景初2年(238年)に魏(220年~265年)の都の洛陽に邪馬台国の女王卑弥呼の使者がやってきました。邪馬台国は、かつて日本に存在した国であり、はっきりとした位置は現在も特定されていません。
実は魏に行くには遼東を通らねばいけませんでした。しかしそこは長年、公孫氏という一族が支配しており勝手に通ることが出来ずにみんな困っていました。今回は邪馬台国を妨害していた公孫氏と彼らの滅亡後に邪馬台国は通ることが出来たのか解説します。
※記事中の歴史上の人物のセリフは、現代の人に分かりやすく翻訳しています。
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遼東の公孫氏
遼東半島には公孫氏という一族が独立していました。後漢(25年~220年)の中平6年(189年)に公孫度は遼東太守に任命されますが、それを契機に独立します。やっていることは益州牧の劉焉と似たようなものです。
独立を維持していた公孫氏でしたが、公孫度の息子の公孫康は建安9年(204年)に勢力を強めた曹操に服属しました。公孫康の後を継いだ弟の公孫恭も魏に対して臣従していました。
だが、魏に服属することを好まなかったのが公孫康の息子の公孫淵でした。魏の太和2年(228年)に公孫淵は公孫恭を脅して遼東太守の位を奪います。
呉との同盟事件
遼東太守の座に就いた公孫淵が着手したのは、魏との同盟関係を断つことでした。魏の青龍元年(233年)に公孫淵は呉(222年~280年)と同盟するために使者を送りました。
孫権は同盟に賛成しますが、重臣の張昭を筆頭に部下は猛反対します。ところが、孫権は強行的に自分の意見を押し通して使者を送ります。
しかし公孫淵は急に心変わりして呉の使者のほとんどを殺害!首を魏に送ってしまいます。一説によると(1)魏からの圧力、
(2)最初に行った遼東の使者が呉と結んでも利益が無いと公孫淵に報告した
2点の可能性が考えられています。
司馬懿 公孫淵を討つ
一方、魏でも態度がはっきりとしない公孫淵に業を煮やしました。景初2年(238年)に魏は司馬懿を総責任者に任命して公孫淵の討伐に出発させます。
魏では遠征になり費用が莫大になることから、国が出費に耐えることが出来るか心配する人が多くいました。曹叡はそこでどれくらいで戦を終われるか司馬懿に尋ねました。
司馬懿は「往路で100日、復路で100日、攻撃100日、60日を休息としています。おそらく1年で大丈夫でしょう」
聞いた曹叡は安心して司馬懿を遠征に送り出しました。公孫淵は呉の孫権に援軍要請を頼みますが、孫権の返事は実にそっけないものでした。
「どうか後のお便りを待ってください。あなたの申し出の手紙に従いましょう」
かつて自国の使者を斬ったことに対しての仕返しと見て間違いありません。さて、曹叡も呉と公孫淵の同盟を心配します。「孫権と公孫淵が手を組んだらどうする?」と聞きますが部下は落ち着いていました。
「呉は我々の防備が固いので攻撃しても利益を得れないことは分かっています。それに孫権は身内がピンチになっても動かない男です。異国の人間なんてどうだってよいとしか考えませんので大丈夫です」
それを聞いた曹叡は、ほっとしました。司馬懿の予言通り公孫淵は1年程度で討たれました。呉が援軍に来なかったのは言うまでもありません。
交通路の開設と国際化
こうして遼東の独立勢力公孫氏は滅びました。喜ばしいことは魏の版図が広がっただけではありません。今まで公孫氏のせいで通行止めをされた各国が魏にやってきたのです。アジアは一気に国際化を遂げました。魏に到着した国の1つに邪馬台国があります。
邪馬台国は卑弥呼という女性が治める謎に包まれた王国でした。曹叡は使者に対して卑弥呼を「親魏倭王」に任命して、金印紫綬を与えました。邪馬台国が魏に来れたのは全て司馬懿のおかげだったのです。
三国志ライター 晃の独り言 『劉備徳子は静かに暮らしたい』を読んでみた
先日、パソコンで三国志のマンガについて調べていたら『劉備徳子は静かに暮らしたい』というマンガがあることを知りました。書店に並んだら3日で売り切れたと評判のマンガのようです。
恥ずかしながら筆者は約5年間、マンガに目を通していないので、最近のマンガについては疎いです。早速、書店にダッシュして購入後に読みました。簡単に言えば、三国志の英雄が女子高生・男子高校生に生まれ変わり学園ライフを送る最近流行の「転生シリーズ」です。
読んだ筆者の感想は「・・・・・・滅茶苦茶面白いですね!」
所々、正史と違う部分はありましたけど・・・・・・でも、これは突っ込んだら負けだと分かりました。なぜならこれはギャグであり少女マンガだからです。
筆者の好みのキャラは曹操の生まれ変わりである曹司操(そうじみさお)です。やっぱり黒髪ロングの女の子はいいですね(萌)
みなさんもぜひ、一読してみてください!
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『劉備徳子は静かに暮らしたい』を読んだという人、または他にも「こんな三国志マンガがあります」という人は、ぜひ筆者に教えてください!
日本古代史を分かりやすく解説「邪馬台国入門」