戦国策(燕策)他人の名声で自分を利するの巻

2019年1月5日


 

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春秋戦国時代の地図

 

中国大陸の北東で(せい)と争っていた(えん)

 

実は燕はミステリアスな国で春秋時代の燕のことについてはほとんど史料が残されていません。

『戦国策』にその姿が著され、ようやく戦国時代の姿が浮かび上がってきた燕ですが、やはり他の国とは違う雰囲気。

今回はそんな燕での遊説家たちの活躍を『戦国策』燕策からいくつかピックアップしてご紹介したいと思います。

 

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監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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乱れている国は狙い目ですよ

曹魏の3代に仕えた桓範(かんはん)

 

ある日、(しゅう)人である宮他(きゅうた)が燕のために使者として魏に出かけました。

 

しかし、魏は宮他を燕の使者と聞いて数か月もの間無視し続けました。

 

これを哀れに思った賓客(ひんきゃく)が魏王に燕の使者の話を聞かない理由を尋ねると、

「燕の国内は乱れているからね。」

との答えが。

 

すると賓客は次のように魏王に説きました。

 

(いん)(とうおう)()桀王(けつおう)を討ったときには国が乱れていました。

このことに(かんが)みるに、大乱が起きている場合には地が得られ、小乱が起きている場合には宝物が得られるもの。

燕の客人は

『もし願いを聞き届けていただけたら地と宝物を出し尽くしても文句は言いません』

と言っています。

それなのに魏王さまはなぜ客人とお会いにならないのですか?」

 

賓客の言葉を聞いて魏王は大喜びで宮他と会ったのでした。

 

使者・宮他の人脈の広さに燕は救われた形となりましたね。

 

はたして使者の願いは聞き届けられたのでしょうか…?

 

 

 

まず隗より始めよ

馬に乗って単身荊州へ赴く劉表

 

斉によって滅亡の淵に立たされた燕。

 

そんな燕で王位についた昭王(しょうおう)は優秀な人材をより多く燕に招き入れたいと考えます。

 

そこで、そのための知恵を教授してもらおうと郭隗(かくかい)先生のもとへ赴きました。

 

郭隗先生は

「まごころを込めてひろく国中の賢者を選び、その門を叩いてみてください。

昭王さまがわざわざ賢臣をお訪ねになる人だと天下に知れ渡れば天下の士が『我こそは』と燕に集まってくることでしょう。」

 

と答えました。

 

この言葉を聞いた昭王は更に

「まずは誰を訪れればよいでしょうか?」

と尋ねました。

 

すると、郭隗先生は次のように答えました。

 

「古の人君に千金で千里の馬を求める人がおりました。

しかし、いつまで経っても千里の馬は現れません。

そんな人君にある役人が『私が買ってきますよ』と申し出たので、人君はお金を渡して買いに出させました。

ところが、役人は五百金で死んだ千里の馬を買ってきたものだから人君は大激怒。

 

しかし役人は次のように話したのです。

『死んだ馬でも五百金で買うのだから、生きている馬はもっと高く買ってもらえると世間で噂になるはずです。

千里の馬は必ずやって来るでしょう。』

 

はたして、1年もしないうちに千里の馬が何頭も人君のもとにやってきたのです。

 

さて、昭王さまが心から士を招きたいのであれば、まずこの私、隗より始めてくださいませ。

 

私でさえ昭王さまに招かれたとあれば私より優れた者たちはなおさらのこと。

千里を遠しとせずやってくるでしょう。」

 

昭王は郭隗先生の言葉を受けて

まず郭隗先生のために宮殿を築いて師事しました。

銅雀台

 

すると、この噂を聞きつけて後に斉を滅亡寸前まで追い込む楽毅(がっき)や五行説を唱えた天才陰陽家・鄒衍(すうえん)、後に燕の国教を司る法家・劇辛(げきしん)など

優秀な人材が燕に続々終結。

かくして燕はかつてないほど富み栄えることになったのでした。

 

—熱き『キングダム』の原点がココに—

春秋戦国時代  

 

 

私の伯楽になってください

 

蘇代(そだい)が燕のために斉に使者として赴いた際、まず斉王と謁見するために斉の説客・淳于髠(じゅんうこん)を口説こうと次のような話をしました。

 

「あるところに駿馬を売る者がいました。

しかし、誰も目をとめてくれません。

そこで、伯楽(はくらく)に会いに行き、

『私の馬の周りをぐるっとまわってご覧になり、振り返り振り返り立ち去っていただけませんか?

そうしてくだされば馬が売れたときのお金を分けてお礼にさしあげます。』

と言いました。

 

伯楽が言われたとおりにすると、馬は十倍の価格で売れたのだとか。

 

さて、私も駿馬として斉王さまにお会いしたいのですが、あなたが私の伯楽になってはくれませんか?

白璧を一対と黄金千鎰で飼料の代金にさせていただきます。」

 

この言葉を聞いた淳于髠(じゅんうこん)は二つ返事で承諾。

 

かくて蘇代(そだい)は斉王に気に入られ、燕の使者としての役割を果たすことができたのでした。

 

※白楽は馬の鑑定の名人と呼ばれた人

   

 

三国志ライターchopsticksの独り言

 

燕は他所から優秀な人を集めることが上手な国だったようですね。

『戦国策』は小話集のようなきらいがありますが、それぞれの国の小話を分析していくとその国の姿や性格がなんとなく見えてきます。

皆さんも『戦国策』を読んで個性豊かな戦国時代の国々の性格を分析してみてはいかがでしょうか?

 

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