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司馬昭の台頭と夏侯覇の裏切りとも言える亡命、そして両方に縁ある武将羊コ

2020年2月29日


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斉王になる司馬攸

 

今回は三国志の末期に注目していきたいと思います。三国志も終盤になると様々な武将たちが亡くなっていき、段々と三国から晋へと変化していくのが読み取れますね。

 

司馬昭

 

そんな末期の人物たちの中でも、数奇な運命を辿ることになった夏侯覇(かこうは)羊祜(ようこ)、そして三国志の終焉の立役者とも言える司馬昭(しばしょう)。今回は彼らの関係について、少し見直してみたいと思います。

 

自称・皇帝
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監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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司馬昭の台頭

司馬昭と司馬師

 

早逝した兄に代わって時代を晋へと進めていく司馬昭。

 

司馬懿、司馬師、司馬昭

 

彼の台頭は父である司馬懿(しばい)、兄である司馬師(しばし)と共に行われる曹爽(そうそう)へのクーデターからと言っても過言ではないでしょう。これによって曹爽の一族はことごとく処刑され、曹爽(そうそう)に代わって司馬一族が覇権を握るようになってしまいます。

 

曹髦

 

この時点では司馬一族はあくまで曹魏の配下ですが、皇帝は最早お飾りとしての存在であり、後に皇帝・曹髦(そうぼう
)
はこのことを己の不徳の致すところと詩を読むなどしています。この頃には既に司馬懿、司馬師は亡くなっているので、魏の覇権は司馬昭が握っていることになります。

 

立場が危ぶまれる夏侯覇

夏侯覇

 

司馬昭が、というより司馬一族のクーデターで身の危険を感じ始めたのが、曹一族と関係深い夏侯一族です。特に夏侯覇、夏侯玄(かこうげん
)
は曹爽と親しかったとも言われており、完全に政権争いに敗北したこともあって二人は自分の身を案じ始めます。

 

逃げる夏侯覇

 

後に夏侯玄は司馬昭により処刑されますが、夏侯覇は出奔して亡命を成功させます。ただ、この亡命国が夏侯覇の件で問題にされることが多いですね。

 

法正に敗れる夏侯淵

 

というのも夏侯覇の亡命国は蜀、親戚を頼ってのことですが蜀は魏の敵であり、何より夏侯覇の父親である夏侯淵(かこうえん)を討った国でもあります。このため夏侯覇が亡命すると親族たちは夏侯覇に絶縁状を叩き付けることになります。

 

両名ともに関係者だった期待のニューカマー・羊コ

羊コ 羊祜 魏と晋

 

しかし夏侯覇に絶縁状を叩き付けなかったのが、夏侯覇の娘と結婚していた羊コ。彼は逆に義父の身を案じ、妻を労わったと言います。

 

王基に感謝する司馬昭

 

羊コは三国志末期に出てくる人物の一人で、司馬昭、司馬炎(しばえん)からは信任され、部下や民からの評判は非常に良いという期待のニューカマー。しかも彼の姉は司馬師(しばし)の妻であり、自分の妻は夏侯覇の娘、司馬昭の妻である王元姫(おうげんき
)
は母親が羊一族と、対立した司馬家、夏侯家両方に深く関係していた人物です。司馬昭の腹心として活躍しながらも、父である夏侯覇の娘のため世間にきつく当たられる妻を大切にしたと言います。

 

夏侯覇の亡命は、正しかったのか?

自信のある夏侯覇

 

さて前述したように夏侯覇の亡命によって残された一族たちは大変に苦労したようです。しかも実は同じく夏侯淵の息子である弟・夏侯威は司馬一族の政権下でも重用されました。晋の時代になっても夏侯家は続いたのです。結果論で言えば夏侯覇の亡命は、一族の立場を危うくしただけになってしまいますね。

 

夏侯覇の妻は誰?

 

なので個人的にこの夏侯覇の亡命理由について「亡命」ではなく「忠誠」からであればいいなと思わずにはいられません。ただ保身ではなく、父親を殺した蜀に降ってでも主家である曹家を蔑ろにしていく司馬一族に対抗したかった……そのために自分以外の一族からそしりを受けても、一族を危うい立場にしてでも行動した夏侯覇……という人物像を夢見てしまいます。そんな夏侯覇だったからこそ、羊コのような人物が配慮したのでは、と思うのです。

 

三国志ライター センのひとりごと

三国志ライター セン

 

夏侯覇の司馬一族との対立、蜀への亡命だけを見返してみると、どうしても夏侯覇の行動が短慮、他人への配慮に欠ける行動に見えてしまいます。最初に読んだ時には優秀と言われる夏侯覇の行動として何だか納得がいかないようにも感じてしまいましたが、関係者である羊コを絡ませて考えると、また別の側面が見えてくるような気がしてきました。

 

海上での戦い(地図と本)

 

こういったただその人物だけの履歴を追うのではなく、他の人物との関連性を考えるのも三国志の楽しみ方の一つですね。夏侯覇は終焉に続いていく三国志末期、それでももしかしたらまだ諦めていない人物たちは、数多くいたのかも……そう思わせてくれる武将の一人だと思います。

 

参考文献:晋書羊コ伝 魏略

 

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全訳三国志演義

 

 

 

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セン

両親の持っていた横山光輝の「三国志」から三国志に興味を持ち、 そこから正史を読み漁ってその前後の年代も読むようになっていく。 中国歴史だけでなく日本史、世界史も好き。 神話も好きでインド神話とメソポタミア神話から古代シュメール人の生活にも興味が出てきた。 好きな歴史人物: 張遼、龐統、司馬徽、立花道雪、その他にもたくさん 何か一言: 歴史は食事、神話はおやつ、文字は飲み物

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