2020年12月11日にいよいよ封切りになるコメディ映画『新解釈・三國志』
そのメイキング映像の第3弾では、呉の周瑜に首を刎ねられそうになった孔明が、No斬首!単独斬首ダメ!歴史に名前が残らないから!と大声で反対していました。
しかし、三国志の時代の斬首って、一体どんなモノなんでしょうか?
ここでは初心者でも、嫌になるほどわかる形で解説していこうと思います。
この記事の目次
戦慄!斬首はマサカリでやる
『新解釈・三國志』では、周瑜が刀で孔明の首を刎ねようとしていますが、あれは正しくありません。三国志の時代の刀は日本刀のように切れ味がよいものではないので、人間の太い首を刀で落とすのは無理でした。その代わりに、使用されたのが日本では金太郎さんが担いでいる事でお馴染みのマサカリです。
マサカリは重く、柄の長い分梃子の原理も使えるので、振りかぶってスコーン!と首を落とすのに向いている武器でした。その為、中国では長く刑罰の象徴として、マサカリが使用され王が将軍に権力を代行させるアイテムにもマサカリが使われていたのです。
もし、リアルに周瑜が孔明を斬首するなら、それは刀ではなくマサカリです!
残酷!台に乗せられ首が落ちるのを待つ
それと、『新解釈・三國志』では、孔明は地面に座った状態で斬首されそうになりましたが、あれも、危険極まりなく失敗するので止めた方がいいです。
通常、斬首の時には受刑者を鍖という細長い台の上にうつぶせで寝かせます。マサカリは重いので、水平に振るとブレてしまいますから、垂直に重さを活かして振り下ろす事で、キレイに斬首できるからです。
そして、当時の人々は冠を被っているので、首を斬る時に邪魔にならないようにアゴ紐を解いておきます。斬首人に対するエチケットですね。
また、三国志よりも古いキングダムの時代には、首ではなく腰を切断する腰斬刑という刑罰もありました。これは斬首と違い、瞬時に絶命せず苦しみが続く刑罰のようです。
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【古代中国の暮らしぶりがよくわかる】
絶対に動いてはいけない!
準備が済んだら肩の力を抜き、首が落ちるまでじっとしておきましょう。もし、恐怖のあまり首を動かしたり、逃げようとして態勢を変えると、斬首人の手元が狂って肩の骨が切断されたり、頭蓋骨を砕かれたり、とにかく流血の惨事になり、余計な苦痛に苦しめられる羽目になります。
実際、処刑場の遺骨には、首以外に、マサカリで斬り飛ばされたらしい骨の欠損が見られるそうで、恐怖のあまりに逃げ惑い苦しんだ人はいたようですね。しかし、それでも刑罰は停止されず続行ですから、受刑者も斬首人も地獄絵図、一体、斬首刑で誰が得をするんでしょう。
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単独斬首でも首は3日間ほど晒される
孔明は、単独で斬首されたら歴史に名前が残らないと抗議していましたが、そうとは限りません。通常、罪を得て斬首された罪人の首は、みせしめで人通りが多い市場などで、3日間、さらされる決まりになっていたからです。
また、ごていねいに木簡で、首だけになってしまった人の罪状を書いて添えておく事もあったそうなので、孔明も運が良ければ、周瑜によって市場に首をさらされ、沢山の人に見られます。さらに、運が良ければ、文字が書ける知識人層が、本日孔明斬首と記録に残すかも知れません。
公式記録ではないので、21世紀まで伝わるかどうかまでは、約束できませんが…
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