関羽はどうして赤ら顔設定なの?赤ら顔になったストーリーと意味を紹介

2021年2月19日


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関羽の赤ら顔(1P目)

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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中国の赤色崇拝

長安(俯瞰で見た漢の時代の大都市)

 

中国では昔から赤色崇拝があり、礼記(らいき)の記述によれば古くは周王朝時代から赤は縁起がいい色として認知されていました。そもそも「赤」は人が火に近づいたという象形文字から生まれた文字で、赤色崇拝とは火を崇拝することが起源です。

 

現在でもお正月には赤い服を身につけたり、赤い色の飾りをつけるなどおめでたい色として使われています。そんな赤色は時代の変遷とともに「正義」「正統」「正直」を表すという考え方が広まっていきました。

 

関羽が赤ら顔設定になったのも「関羽=忠義」などの印象をわかりやすく体現するためだったと考えられます。

赤眉軍

 

余談ですが、「紅巾(こうきん)の乱」や「義和団(ぎわだん)の乱」などで民衆が赤色を用いたケースがありますが、これはどの家庭にもある色であり、揃えやすかったからだそうです。

 

黄巾賊を率いて暴れまわる何儀(かぎ)

 

黄巾(こうきん)の乱」では五行思想において火徳(赤色)を司る漢王朝を打倒し、次の土徳(黄色)を打ち立てるために黄色い頭巾を身につけたそうですが、一般家庭にある色ではないので、民衆の中には赤い頭巾を身に着けていた人もいたとか。

 

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関羽=赤色の起源

趙匡胤は北宋の初代皇帝

 

関羽=赤色というイメージがつき始めたのは北宋時代からと言われています。北宋から明代までの道教に関する情報をまとめた道法会元(どうほうかいげん)の中で、関羽が道教の守護神である四大元帥(よんだいげんすい)の一人に数えられ、その中で南門を守護している(陰陽五行説では南=赤色)ためです。

 

ただ、この四大元帥は道教の流派によってメンツが変わるので、この時点でイメージが固定化されたわけではないでしょう。

 

赤兎馬に乗った関羽に出会う周倉

 

恐らく関羽の神格化が進む中で、忠義や財神(赤は財運を表す)という印象が強くなっていったので、三国志演義で赤ら顔、赤兎馬(せきとば)という特徴で体現。演義が広く普及したことで関羽と赤色が一般化されたのではないでしょうか。

 

同年小録(書物・書類)

 

今回紹介した民間伝承は演義の普及前後に出来た話で、関羽の神格化に整合性や正統性をもたせる意味合いがあったのではないかと筆者は考えます。

 

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三国志ライターTKのひとりごと

TKさん(三国志ライター)

 

筆者は初めて関帝廟の関羽像を見た時に「なんで顔が赤いんだろう、ちょっとダサいな」と感じました。中国では黄色=皇帝の色と考えるなど独特な価値観があるので、日常的な色彩感覚だけでは見えてこない部分も中国史にはあるように思います。

 

なので、こうした色との関連性について調べてみることもおすすめです。

 

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TK

TK

KOEIの「三國無双2」をきっかけに三国志にハマる。
それを機に社会科(主に歴史)の成績が向上。 もっと中国史を知ろうと中国語を学ぶために留学するが 後になって現代語と古語が違うことに気づく。


好きな歴史人物:
関羽、斎藤一、アレクサンドロス大王、鄭成功など

何か一言:
最近は正史をもとに当時の文化背景など多角的な面から 考察するのが面白いなと思ってます。 そういった記事で皆様に楽しんでもらえたら幸いです。

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