不臣の礼からわかる激動の時代!曹操と夏侯惇の立場


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曹操と夏侯惇の立場(1P目)

 

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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少し気になる

曹操

 

と、ここで少し気になることがあります。この不臣の礼があった時が219年です。また不臣の礼自体は曹操が言ったことですが、そもそもとして夏候惇が言い出したことを考えると夏候惇の要求となります。しかし曹操が魏王となったのは216年。

 

もしかして夏候惇は三年の間ずっと官位を与えられるのを待っていたのでしょうか……?

と思って、少し調べてみるとこの時代が如何に乱世であったか分かりました。

 

激動の時代

曹操

 

まず曹操が魏王になったのが216年5月。同年10月に孫権討伐、217年1月に交戦。3月に曹操は帰還するも、夏候惇は残って都督(ととく)を務めます。

 

ブチ切れる曹操

 

218年に劉備(りゅうび)討伐開始。

219年5月に夏侯淵(かこうえん)討ち死、曹操退却。

同年8月に関羽が樊城(はんじょう)于禁(うきん)を捕縛、徐晃(じょこう)が援軍に。

同年曹操は南下、夏候惇と合流、夏候惇前将軍に。

 

……見ると分かりますが、曹操、夏候惇両名ともとても忙しかったのですね。この時代が如何に激動の時代だったか分かります。これを見てみると夏候惇も夏候惇で、官位を要求するタイミングがなかったのでしょう。

 

きっかけとタイミング

死期を悟る曹操

 

因みに時期がはっきりとはしていないものの、曹操が南下して夏候惇と合流したのが219年の10月以降となります。そして220年1月、曹操は崩御。つまり曹操に官位を貰えるのは本当にこのタイミングしかなかったのです。もちろん夏候惇がそこまで分かっていたかどうかは分かりません。

 

夏侯惇

 

しかしもしも曹操が既にこの時に体調を崩していたのなら、夏侯惇は何かしら感じ取るものがあったのかもしれません。また同年に夏侯淵が討ち死したのも引き金となったのでは……そう思うとこの逸話はただ忠義だけでなく、激動と動乱の時代であったこと、そしてその時代が既に終わりに近づいていたことを知らせてくれる逸話の一つとも言えるのではないでしょうか。

 

三国志ライター センのひとりごと

三国志ライター セン

 

曹操が崩御した後、3月に夏候惇を曹丕(そうひ)が大将軍に任命しました。そして翌4月、夏候惇もこの世を去ります。夏候惇が魏の官位を与えて貰えたのは、ほんの少しの間だけなのです。それを余韻として、今回は終わりたいと思います。

 

参考文献:魏書武帝紀 文帝紀 夏侯淵伝 夏候惇伝

 

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セン

両親の持っていた横山光輝の「三国志」から三国志に興味を持ち、 そこから正史を読み漁ってその前後の年代も読むようになっていく。 中国歴史だけでなく日本史、世界史も好き。 神話も好きでインド神話とメソポタミア神話から古代シュメール人の生活にも興味が出てきた。 好きな歴史人物: 張遼、龐統、司馬徽、立花道雪、その他にもたくさん 何か一言: 歴史は食事、神話はおやつ、文字は飲み物

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