富も地位も女も名誉も手に入れた権力者が最期に夢見るのが不老長寿です。
実際に秦の始皇帝を始め、多くの権力者が死の恐怖から逃げる為に
怪しげな妖術や、道術にハマり込み、多額の富をつぎ込んでいました。
曹操も不老不死に憧れた一人
我らが「はじめての三国志」の曹操も、妻が13人もいる曹操(そうそう)も、
そんな不老不死に憧れた権力者の一人でした。
彼の業績を書いた武帝紀の注には、こうあります。
「太祖は養生の法を好み、方術の士をひろく招いた」
このように曹操は、長寿の為に積極的に各地から方士や道士を集めていました。
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方士の一人・甘始(かんし)から教わった健康法
そんな曹操の集めた方士の一人に甘始(かんし)という人物がいました。
太原の出身と言われる甘始は、齢200歳(自己申告)で
深呼吸法という今で言うロングブレスダイエットに、巧みな人物でした。
甘始は、年を取っても若々しい姿をしていて穀物を食べなかったそうで、
それを怪しんだ曹操の息子の曹植が甘始を監禁して(怖っ!)
本当かどうかを調べた所、やはり穀物は口にしなかったそうで、
曹植は弁道論という書物で
「甘始が不老不死かどうか分からんが、大飢饉が来たら使えるよ」
とよく分からないコメントを残しています。
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甘始の記録
この甘始方士、ロングブレス健康法だけではなく、
房中術、飲尿療法、そして逆さ吊りという様々な方法で不老長寿を得て
洞窟の中に100年以上も住んでいて、やがて王屋山に入り、
仙人になって昇天してしまったと記録されています。
房中術、飲尿療法までは分かるとしても、逆さ吊り健康法は、
なんかのギャグにしか思えませんね。
ですが、まるでギャグにしか思えない、不老長寿の方法を、
大真面目に実践した男がいました、もちろん曹操です(笑)
ギャグみたいな健康方法を真面目に実践してた曹操
曹操は、薬草や健康法の知識にものすごく詳しかったようで、
そういうマニア癖を活かし、自分が招いた方士の健康法を実践していた
と言われているのです。
あの覇王、曹操が、ロングブレス健康法ならまだしも
逆さ吊り健康法を実践していたとは!!!!!
どう考えても、不老不死には関係ないような気が・・・・
ちなみに曹操の実践したトンデモ健康法は、これだけではありません。
曹操の原因不明の頭痛って...
方士が進めるままに、治葛(やかつ)という漢方薬の原材料で
現代では、ゲルセミウムエレガンスと言われるマチン系の猛毒の植物を
1・8mも食べたり、鴆毒(ちんどく)という野鳥から取った
猛毒を入れたお酒を少し飲んだりしています。
一歩間違えば、健康どころか死んでしまい、
魏の屋台骨が揺らぎかねない危険な健康法を次々と実践したのです。
それでも、流石に天下の3分の2を制覇するだけはあり、
曹操は、65歳という当時としては長寿を全うして死にます。
でも、晩年の曹操は原因不明の頭痛に悩んでいたといいますから、
もしかして、こういう無茶な健康法のどれかが原因なんでは?
と考え込んでしまいますね。
今日も三国志の話題をご馳走様でした。