに注目してみましょう。
確かに三国志演義の劉備は能力こそ優れていないが人を惹きつける能力、カリスマ性に溢れていると描写されています。これを基準として描写されることが多いゲームでは、劉備が「魅力以外は平凡」というキャラクターに描写されるのは分からないでもないですね。
しかし三国志だと一武将としてしか描写されていない董卓戦、三国志演義の方では虎牢関で関羽、張飛と共に呂布と互角に打ち合いをしているという描写が加えられているのです。演義ベースにするならばこのことももう少し加味して、関羽や張飛までとはいかないものの武将としての能力をプラスして欲しいというのが、筆者の本音でもありますね。
三国志ライター センのひとりごと
三国志がゲームなどになって親しまれるようになるのは喜ばしいことです。
しかしその一方で、お気に入りの武将の能力を数値化されるとそれはそれで何だかモヤモヤしてしまうこともしばしば。だけど「不当だ!もっと高い」なんて騒ぐのではなく、どんな事象を下敷きにそういった能力にされたのかちょっと考察してみる……これもまた楽しいので、一度お試し下さい!
関連記事:樊城の戦いに夏侯惇は来るはずだったの?夏侯惇の意外な一面を知る