88話:劉備を大歓迎する劉璋だが張松の失策で崩壊する

2015年6月29日


劉璋と劉備

 

曹操(そうそう)よりも同族の劉備(りゅうび)を頼った方が良いとする張松の意見に、気が弱い劉璋は賛成して、
家臣の法正(ほうせい)を劉備の元に送ります。

 

前回記事:87話:劉備、蜀への侵攻を決意

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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劉備の蜀入りを反対する勢力

 

蜀臣の王累(おうるい)、黄権(こうけん)、劉巴(りゅうは)は、
「劉備は決して仁君ではなく、これまでも群雄の下を
転々としながら勢力を奪った油断ならない男です。

好意で、庇を貸したら、母屋まで奪われますぞ」

 

と孟反対しましたが、隣国の張魯(ちょうろ)が怖くて仕方がない
劉璋は、耳を貸さずに押し切りました。

 



劉璋は劉備を歓迎し100日も宴が続く

 

劉璋は蜀に入ってきた劉備を大歓迎し、何と歓迎の宴は、
100日もの間続いたと言われています。

劉璋のお人好しぶりも凄いですが、この乱世に1州だけで、
100日も盛大な宴を張れる益州の富も劉備には眩しく映ったでしょう。

 

劉備は張魯討伐に出る

劉備 ゆるキャラ

 

劉備は劉璋の好意に厚く礼を述べて、早速張魯を討つ為に
葭萌関(かぼうかん)に軍を進めます。

ちょうど、その頃、同盟関係にあった呉の孫権(そんけん)から、
劉備に救援要請が入ってきます。

曹操軍の戦いで苦戦しているので同盟の誼で援軍を派遣して
欲しいというのです。

 

同盟孫権から救援要請、その意図とは

龐統 ゆるキャラ 三国志

 

ただ、これは、劉備の蜀取りを牽制する為に孫権が行った
偽計であるという見方が大きいようです。

しかし、軍師龐統(ほうとう)は、むしろこれを利用して
劉璋から兵を奪おうと画策しました。

龐統:「呉に援軍を出す必要はありません、孫権が勝とうと、
曹操が勝とうと連中が次に手を出すのは荊州だからです。
荊州は、孔明や関羽張飛、趙雲が守っているので盤石、
心配は要りませんが、折角の孫権のお誘いですから、
この手紙を劉璋に送り、この通り呉が困っているので
軍勢を3万貸して下さいと要請して下さい。

上手くすれば、敵軍3万が無傷で手に入ります(笑)」

 

劉備は、それは名案だと劉璋に使いを送ります。

 

劉備と劉璋に亀裂が入る

 

しかし、実際に派遣されたのは、たった4千名の援軍、
しかも劉璋は、フ水関の守りを固めてしまったのです。

これを聞いて怒った劉備は、5万の軍勢で白水関を突破
フ水関を攻め落とすべく軍を進めます。

ですが、どうして劉備を信じていた劉璋は突然豹変したのでしょう?

 

劉璋が劉備を信じられなくなった理由は?

劉備主役

 

そこには、劉備が中々蜀を獲りにこない事にイライラした張松の
手紙の存在がありました。

張松は、劉備に
「一刻も早く、蜀を奪い取って下さい」と書いた手紙を
前線の劉備に出していたのですが、この手紙が張松の兄、
張粛(ちょうしゅう)の手を通して劉璋に渡ってしまったのです。

 

劉璋はカンカンに怒り(当たり前)張松を捕えて、
一族皆殺しにした上で、劉備を警戒し、フ水関の守りを
固めてしまったのです。

 

儚い蜜月ではありましたが、どんなキレイ事を並べようと、
劉備が蜀を獲る既定路線は変わらないのであってみれば、
時期はずれてもいずれ、こうなる運命ではありました。

 

張松という男

張松

それにしても、張松、、
もう少し大人しくしていれば、蜀で同僚の法正と共に
高位高官に昇れたかも知れないのに、、短気を起して
身を滅ぼしてしまいましたね。

 

 

次回記事:89話:龐統、涪水関を計略で落とす

 

 

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kawauso

台湾より南、フィリピンよりは北の南の島出身、「はじめての三国志」の創業メンバーで古すぎる株。もう、葉っぱがボロボロなので抜く事は困難。本当は三国志より幕末が好きというのは公然のヒミツ。三国志は正史から入ったので、実は演義を書く方がずっと神経を使う天邪鬼。

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