三国志っていったら、昔のおじさまたちが活躍して、それを読んだ現代のおじさまたちが興奮する話でしょう。中国の話って、漢字ばっかりで、しかもみんな苗字が「劉」とかで、混乱するんだよねー。
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この記事の目次
古代中国史の魅力
中学の古典の教科書で三国志演義と出会った頃の私も、初めはそんなふうに、思っていたことを認めます。ですが、知れば知るほど、だんだんはまっていくのが中国史。とりわけ、至る所に登場する女性の存在は、たいへん興味深く、王朝の歴史に花を添えています。そこで、長い中国の歴史の中でも、綺羅星のごとく輝く存在感を放つ、何人かの女性を上げてみたいと思います。
三国志以前の絶世の美女たち
【妲己】(だっき)~酒池肉林~
殷王朝を滅ぼす原因をつくった絶世の美女です。殷最後の王、紂王に嫁ぎ、贅沢の限りを尽くしました。
中でも、池に酒を満たし、林に肉をぶら下げて、全裸の男女をそこで遊ばせるのを見て楽しんだという「酒池肉林」や、油を塗った銅製の柱を、下から業火であぶり、その上を罪人に歩かせて見物して楽しんだという「炮烙(ほうらく)の刑」が有名です。
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【褒娰】(ほうじ)~笑わない女~
西周を滅ぼす原因をつくった絶世の美女です。西周最後の王、幽王の后で、ものすごい美人ながら、まったく笑わない女性でした。ある日、幽王が誤って烽火をあげて、集まってきた諸侯が間違いであることにがっくりとした顔を見て、たいへん美しい笑顔を見せました。幽王は喜び、たびたび嘘の烽火を上げるようになります。しだいにばからしいと思った諸侯は集まらなくなり、本当に異民族が侵略してきたときに、誰も助けに来ず、国が征服されてしまいます。
【西施】(せいし)~人間兵器~
春秋時代、呉国を滅ぼすきっかけをつくった絶世の美女です。呉と争っていた越の王から密命を受け、呉王夫差のもとへ行き、誘惑して呉王とともに豪遊し、呉の国力を弱めて、国が滅ぶように仕向けました。
たいへんです。ここまで見ただけでも全員、傾国の美女という……!
まだまだたくさん挙げてみたい女性はいますが、三国志の美女たちも取り上げなくてはなりません。他項でも詳しく触れたいと思いますので、ここではさわりだけご紹介したいと思います。
三国志の美女たち
【貂蝉】(ちょうせん)~董卓と呂布に愛されて~
あまりの美しさに、月まで雲に隠れてしまうという絶世の美女です。
養父王允の願いで、董卓と呂布二人の男性を手玉に取り、仲たがいさせ、呂布に董卓を暗殺させるように仕向けました。
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【卞皇后】(べんこうごう)~曹操の妻~
一介の歌姫から、曹操の皇后に上りつめた、たいへんな美女です。聡明でつつましやかで、影からよく曹操を支えた良妻としても有名です。
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【黄月英】(こうげつえい)~諸葛孔明の妻~
髪の毛が赤く、顔も茶色をした不美人と言われています。すみません、美女の項目ですが、つい入れてしまいました。幼いころから聡明で、数々の発明品を作って夫を助けた賢夫人です。
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【孫尚香】(そんしょうこう)~孫権の妹で、劉備の妻~
武勇に優れ、薙刀を持った侍女たちを侍らせていたという男勝りの姫君です。弓腰姫というあだ名を持っていた、という話もあります。
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【大喬・小喬】(だいきょう・しょうきょう)~孫策・周瑜の妻~
江東の美人姉妹で、「二喬」と称されています。姉の大喬が孫策の妻に、妹の小喬が周瑜の妻になります。
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【甄皇后】(しんこうごう)~曹丕の皇后~
たぐいまれな美貌を持ち、三国志を代表する美女のひとりです。
曹丕の寵愛を一身に受けましたが、あとから妃になった郭皇后に寵愛を奪われ、失意のうちに亡くなりました。
【郭皇后】(かくこうごう)~曹丕の妃~
たいへんな美貌の持ち主で、曹丕の妃になって、寵愛をほしいままにしました。
甄皇后を陥れて自殺させ、曹丕の皇后になりました。
いかがでしょうか。
挙げてみますと、三国志にはそこまで物騒な女性は出てきません。
(貂蝉や郭皇后は少し……ですが)
英雄たちの活躍を陰から支えた女性の側から歴史を紐解くことも、時には面白いのではないでしょうか。
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