大河ドラマ「利家とまつ」について解説します。2002年に放映されたこのドラマは、いわゆるトレンディドラマ俳優を多数抜擢したことで話題になりました。そんな物語の主人公「前田利家」とその妻「まつ」の生涯を紹介した内容を、配役らと共に確認します。(なお本文中に登場する役者は敬称略)
この記事の目次
- 1ページ目
- 2002年のNHK大河ドラマは加賀百万石がテーマ
- 利家とまつに登場する織田信長は反町隆史
- 若いころの前田利家は槍の又左衞門
- 茶坊主で信長の寵愛を受けた拾阿弥との関係性
- 2ページ目
- 利家の妻まつ「芳春院」は、2男9女を産む母親
- 史実でのまつ
- 織田信長との関係と前田家家督相続
- 森部の戦いにおいて勝手に参戦する前田利家
- 柴田勝家との関係と能登の城主
- 一向宗を1000人磔、釜ゆでにした記録が残る前田利家
- 3ページ目
- 時代ごとに異なる秀吉との距離感
- 上杉謙信に敗れる柴田勝家
- 本能寺の変から秀吉に従うまでと金沢入り
- 賤ヶ岳の戦いで柴田勝家と羽柴秀吉を対峙
- 秀吉に衣替えする前田利家
- 前田慶次(利益)との関係
- 4ページ目
- 秀吉政権下での活躍
- 秀吉亡き後の一時的な天下と利家の死
- 関ヶ原の後とまつの晩年
- 番外:利家とまつが築き上げた加賀百万石・金沢の現在
- 戦国時代ライターーSoyokazeの独り言
2002年のNHK大河ドラマは加賀百万石がテーマ
利家とまつ~加賀百万石物語〜は、2002年のNHK大河ドラマで、1月6日から12月15日までの間に放送された作品です。大河ドラマとしては41作目。内容は江戸時代に加賀百万石と言われた加賀藩の祖・前田利家とその妻・まつの物語です。主演の利家役は唐沢寿明、まつ役を松嶋菜々子により演じられました。
作品としては利家とまつのふたりが出会って結婚し、やがて戦国大名として信長、秀吉の時代を生き抜き、最終的に家康から加賀藩110万石(加賀・越中・能登の3国)を拝領した人物として描かれています。そしてこのドラマは今までの大河ドラマと少し趣が異なったのがその配役。当時民放で視聴率が取れるトレンディドラマで活躍した若手俳優を数多く採用した点が大きな特徴です。唐沢・松嶋もそんな俳優のひとりでした。
利家とまつに登場する織田信長は反町隆史
さらに松嶋のリアルでの夫で、入籍直後でもあった反町隆史も、織田信長役で登場するなど話題沸騰。ビデオリサーチ社が調べたところ、平均視聴率が22.1%、最高視聴率が27.6%を記録しました。そして地元石川県では40.5%と驚異的な平均視聴率。地元で愛されたドラマであることがうかがえます。
若いころの前田利家は槍の又左衞門
利家は、前田利春(ドラマ上では菅原文太演じる利昌)の四男として1529(天文7)年に尾張の荒子村(名古屋市中村区荒子)に生まれました。幼名は犬千代と言います。父・利春は織田家筆頭家老の林氏に仕えていました。利家が14歳になると信長の小姓となります。当時の利家は短気で喧嘩早い若者。「かぶき者」と呼ばれる派手な格好を好みました。
元服して前田又左衞門利家と名乗ります。初陣から首級をひとつあげる功績をあげました。また槍を駆使して闘ったことから「槍の又左衞門」との異名を持ちます。この功績は目を見張るものがありました。それは敵に矢で右目下を追い抜かれながらも、逆に打ち取っています。その甲斐あって信長からは親衛隊的な直属部隊「赤母衣衆」筆頭に抜擢されました。さらに100貫の加増をうけるなど、確実に出世して行きます。そしてそのころに「まつ」と結婚しました。
茶坊主で信長の寵愛を受けた拾阿弥との関係性
ところがそんな矢先に事件が起きます。茶坊主で信長の寵愛を受けた拾阿弥(ドラマでは出光秀一郎が演じる)。彼は信長の威を借る狐のような存在で、配下の武将に横柄な態度を取りつづけました。利家に対しても、まつの実父の形見とされた「佩刀の笄」を盗んだり、侮辱を重ねたりします。ついにたまりかねた利家が、信長の面前で拾阿弥を殺害。
激怒した信長により出仕を禁じられてしまいます。
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