三国志には劉備や諸葛亮、関羽や張飛といった有名な英雄のほかにも、多くの魅力的な人物が登場します。
特に、武勇だけでなく智謀に優れた軍師や参謀にも個性豊かなキャラクターが揃っている点が、『三国志演義』の物語としての面白さの秘密でしょう。
ところで、劉備の軍師といえば諸葛亮ですが、曹操の軍師といえば誰を思い浮かべますか?
多くの人が荀彧の名を挙げるのでは?
特に曹操の覇業の初期を支えた彼の功績は輝かしいものがあります。ところがその荀彧、突然、歴史の表舞台から姿を消してしまいます。後で話すように、突然消えてしまったことにもちゃんと理由があったようなのですが。
今回は、そんな荀彧が史実よりも長生きし、まさかの大活躍を遂げるイフ世界を考えてみました!
この記事の目次
初期曹操軍の知略を支えた名軍師・荀彧
荀彧は、古代中国の思想家・荀子の末裔とされ、儒学の名門に生まれました。「性悪説」を提唱した荀子の血を引く彼は、儒教を重んじる典型的な学者肌の人物だったと思われます。
そんな荀彧が三国志の時代に活躍するのは、曹操の補佐役に収まってからのこと。
後に郭嘉や程昱、司馬懿などの有能な人材が次々と登場する曹操軍ですが、覇業の初期の片腕役として軍事・政治の両面で有名なのが、荀彧です。
彼は単なる内政官ではなく、外交戦略や軍事作戦でも優れた提案を行いました。特に『三国志演義』では、呂布や袁紹との戦いで逐一光る献策のキレを見せ、曹操の成功に大きく貢献しています。
なぜ荀彧は晩年に不遇だったのか?曹操との決定的な思想の違い
しかし、そんな荀彧も晩年は不遇で、最期は自殺説もささやかれるような急死を遂げています。
その背景には、曹操との決定的な思想の違いがありました。そもそも荀彧は儒教の一族出身であり、「後漢王朝の復興」を支持していました。献帝を擁して権力を拡大する初期の曹操とは協力関係にありましたが、
やがて曹操自身が魏王の地位を得るとなると、荀彧はこれに反発。彼にとって、たとえ皇帝を名乗らなくとも、魏王になること自体が後漢王朝への脅威と映ったのでしょう。
これが曹操の不興を買い、荀彧は遠ざけられます。そして、不遇のまま亡くなったのか、それとも絶望して自ら命を絶ったのか。具体的な死因が不詳なのですが、あれほど曹操を支えた名軍師にしては、あまりに寂しい最期です。
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もし荀彧が曹操に反旗を翻していたら?
さて、ここからはお楽しみの、イフ世界での空想の時間です!
おさらいしたように、晩年、不遇だった荀彧。そんな彼の為には、やはり、「晩年の不遇からの大逆転」シナリオを考えてあげたくなりますよね?
はい・・・考えてみました!
まず、曹操の魏王即位に反発して不興を買うところまでは史実通りとしましょう。しかし、ここで荀彧が「このままでは死を待つだけ……ならば!」と決意し、まさかのクーデターを狙うという展開はどうでしょう?
そういえば曹操は軍を率いて遠征することが多く、都を留守にする機会が頻繁にありました。これは絶好の狙い目です。
荀彧は、曹操の留守を突いて都を占拠し、献帝を擁立して「漢王朝復活」を宣言。荀彧ほどの人物が主導すれば、保守的な武将たちは喜んで呼応するはずです。
さらに、曹操に恨みを持つ各地の勢力もこれを好機と見て味方についてくれるでしょう。
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荀彧がまさかのクーデターに出るための好条件とは?
問題は、事務方の荀彧にそんな大規模な行動ができるのか?実は、彼には二つの強みがあります。
・儒学の名門出身であり、保守派の武将を思想的に説得できる
・一族に多くの有能な人材を抱えていた
荀彧の兄弟には
荀倹(じゅんけん)・荀緄(じゅんこん)・荀靖(じゅんせい)・荀燾(じゅんとう)・荀詵(じゅんしん)・荀爽(じゅんそう)・荀粛(じゅんしゅく)・荀旉(じゅんふ)という、すいません....正直にいうと私も今回初めて名前の読み方を知ったマイナー度ですが、ともかく、そんな俊英たちが揃っていたそうです。
彼らはあわせて「八龍」と呼ばれる評判の人材だったとか。さらに、曹操軍の重臣である荀攸も、荀彧の親戚です。もし彼らが結束し、「荀子の末裔が献帝を奉じて曹操に反旗を翻した!」となれば、天下への影響は計り知れません。「荀子の末裔たる八龍」という名前だけでも、儒学イデオロギーに染まっている保守的な武将は「凄そう!」と飛びついてきそうではありませんか!
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荀彧、クーデター後の展開を握る運命の相手とは?
とはいえ、曹操の絶頂期に都を占拠しても、すぐに反撃を受けるのは明白。長期的に抗うには、献帝を擁したまま逃げる必要があります。そこで、荀彧が向かうべき相手がいます。そう、劉備です!
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三国志ライターYASHIROの独り言
劉備は大喜びで迎え入れるでしょう。このシナリオでは、献帝が劉備の庇護下に入り、その正統性が増します。そして、何より胸が熱くなるのは、諸葛亮と荀彧の共闘です!
かつて曹操の片腕として劉備軍の敵だった荀彧が、物語の後半では味方になる!こんなまるで少年漫画の後半のような胸アツ展開、いかがでしょう、見てみたくなりませんか?
だいいち、このシナリオでは、史実では不遇で終わった荀彧が、諸葛亮と組んで、蜀入りから、漢中攻略、あわよくば北伐まで、ずっとついてきてくれるのですから!
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