
汗明は、実在した将軍なのか。合従軍で楚軍を率い、蒙武と一騎打ちを演じた巨人を見て、そう気になった人も多いと思います。映画の紹介での異名は「楚の巨人」。
名前だけなら、史書にあります。『戦国策』に出てくる汗明は、武器ではなく弁舌で春申君に取り立てを求める人物として描かれています。原作とは、ほぼ正反対の姿。蒙武との決着から始めて、『戦国策』の汗明、そして史実の合従軍で楚を動かしていた人物へと話を進めます。
※この記事は2026年9月時点の内容です。原作の合従軍編の内容に触れています。
この記事の目次
キングダムの汗明とは?基本プロフィール
| 名前 | 汗明(かんめい) |
|---|---|
| 所属・立場 | 楚の将軍。合従軍で楚軍を率いる総大将 |
| 特徴 | 巨体と怪力。映画の紹介では「楚の巨人」 |
| 宿敵 | 秦の蒙武 |
| 実写映画 | 勝矢さん(『キングダム 魂の決戦』2026年) |
| 史書 | 同じ名前の人物が『戦国策』に出てくる。春申君に弁舌で取り立てを求める人物 |
アニメ公式サイトに載った汗明役の声優さんのコメントでも、汗明と蒙武は「自らを最強、至強と自負する二人」と紹介されています。その自信は、口だけではありません。秦の蒙武が、生涯で初めて全力を出せる相手と認めるほどの強さです。
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原作の汗明と蒙武の一騎打ち
合従軍編で、楚軍を率いる汗明の前に立ちはだかるのが、秦の蒙武です。こちらも力で押し切る将軍です。最強を名乗る者どうしがぶつかるのだから、ただで済むはずがありません。運動会の綱引きで、両方のクラスの力自慢が綱の先頭に並んだようなものです。
二人の一騎打ちは、激しい打ち合いになります。最後に立っていたのは蒙武。汗明は、蒙武に討たれます。たしかに、汗明の名乗りは大げさです。ただ、あれだけの強さがあってこその大げささ。蒙武がひと皮むける相手として、これ以上の敵はいなかったと思います。
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『戦国策』の汗明|「驥、塩車に服す」
史書に出てくる汗明は、『戦国策』楚策の一話に登場します。楚の宰相・春申君に会いに来た人物です。面会がかなうまで、汗明は3か月待たされました。人気の歯医者の予約でも、そこまでは待ちません。いえ、待てません。
会えたあとも、汗明は堯と舜を持ち出して春申君と問答し、ようやく客として迎えられます。そのうえで語ったのが、一頭の馬の話です。名馬(驥)が、塩を積んだ車を引かされて、太行山の坂を登っていた。汗を流し、坂の途中で進めなくなっていた。そこへ馬を見る目のある伯楽が通りかかり、車から降りて泣き、自分の着物を脱いで馬にかけてやった。すると馬は頭を下げて息を吐き、天に届くほど高くいなないた、と。
優れた者が、才能にふさわしくない仕事をさせられる嘆き。それを表すのが「驥、塩車に服す」という言葉です。汗明は、自分をこの名馬になぞらえて、才能を認めて引き立ててほしいと春申君に訴えたわけです。巨体で敵をなぎ倒す原作の汗明と、馬のたとえ話で自分を売り込む『戦国策』の汗明。同じ名前なのに、やっていることはまるで逆です。
史実の合従軍で楚を率いたのは春申君
では、史実の合従軍で楚を動かしていたのは誰か。『史記』春申君列伝を見ると、答えは春申君。
春申君が宰相になって22年目、秦の攻撃に悩む諸国が手を組み、西の秦を攻めました。楚王がその長で、事を取り仕切ったのは春申君。ところが函谷関まで攻め寄せたところで秦が兵を出すと、諸国の兵はみな敗れて逃げました。
楚王はこの失敗を春申君のせいにし、春申君は王からさらに疎んじられました。原作が楚軍の総大将に汗明を置いたのは、春申君に仕えようとした人物の名前を借りたのかもしれません。史書では春申君の前で名馬のたとえを語った男が、原作では春申君の軍の先頭に立っています。そう読むと、ちょっと粋な名前の借り方です。
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汗明は実在する?
汗明という名前の人物は、『戦国策』に出てきます。ただ、それは春申君に面会を求めた弁論の人です。『戦国策』のこの逸話と『史記』春申君列伝には、汗明が楚軍を率いて戦う記述は見当たりません。原作の汗明と史書の汗明が同じ人物として描かれているのかは、はっきりしません。合従軍で蒙武と一騎打ちをする楚の将軍という姿は、今回確認した史料には出てきません。
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汗明のよくある質問
汗明の最期はどうなりますか?
原作の合従軍編で、蒙武との一騎打ちの末に討たれます。
汗明は史書ではどんな人物ですか?
『戦国策』に、楚の宰相・春申君のもとを訪ねた人物として出てきます。名馬の話で自分を売り込み、引き立てを求めた弁論の人として描かれています。
汗明と蒙武の関係は?
合従軍でぶつかった宿敵です。蒙武が、生涯で初めて全力を出せる相手と認めた、原作屈指の強敵でした。
実写映画で汗明を演じたのは誰ですか?
勝矢さんです。2026年公開の『キングダム 魂の決戦』で演じました。
キングダムライターおとぼけの独り言
3か月待たされ、ようやく口にしたのが馬のたとえ話。『戦国策』の汗明は、待つことで才能を認めてもらおうとした人でした。原作の汗明は、正反対。自分から戦場で名乗りを上げ、力で認めさせようとします。同じ名前の二人を並べると、認められたいという気持ちの出し方がまるで逆なのが面白いところです。
それでは兄弟たちよ、また次の記事でお会いしまっせ!















