89話:龐統、涪水関を計略で落とす

2015年6月30日


 

劉備(りゅうび)に蜀獲りを進めていた張松(ちょうしょう)の密書が、

兄張粛(ちょうしゅく)から劉璋(りゅうしょう)に漏れた事で、

劉備と劉璋の蜜月は、短期間で終わりを告げました。

 

前回記事:88話:劉備を大歓迎する劉璋だが張松の失策で崩壊する

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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劉璋は劉備に絶縁宣言

 

劉璋は激怒し、益州の全武将に伝令を放って、今後一切、劉備と交わりを

持ってはならないと厳命します。

 

完璧な絶縁宣言であり、この状態で劉備と劉璋は完全な交戦状態になります。

 

龐統:「まあ、仕方がありません、いずれこうなる事は分かっていました。

では、早速、蜀獲りを開始しますか、、」

 

龐統(ほうとう)は、冷静に言うと、手近な涪水関(ふすいかん)を

計略で落す事を進言します。

 

天才軍師・龐統の計略

龐統

 

涪水関の守将は、楊懐(ようかい)と高沛(こうはい)という武将でしたが、

龐統は、ここに劉備の名義で手紙を出させます。

 

「劉璋殿に疑いを持たれたようなので、名残惜しいが荊州に帰ります

どうか別れの挨拶を受けて頂きたい」

 

演義では、これを聞いた楊懐と高沛は、別れの宴にかこつけて、

劉備を斬ろうとしたとありますが、実際には、

両名にそのような相談はなく、単純に

 

「帰ってくれるなら、戦争も避けられ有り難いことよ」

 

と素直に劉備一行を涪水関に呼んだようです。

 

しかし、実は、これは龐統が立てた罠でした。

 

龐統は、楊懐と高沛の両名を捕えて斬り、涪水城と守備兵を

丸ごと手にいれようとしていたのです。

 

零陵先賢伝に記されている劉備の卑劣な行動

劉備に足りないもの 三国志

 

「零陵先賢伝」という書物によれば、劉備は、宴もたけなわの時

楊懐の元に近づき、腰にある匕首を見せてくれと、何度も言ってきたようです。

 

楊懐が、仕方なく、腰から匕首を取って劉備に差しだすと、

急に劉備は顔色を変え大きな声で呼ばわりました。

 

劉備:「楊懐、高沛、貴様達は、宴にかこつけて私を斬るつもりだな!」

 

その大声で、あらかじめ伏せておいた劉備の兵が、

酔っている楊懐、高沛を抑えこんで縛り上げました。

 

「おのれ、騙しおったな劉備、何が仁君だ、

この泥棒猫めが!!今に神罰が降るぞ!!」

 

楊懐は、劉備が自分を騙した事に憤り、首を斬られる寸前まで

劉備を罵倒し続けたと言います。

 

劉備は、即座に兵士に命じて、楊懐と高沛の首を斬り落とします。

 

涪水関の兵士達は動揺するが劉備が落ち着かせる

 

突然に始まった血の粛清劇に、涪水関の兵士達は動揺しますが、

そこは修羅場をくぐり抜けた劉備、落ち着いています。

 

劉備:「兵士達よ、落ち着きなさい。

楊懐と高沛は、卑劣にも私を宴に呼び付け、

隙を見て殺そうとしたから、止むを得ず返り討ちにした。

しかし君達は何も知らないのだから、危害は加えない

安心していなさい。」

 

そう言って劉備は、兵士達に酒を振るまい、

日頃の働きを褒め称えたと言われています。

 

劉備:「兵士諸君、劉璋は、このように卑劣な手を使う君主だ、、

君達だって、無能な劉璋には、愛想が尽きていただろう?

ここは、私と共に立ちあがり劉璋を廃して

蜀を素晴らしい国に造り変えようではないか?」

 

涪水関の兵士達は、仕えてきた楊懐、高沛もすでになく、

劉璋にも、心服しているわけでもないので、

劉備の扇動に乗り、劉備軍と合流して、涪水城に入城します。

 

龐統の完全勝利

龐統 勝利

 

すでに涪水城には、殆ど兵士が居なかったので、

劉備は、悠々と無傷で、入城する事に成功したのです。

 

これは、劉備に策を授けて、楊懐と高沛を斬って兵力と、

涪水関を奪い取った龐統のあざやかな作戦勝ちでした。

 

次回記事:90話:張任によって龐統討たれる

 

 

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kawauso

台湾より南、フィリピンよりは北の南の島出身、「はじめての三国志」の創業メンバーで古すぎる株。もう、葉っぱがボロボロなので抜く事は困難。本当は三国志より幕末が好きというのは公然のヒミツ。三国志は正史から入ったので、実は演義を書く方がずっと神経を使う天邪鬼。

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