中二病韓信 ヤクザ劉邦を大説得、神分析に漢軍大フィーバー

2016年7月30日


 

韓信 項羽

 

献策を使わない項羽に愛想を尽かし劉邦の所に行ったものの、

一向に大将軍に用いられない韓信は、また飽きっぽい性格が顔を出し、

劉邦の下からも逃亡しようとします。

しかし、韓信の才能を見抜いた䔥何が軍令違反をしてまで追いかけて

説得をした事で引きとめられ、ようやく念願の大将軍に任命されました。

 

韓信と劉邦

 

ですが、韓信を大将軍に任命した劉邦は、まだ半信半疑です。

ここで韓信は背筋が寒くなるような的確な状況分析を行い、

劉邦に反項羽の急先鋒になる事を決意させるのです。

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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気難しい韓信の為に祭壇を用意して丁重に扱え

韓信と鍾離昧

 

劉邦は䔥何の言い分を受け入れて、早速、韓信を呼びつけようとします。

しかし、䔥何は、それを見て渋い顔をして止めました。

 

䔥何「漢王は、ざっくばらんで親しみやすい、それは徳ですが、

韓信のようなプライドが高い気難しい男は、それでは逃げます」

 

劉邦「ほんじゃあ、どうすりゃ ええんじゃい?」

 

䔥何「祭壇を造り、盛大に韓信を大将軍にする儀式を行います。

漢王は、韓信に上座を勧め御自身は下座でへりくだるのです

そうすれば、韓信は満足し、漢王の為に必死で働きます」

 

劉邦「ちっ・・あの中二病が、、面倒くさいのぉ・・

わかった、わかった、言う通りにしよう」

 

劉邦は、䔥何の意見を容れ、吉日を選んで大将軍を任命する儀式を

大々的に行うと布礼を出します。

それは、全軍に知れ渡り「どうやら凄い人が大将軍になるらしい」

と兵士たちは噂をしあいました。

 

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韓信、超感動! 人生最高の晴れ舞台

韓信

 

韓信には、最高級の鎧兜が与えられます、これまで佩いた事もない

上等な剣も用意されました。

もちろん、大将軍の待遇ですから、馬車も召使いも御者も付きます。

 

韓信「これだ!!俺様が求めていたのは、

まさにこういうものなんだ!」

 

韓信は人知れず感動していると、外には祭壇が用意され、

太った牛が殺されて、その血と肉が備えられます。

そして、漢中王である劉邦が、韓信の手を恭しく取り、

自ら上座へと案内し自身は下座についています。

 

劉邦「宰相の䔥何は、何度もあなたを

大将軍にするように私に進言しました。

では、大将軍、私のような徳の薄い男に、

どんな妙策を授けて下さるのでしょうか?」

 



韓信のもったいぶった情報分析炸裂!!

韓信 将軍

 

韓信は、劉邦の手厚い待遇に感謝して、こう言いました。

 

韓信「漢 今、故郷に帰り天下を争っているのは

あなたと項羽大王のどちらでしょうか?」

 

劉邦「天下に近いのは確かに項羽じゃ・・」

 

劉邦は不愉快です、こっちは天下どころか、

ド田舎に左遷された身の上です。

 

韓信「漢王と項羽を比べて勇気が勝るのはどちらでしょう?」

 

劉邦「・・悔しいが項羽が上であろうな・・」

 

劉邦はしばらく沈黙して考えてから、嫌そうに言いました。

 

韓信「失礼ながら、私もそう思いますww

しかし、私は長年項羽を研究してみて、

思い当った事があります。

宜しければ、ここで語って宜しいですか?」

 

劉邦は、もったいぶった韓信の言い方を我慢して

それを許可しました。

 

韓信、項羽の欠点を次々に並べる・・

項羽

 

韓信「項羽大王は、武勇無双で、その声で怒鳴れば敵が千人でも倒れます。

故に彼は優秀な将軍を使って戦うという事が出来ません。

自分の力しか頼みにしないからです、よって彼の武勇は匹夫の勇に過ぎません。

また、項羽は人に対して親切で丁寧に接します。

身近に病気になっているものがいれば泣いて飲食物を分け与える程です。

ところが自分が使って手柄を立てた人間には、

恩賞を与えるのを惜しみ、その印綬がすり減るまで弄びます。

よって、項王の情愛とは、ああ可哀想という程度、

しょせんは、女子供の情に過ぎません・・」

 

劉邦も群臣もポカンとして、韓信を見ています。

無理もありません、鬼のように強く無敵であるように見えた項羽に、

このような弱点があるとは知らなかったのです。

 

韓信の名言炸裂 その強さは弱め易し!!

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韓信の状況分析は、さらに続きます。

 

韓信「また項王は、天下を治めやすく反乱鎮圧にも便利な関中を捨て、

辺鄙な彭に都を置きました、彼は戦略よりも故郷を取るボンクラです。

それに、項羽はかつて義帝が約束した、手柄があるものに公平に

領地を分けよという言葉を反故にして身内にばかり厚い恩賞を与えました。

 

その義帝まで邪魔になると江南に放逐して殺してしまう有様、、

かつては、自らも崇めていた主をあっさり捨てる事、草履のようです。

これには、諸侯も呆れて、領地に帰るや否や項王に背きました。

彼は、自らの行いが自分の首を絞めている事に気づきません。

 

項王は、自分に離反した諸侯を必死に攻めていますが、その戦いは

残酷そのもの、民百姓まで皆殺しで、彼が通った後には、何も残りません。

百姓は項王を憎悪し、彼に従っている者は、ただ、その力を恐れて、

離れる事が出来ないというだけに過ぎません。

 

確かに項王は、百戦百勝し強そうに見えます、だが内容はお粗末で

敵を増やし味方を減らしているだけです。

項王は、強そうに見えますが、ふん、、それを弱めるのは簡単です!!」

 

ここに至って、漢軍に漂っていた敗北ムードは一掃されてきました。

「なんだ韓信か・・」とバカにして見ていた諸将も驚きを隠せません。

 

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悪逆を尽くした項羽に従うものは少ない・・

劉邦と項羽

 

韓信「項羽大王は、絵に書いたような悪逆を繰り広げています。

天下の武勇に任せればどこであろうと誅殺されない所はなく

その功臣に領地を与えても、どこの民でもそれに従わず、

義兵を集めて、諸侯を攻撃しようとしても兵は離散してしまいます。

 

また現在、かつての秦を治めている、司馬欣、章邯、董翳は

かつては秦の人民を率いて、何度も戦い、多くの兵を殺しながら

最後には項王に降伏しました。

そして、項王は、その投降した秦兵を邪魔に思い新安で

二十万余の秦兵を虐殺しました。

その時脱出して項王にへつらうのが司馬欣、章邯、董翳の3名です。

秦の人民で、これを恨まない者は誰ひとりもいません」

 

秦は、漢中の険しい桟道を越えた先にあります。

その三秦の王が人民に憎まれているというのは、これから

漢中を抜ける漢軍にとっては、最も有り難い情報でした。

 

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劉邦、韓信を激賞! 俺はあんたを得るのが遅すぎた!!

韓信 将軍

 

韓信は、しきりに感心する劉邦を前に、すっと立ち上がります。

 

韓信「君達も覚えていよう、漢王は武漢に入城しても略奪をせず、

秦兵を一人も殺さなかった事を!!

また過酷な秦の法律を優しく簡単なものに造り替えて秦人を歓喜させた事を!

あの時、漢王に関中王になってほしいと願わない者はいなかった。

秦の人民は、漢王が義帝との約束で関中王になる筈であった事を知っている。

そして、項王の横やりで、漢王が僻地に左遷された事を恨んでいる。

今、万難を排して、ここを脱出し関中に入城できれば、

秦人は歓喜してこれを迎え、三秦は労せずして漢王の手に入る!

かつて義帝は申された事がある、関中を制するものが天下を制すと!

ならば、天下は、まさに今、漢王の手の中にあり!!」

 

興奮した漢軍の兵は皆、片肌を脱いで声を挙げました。

 

「漢中王!ばんざーい!!」

 

「韓信大将軍ばんざーい!!」

 

劉邦は思わず、持っていた杯を地面に叩きつけていいました。

 

劉邦「大将軍よ!!俺はあんたを得るのが遅すぎた!!」

 

韓信「戦の支度をしましょう、こんな田舎は早く出た方がいい(笑)」

 

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春秋戦国ライターkawausoの独り言

kawauso 三国志

 

以上は、ほぼ史記の淮陰侯伝から抜き出して書いたものです。

どうでしょう、韓信のドラスティックな状況分析に、

こちらも、目の前の霧が晴れるような気分になりませんか?

色々面倒くさい韓信ですが、やはり一代の英傑だったのですね

 

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台湾より南、フィリピンよりは北の南の島出身、「はじめての三国志」の創業メンバーで古すぎる株。もう、葉っぱがボロボロなので抜く事は困難。本当は三国志より幕末が好きというのは公然のヒミツ。三国志は正史から入ったので、実は演義を書く方がずっと神経を使う天邪鬼。

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