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黄蓋、もし赤壁の傷から記憶喪失したら?まさかの海賊デビューでどこまで成り上がれる?

2024年11月10日


 

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周瑜

 

 

赤壁の戦い、最大の功績者は誰か?、、、となると、『三国志演義』好きな方なら諸葛亮孔明(しょかつりょうこうめい)、『正史三国志』好きな方なら周瑜の名前をあげるかと思います。

 

周瑜と孔明

 

しかし諸葛亮(しょかつりょう)周瑜(しゅうゆ)も、立場としては、「作戦を立てる人」。劣勢を覆す作戦を考えた人がエライとされるのは当然ではありますが、どんな良い作戦も、それを実行する有能な現場指揮官がいてこそ、効果を発揮するもの。

 

山越族から信服される黄蓋

 

そこで、「赤壁(せきへき)の戦いにおける現場指揮官のMVP」となると?これは、黄蓋(こうがい)の名前をあげる方が多いのでは?

 

赤壁の戦いで活躍する黄蓋

 

迫る曹操(そうそう)軍の大船団に火をかけたのは、そもそも黄蓋の働きによるもの。この時の黄蓋は、巧みな偽装工作で曹操軍に投降すると見せかけ、乗っていた自らの船に火をかけ特攻したのです。

 

便所に放置される黄蓋

 

そんな危ないオペレーションを担当し、みごと火計を成功させた黄蓋。ところが赤壁の戦いでの活躍を最後に、その後『三国志演義』にはほとんど登場せず、いつのまにか死亡扱いになっている有様。

 

呉志(呉書)_書類

 

ですが『正史』の記述をよく読むと、この黄蓋、若い頃は後漢王朝(ごかんおうちょう)の中央からも目をかけられ、都での出世の機会もあったというほど有能さが諸方に知られていた人物でした。

 

張昭(ポイント)

 

孫堅への忠義から中央での出世を断りましたが、孫一族への忠義というリミットを外せば、じゅうぶんに歴史の中心で活躍できた人物だったのではないでしょうか?そこで今回は、実際には孫家への忠誠を守り呉の一将軍としての生涯を終えた黄蓋に、スペシャルなイフ展開を考えてあげましょう!

 

孫堅

 

すなわち、孫堅(そんけん)への忠義がなければ漢王朝に採用されて中央政界にも出ていたかもしれない黄蓋が、人生の後半から大逆転して、天下取りに参加するチャンスはあったか!?

 

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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史実とイフを分ける黄蓋の運命の分岐点は「赤壁の戦い」での重傷時

海賊時代の孫堅と孫策

 

黄蓋が天下取りの覇道へ邁進するためには、まず、孫堅とその一族への恩義を忘れてもらわねばなりません。もっと踏み込んでいえば、人生のどこかで、孫堅との日々の記憶どころか、自分の名前が何かもわからなくなるほどの記憶喪失に陥ってもらう必要があります。

 

キングダムと三国志 信と曹操のはてな(疑問)

 

そんなタイミングが、黄蓋の生涯のどこかに、あるのでしょうか?あります!

 

赤壁の戦い

 

先述した、赤壁の戦いのタイミングです!『正史三国志』の赤壁に関する逸話のひとつに、以下のような話が残っているのです。

 

黄蓋、赤壁の戦いでうっかり河ポチャ

 

「曹操の船団に火計を仕掛けて成功させた黄蓋だが、その時、本人も乱戦の中で重傷を負った。呉の兵士たちが重傷の黄蓋を発見して船に助け出したが、それがまさか黄蓋将軍だとは気づかず、そこらのケガ人と同じように船の厠に放置した。

 

韓当(かんとう)

 

後からやってきた韓当(かんとう)が、そこに倒れている重傷者が黄蓋であると気づき救出したおかげで、黄蓋は無事に呉の本陣に帰還し手当を受けることができた」と。この時の黄蓋の重傷というのは、おそらくは、呉の兵士たちにも一見では顔を識別できなかったほどの火傷だったのではないでしょうか?

 

ポイント解説をするYASHIRO様

 

全身火傷のために気を失い、厠に放置されていた黄蓋が、もしそのまま、韓当にも気づかれぬまま放置され、赤壁の戦いが終わってしまったら?

 

 

魏呉蜀いずれにも組さず!黄蓋、長江流域の海賊を地盤とす

敗北し倒れている兵士達b(モブ)

 

「韓当が気づいてくれなかった世界線」の黄蓋は、たくさんの無名の兵士たちの死骸と一緒に、気を失ったまま、戦場跡に取り残されてしまいます。そこにやってくるのは、戦場跡での略奪を目的とした、曹操側でも孫権側でも、もちろん劉備配下でもない、長江流域で活動する海賊達。

 

奮闘する黄蓋

 

彼らに発見された黄蓋は、鎧甲冑を引き剥がされそうになったことで、ようやく目を覚まします!「うぬら!何をするか!わしを誰だと思っとる?わしは、、、わしは、、、えーっと、だれだっけ?」ところが、人を見る目に長けた百戦錬磨の海賊たち、この火傷だらけの猛将の凄まじい剣幕に、「この方はタダモノではない!」と大いに感じて、黄蓋を手当し仲間に迎え入れるでしょう。

 

孫堅(37)の自慢の息子たち 孫策(17)、孫権(10)

 

名前も過去も、そして都合の良いことに、孫堅や孫策(そんさく)孫権(そんけん)への忠義も忘れてしまった黄蓋は、リミットが外れたように、その有能なリーダーシップを覚醒させ、みるみるうちに海賊の頭目になることでしょう。なにせ、もともとはプロフェッショナルの軍事指揮官。おまけに水軍の運用に長けており、「なぜか」火計による突撃作戦が上手なこの猛将。たちまちに長江一帯の海賊達を吸収し、かつての黄巾賊をも超えるような、野生の大勢力を、曹操や孫権や劉備とは別個に築くことでしょう。

 

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赤壁の戦い

 

 

赤壁後のわずかな混乱期に乗じればあり得る?黄蓋まさかの逆転天下取り

三国志に出てくる海賊達 張伯路

 

海賊の頭目、黄蓋の天下取りのチャンスは、赤壁の戦い数年後のわずかな間。この間に海賊達を従えて長江一帯を取ってしまえば、孫権や劉備が何もできないうちに、空白地となっていた荊州をとり、川伝いに劉璋から益州をとり。

 

行軍する兵士達a(モブ)

 

その次に、記憶をなくしたまま、孫権に襲いかかってその領土を取れば、中国南部をまるまるバックボーンに従えた状態で、なんとなんと、曹操との天下分け目の戦いに挑むことができます!

 

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ここで記憶が戻っても仕方がない!「このまま海賊王に、わしは、なる!」

三国時代の船 楼船

 

曹操との天下分け目の戦場は、なんという運命のいたずら、またしても赤壁。「第二次赤壁の戦い」と呼ばれるようになる水上戦で、黄蓋は海賊軍を引き連れ、曹操の船団と対峙します。

 

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周瑜

 

 

三国志ライターYASHIROの独り言

三国志ライター YASHIRO

 

ですが、さすがにこのような、「どこかで見たような」風景を目にした時、黄蓋の記憶は蘇ってくることでしょう。

 

黄蓋「うわあ、頭痛が」

海賊「どうしました、おカシラ?」

黄蓋「なんということだ!いまさら記憶が戻った!わしは孫権軍の黄蓋じゃ!」

海賊「ええ?あの有名な黄蓋将軍?そうでしたかあなたが、、、記憶が戻った以上、ふたたび、黄蓋と名乗りますか?」

黄蓋「ばかをいえ!記憶をなくしていたせいとはいえ、仕えていた孫家を滅ぼしてしまったのじゃぞ!もはや黄蓋の名前を名乗ることはできん。よいな、わしはこれからも引き続き、名無しの海賊王じゃ!わしの正体が黄蓋だということは、くれぐれも、口外するなよ!、、、黄蓋だけに、な?」

 

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YASHIRO

とにかく小説を読むのが好き。吉川英治の三国志と、司馬遼太郎の戦国・幕末明治ものと、シュテファン・ツヴァイクの作品を読み耽っているうちに、青春を終えておりました。史実とフィクションのバランスが取れた歴史小説が一番の好みです。 好きな歴史人物: タレーラン(ナポレオンの外務大臣) 何か一言: 中国史だけでなく、広く世界史一般が好きなので、大きな世界史の流れの中での三国時代の魅力をわかりやすく、伝えていきたいと思います

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