キングダム639話ネタバレvol3「白起は中華統一を目指した悲劇の旧六大将軍だった」

2020年4月15日

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白起(春秋戦国時代)

 

大人気春秋戦国時代漫画キングダム、旧六大将軍で最強の評価を与えられているのは、将軍筆頭の白起(はくき)でしょう。しかし、この白起、目玉ギョロギョロの怪人物として描かれ、少なくとも、好感を持てるような風貌をしていません。

 

それは白起が悪名高い長平の戦いで40万人もの趙兵を生きたまま埋め殺したという逸話のせいで、目的の為には手段を択ばない人物として見られているからでしょう。

kawauso

 

でも、それは正しいのでしょうか?kawausoは白起こそ、秦の中華統一を目指し全ての泥をかぶった悲劇の名将だと思います。

 

キングダム639話ネタバレvol3「六国を滅ぼす明確な意志を持つ白起」

キングダム 戦国七雄地図

 

キングダムには、六大将軍と称された、白起、司馬錯(しばさく)、公孫胡傷(こうそんこしょう)、王騎、王龁(おうこつ)、摎(きょう)がいますが、この中で明確に中華統一の意志を持っていた大将軍は白起だけでした。それは、この六人の中で唯一白起だけが、楚の都である郢(てい)を攻めたばかりか、そこにあった歴代楚王の墓、王陵(おうりょう)を焼き払ったという記述が、史記白起王翦列伝に登場するからです。

曹操のお墓(曹操高陵)

 

当時の中華では、先祖代々の墓を守り、お祀りを欠かさない事が家を維持する事でした。弱肉強食に見えても、そこは各国の将軍は遠慮し、敵国の王陵は焼かないというのが、暗黙のルールだったのです。

 

歴代皇帝の墓を暴こうとする韓遂の兵士

 

しかし、白起はそれを堂々と否定し、楚の祭祀を不可能にしました。これは「お前達は滅ぶのだから墓など必要ない」という滅亡を示唆する挑戦状でした。白起は秦という超大国だけが中華に残り、後は滅ぶべしという中華統一主義者だったのです。

 

キングダム639話ネタバレvol3「白起が敵兵を殺し続けた理由」

春秋戦国時代の白起、デビュー戦から大殺戮

 

キングダムの時代の将軍は、敵兵を容赦なく殺害する冷酷な人が多かったのですが、その中でも白起は群を抜き、殺しも殺したりで84万人を殺戮しています。

 

これだけ見ると、血に飢えた殺人鬼のようですが、白起が中華統一を最終目標にしていたという事を思い合わせると感想が違ってきます。

敗北し倒れている兵士達a(モブ)

 

六国を滅ぼすという意志を持った白起にとっては、敵兵は一人でも多く殺してしまえば、それだけ敵の抵抗が減り、中華統一へ結びつく近道でした。他の将軍は今後の友好を考えて助命したり捕虜にしても、白起がそうしないのは、自分の代で六国を滅ぼす堅い信念があったからだと言えます。

 

キングダムネタバレ考察

 

キングダム639話ネタバレvol3「悲劇の幕開け野王陥落」

炎上する城a(モブ)

 

ここからは長平の戦いの原因になった野王陥落(やおうかんらく)と上党(じょうとう)の離反について書きます。少し、面倒くさいですが、ここを知らないと王翦が40万人の趙兵を穴埋めした経緯が不明になるのでガマンして下さい。兵糧を運ぶ兵士

紀元前263年、秦は野王を陥落させました。これにより、韓の王都、鄭(てい)からの補給線が途絶えた上党という土地が出現しました。本来ならば秦に降るべき所ですが、上党の民は、秦の野蛮さを嫌っていました。

 

上党太守の馮亭(ふうてい)は、「秦に降るくらいなら趙に救援を求めよう、そうすれば韓と趙で同盟が結ばれ、きっと秦に対抗できる」と説き、民はこれに賛成します。

 

馮亭は趙に行き、自分達は秦の民になるより趙の民になりたいと帰順を要請。趙には、そんな事をすれば秦の怒りを買うので受けてはいけないと反対する家臣もいたものの、趙の孝成王は、欲に目がくらみ上党を趙に併合しました。

 

思った通り、秦は激怒して王龁に上党を攻めさせ陥落。上党の民は趙に向かって難民になり逃げていきます。趙もこれを見殺しに出来ず、長平まで軍を派遣して収用しました。

秦の旗を掲げる兵士

 

二重にコケにされる形になった秦は王龁(おうこつ)を長平に向かわせ、趙は名将廉頗(れんぱ)に防御を命じます。これが長平の戦いの原因なのです。

キングダム639話ネタバレvol3「白起長平に登場」

万里の長城

 

廉頗は老練な名将であり、秦の強さを前に無理に攻めずに塁壁を築いて防戦に転じる事にします。王龁は何度も挑発しますが、廉頗は決して出て来ませんでした。廉頗が邪魔な秦は、廉頗は大した事はないが、馬服君の息子である趙括が出てくる事を心配していると流言を流させました。

 

趙王は、これを真に受けて廉頗と趙括(ちょうかつ)を交代させます。趙括は机上の戦術家で実戦を知らず、父の馬服君の名声が高いだけで、ちやほやされたエリートであり自惚れ屋でした。廉頗に仕えていた幕僚も、それを心配し、積極策を取る趙括に諫言しますが、それが気に食わない趙括は、幕僚を全てクビにして入れ替えます。

紂王

 

勝てる算段が出ると、秦は極秘に白起を呼び寄せ総大将とし王龁を副将に下げます。当時、白起の名は恐怖であり、ビビった趙王が廉頗を呼び戻すのを警戒したのでしょう。

 

進軍する兵士b(モブ用)

 

趙括は長平に到着すると塁壁を出て秦軍を撃ちます。白起は偽って敗走を命じ、伏兵を二手に配置して、趙軍の背後を断つ作戦に出ます。趙括は勝ちに乗じてどんどん追撃して、秦の塁壁に迫ったものの塁壁が堅固で突破できません。それを見た秦の伏兵の一手の2万5千人が出撃し趙軍の背後を分断。もう一手の伏兵5千騎が、趙括軍とその塁壁の間の連絡を遮断しました。

 

そのため趙軍は二分されて糧道が絶え、伝令を出そうとすると白起は軽装兵を出してこれを撃破したので伝令は届きません。

昭襄王

 

趙括は脱出不可能と見ると、塁壁を築いて守り援軍の到着を待ちます。秦の昭襄王は趙の補給が絶えたと聞くと、自ら河内に進み、秦の住民にそれぞれ爵一級を賜い、15歳以上のものを徴発して長平へ向かわせて、趙からの援軍・糧食を遮断します。今回、李牧がキングダムでやった鄴の飢え攻めのようなものです。

敗北し倒れている兵士達b(モブ)

 

補給の無い日が46日以上続き、趙の陣営では飢えて人を殺して食う事が横行、焦った趙括は4隊を組織して絶望的な突撃を繰り返した挙句射殺されました。

 

キングダム639話ネタバレvol3「趙を滅ぼすのは今!白起40万を穴埋め」

 

長平には、本陣に取り残された40万人の将兵が残されました。白起は、しばらく考え、そして決断しました。「上党は最初に秦に降伏しながら趙に寝返った。そして趙の士卒は元々反抗心が強い、ゆえに趙兵は皆殺しにしないと後の禍になるだろう」

 

白起は、趙兵を騙して穴を掘らせ、その後に次々と趙兵を突き落として40万人を生き埋めにし上から土をかぶせました」助命したのは、240人の少年兵だけでした。どうして、白起がこんなに非情な決断をしたのか?それは白起がこれを契機に一気に邯鄲を落として趙を滅ぼす決意だったからです。

 

40万人の趙兵は逃がせばまた刃向かってきます。かといって捕虜にすれば食糧を食い潰され邯鄲の包囲に必要な兵糧が確保できません。だから、40万人を穴埋めしたのです。

 

もちろん並みの人間に下せる決断ではありません、人道主義や祟りや悪名にびくともしない白起だからこそ出来た驚くべき決断です。

 

白起軍は、このまま進み邯鄲を包囲する準備に入ります。長平の敗戦の衝撃から立ち直れない趙は、白起に震え上がり戦意もなく、本当ならここで滅ぶハズだったのです。

 

キングダム639話ネタバレvol3「応侯の自己保身で趙滅亡が遠ざかる」

李儒

 

長平での白起の強さに恐れ慄いた趙と韓は遊説家の蘇代(そだい)を呼び出し大量の贈物を与えて、白起を更迭させるように依頼します。蘇代は承知して贈物をふんだんに秦の取次に渡し、宰相の応侯に面会を願い出て許可されます。

 

蘇代は、応侯に面会すると、もしこのまま白起が邯鄲を落とし趙を滅ぼせば、その名声は空前絶後になり、地位は三公に登り、あなたを超えるだろうし、残された趙の土地は、それぞれの国に吸収され幾ばくも残るまいと言い、一度白起が上役になれば、二度と応侯が抜き返せないと断言します。

 

そして、その禍を避けるには、白起が邯鄲を落とす前に韓と趙に領地を割譲させて、和睦して白起の手柄を横取りするに限ると告げました。

塩商人だった関羽

 

内心、白起の台頭に不安を覚えていた応侯は蘇代の口車に乗り、昭襄王(しょうじょうおう)に韓と趙が領地を割いて和睦を求めたので、秦の兵士を休息させるために撤退したいと上奏。王はこれを許し、紀元前258年正月、秦兵を引き上げさせたのです。

 

秦が得たのは、韓の垣雍と趙の六城の合計7つの城というショボいものでした。邯鄲包囲の準備をしていた白起は、余りの理不尽に耳を疑い、以後、応侯を激しく憎みます。

病気になった兵士

 

それはそうでしょう、趙を滅ぼすつもりで殺す必要もない40万人を穴埋めにしたのに、絶好のチャンスを応侯の保身に潰されたのです。そのショックと長期対陣で体調を崩した白起は、しばらく病気療養します。

キングダム639話ネタバレvol3「白起は子供っぽい人ではない」

洛陽城

 

紀元前258年9月、昭襄王は王陵(おうりょう)を将軍にして邯鄲を包囲させます。この時、白起は病気が癒えず、戦線に復帰できませんでした。翌紀元前257年正月、昭襄王は、さらに王陵を送り込み、大きく増援しますが、王陵は五人の将校を失う大敗を喫し、失望した秦王は、病気の癒えた白起を再登板させようとします。しかし、白起は辞退しました。

 

この時の白起の態度を更迭されて秦王を恨んだボイコットと言う人がいますが、kawausoは違うと思います。それは辞退の理由を読めば一目瞭然です。

内容に納得がいかないkawauso様

 

邯鄲を落とすのは簡単なことではありません。

それに加えて諸侯の援軍が日々到着しています。楚や魏のような諸侯が秦を怨んでいる年月は、久しいものがあります。今、秦は長平の敵軍を破りはしたものの、秦の士卒の死者は軍勢の半分を過ぎ、国内の兵員も少ない状況になっています。

遠く山河を越えて、外国の国都を攻めようとしているのです。趙軍が内から応戦し諸侯の援軍が外から攻めてくれば我が軍に勝ち目がないのは当たり前、今は邯鄲は攻めるべきではないのです。

韓信

 

御覧のように白起は、今どうして秦が敗れているのか惨いほど正確に指摘しています。

 

行軍する兵士達a(モブ)

 

2年前の長平敗戦のショックの頃ならいざ知らず、秦への憎しみで、邯鄲の内も外も団結した趙は強くなっていて、逆に秦は遠征で疲弊し兵も半分死んでいるのに、これで勝てたら奇跡ですと、至極真っ当な事を言っています。決して子供っぽい当てつけではないのです。

 

キングダム639話ネタバレvol3「子供っぽい昭襄王の難癖」

長安(俯瞰で見た漢の時代の大都市)

 

子供っぽいのは、むしろ昭襄王や応侯で、勝てませんという白起を無理やり出陣させようとします。この2人は白起を魔法使いか何かと勘違いし、出せば勝てると信じ込んでいるようです。バカな思い込みで白起もまた勝てる要因がないなら勝てる道理がありません。負けて敗戦の責任を押し付けられたらたまらんと、白起は面倒になり病気と称して自宅に引き籠ります。

信陵君

 

昭襄王は、攻めるべきではないという白起の助言を無視、王陵に代えて王龁を将軍にします。しかし、結果は同じで邯鄲を包囲したが攻略できません。ここで楚は春申君(しゅんしんくん)及び、魏の信陵君(しんりょうくん)に命じて、兵力10万を率いて秦軍を攻めさせます。士気もなく疲労も溜まっていた秦軍は多くの死亡者・逃亡者を出して大敗します。

 

キングダム639話ネタバレvol3「白起自決」

戦国昭王、大激怒で白起に死を命ずる

 

無残な敗戦の報を聞き白起が呟きました。

「秦は私の計略を聴きいれなかったから、今、この敗北に至ったのだ。」

 

白起としては言わずにいられないでしょう。絶好のチャンスをつまらぬ保身で不意にし、攻めてはいけない時に趙を攻めた道理のワカラン、秦のアホ連中に絶望したのです。

 

しかし、これを密告するものがいて、とうとう秦王の耳に入ります。怒った王は強制して白起を出陣させようとしますが、白起は重病と称して断りました。次に応侯が要請しても応じませんでした。

 

そこで、秦王は白起をクビにして一兵卒に落とし陰密に移住させることにします。ここは罪人が流れる僻地でしたが、白起は重病でまだ出発できずにいました。これが白起の運命を決してしまいます。三ヶ月が経過すると、諸侯の軍が激しく秦を攻め秦軍は何度も退却します。

 

秦王は、白起が自分のザマを見て嘲笑うと思ったのか、白起を追放して咸陽の中に留まれないようにせよと命じます。

 

白起は咸陽を出発して、咸陽の西門をでてから十里で杜郵(とゆう)に着きます。昭襄王は、応侯及び群臣と議論し、白起は移住する時に心中に不服を抱いており、怨みの言葉も残した許せぬと結論。こうして秦王は使者を送って白起に剣を贈り自殺するように命じたのです。

 

キングダム639話ネタバレvol3「秦人が同情した死」

宋江の夢(水滸伝の主人公)

 

白起は、秦王の剣を受け取りますが、どうして自分が死なねばならないのか理由が見つけられず、考えた末に、遂に長平で数十万を生き埋めにしたから、それだけで死罪に値すると納得し自殺しました。秦の人々は罪なくして死んだ白起を憐れみ、祠を建てて祀り、その霊を慰めたそうです。

キングダム639話ネタバレvol3「どうして長平を死の理由にしたのか?」

真っ二つにされる魏続(ぎぞく)兵士

 

ここで、白起が長平の穴埋めを自分の罪としたのは意味深です。それというのも、白起は生涯に84万人は殺しており、罪なら、他に幾らでも見出せそうだからです。どうして、その中から長平を選んだのでしょうか?

 

白起王翦列伝において、白起がしばらく考えたと書かれるのは、長平の穴埋めの時だけです。これはつまり、いかに趙を滅ぼす為とは言え、40万人という人間を殺戮するという事実に白起が悩んだ事実を示しているのではと思います。

 

しかし、いざ殺してから応侯のつまらぬ保身のせいで、40万人の死はまるで無駄になった、その自責の念が、白起に長平の罪という十字架を背負わせたのでしょう。もし、もっと早く和睦が出来ていたら、白起は40万人も穴埋めにして殺すという血塗られた決断をしなくて済んだかも知れません。

 

キングダム(春秋戦国時代)ライターの独り言

kawauso 三国志

 

白起こそは、秦の手による中華統一を最初に目指した天才将軍だったと思います。ところが、その苛烈な才能は、秦王にもライバルにも理解されず、非業の最期を遂げてしまうのです。白起が生きていたら始皇帝より前に中華は統一されていたかも知れません。

 

参考文献:史記 白起王翦列伝

 

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台湾より南、フィリピンよりは北の南の島出身、「はじめての三国志」の創業メンバーで古すぎる株。もう、葉っぱがボロボロなので抜く事は困難。「はじめての三国志」編集長。三国志・中国史を中心に、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を執筆・編集し、当サイトでは4,000本以上の記事を担当。三国志は正史から入ったため、演義を書くときのほうが神経を使うという天邪鬼。故郷・沖縄の歴史に関する勉強会の開催や、ラジオパーソナリティとしての活動も行う。

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