郭嘉が語った十勝十敗で曹操ご満悦!その巧みさに刮目せよ

2021年8月25日


 

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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「仁」

諸葛亮孔明の天下三分の計に感化される劉備

 

「仁」は三国志演義の劉備お馴染み、仁愛ですね。

 

袁紹「見人飢寒、恤念之形于顔色其所不見、慮或不及也。所謂婦人之仁耳」

曹操「於目前小事、時有所忍、至於大事、与四海接、無不済也。恩之所加、皆過其望、雖所不見、慮之所周、無不済也」

 

曹操と会見をする陳登

 

袁紹は他人の餓えを見ると哀れみの気持ちを顔に出すけれど、見えない所までは考えが及ばず、曹操は目の前の小さな点に関しては時に蔑ろにするも、大きな面を見て、目に触れないことまで考えて対応する、ということですが、これのポイントは決して袁紹には仁の心がない、ということではないということではないでしょうか。

 

後継者を決めずにダラダラする袁紹

 

ただし袁紹の仁愛は目に付く事が多く、その目の届かない所までは対処できない……根本的な解決法ではなく、その点において曹操は勝っている、と結んでいます。

 

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はじめての漢王朝

 

 

 



その話の巧みさ

郭嘉

 

さて一部のみご紹介しましたが、皆さん郭嘉の凄さにはお気づきでしょうか。まず曹操と袁紹を比較し、曹操だけを一方的に褒めるのではなく、袁紹との引き合いで袁紹のマイナス面を強調することで、より曹操の良さを分かりやすく説明しているのです。

 

郭嘉を採用する曹操

 

郭嘉の意図はどこにあったのかは筆者には分かりません。しかし郭嘉は曹操に対して、袁紹の十の負、曹操の十の勝を説明することで、そして分かりやすくすることで曹操に自信を持たせているのではないかと思います。

 

郭嘉

 

自信を持たせるには良い面を説明すること、しかし曹操の不安を払拭するにはただ自身の良い面を知らせるのではなく、対する袁紹に対して「勝っている」と分かりやすく説明することで、より曹操に自信をつけさせたのではないかと思います。だからこそ郭嘉は、巧みだな、と思うのです。

 

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if三国志

 

 

とにかく巧い

劉邦と項羽

 

因みにこの十勝十敗の直前に、郭嘉は項羽(こうう)劉邦(りゅうほう)を引き合いに出しています。項羽と劉邦もまた、同じ力を持っていた訳ではなく、強大な項羽に劉邦は知力で勝利しました。これもまた分かりやすい例を持って、郭嘉は曹操に解説したのですね。

 

孫策が早死すると予見する郭嘉

 

この巧みな説得、説明、そして鼓舞……これを受けた曹操が郭嘉を手に入れたことを喜ぶのもまた、必然と言えるのかもしれません。

 

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楚漢戦争

 

 

三国志ライター センのひとりごと

三国志ライター セン

 

見直せば郭嘉の説明、例と比較を出して分かりやすく説明していることが分かります。頭の良い人ほど難しい解説をせず、簡単に分かりやすく説明するとはよく言ったものです。改めて郭嘉の凄さに感嘆しますね。

 

郭嘉の本

 

しかし郭嘉伝をという響きを見ていると何か思い出す……あっ〇茶〇伝だ……!という筆者の余計なつぶやきを残しつつ、今日も三国志沼からお届けしました。

 

センさんが三国志沼にドボン a

 

どぼん!

 

参考文献:魏書武帝紀 郭嘉伝

 

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郭嘉特集

 

 

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セン

セン

両親の持っていた横山光輝の「三国志」から三国志に興味を持ち、 そこから正史を読み漁ってその前後の年代も読むようになっていく。 中国歴史だけでなく日本史、世界史も好き。 神話も好きでインド神話とメソポタミア神話から古代シュメール人の生活にも興味が出てきた。 好きな歴史人物: 張遼、龐統、司馬徽、立花道雪、その他にもたくさん 何か一言: 歴史は食事、神話はおやつ、文字は飲み物

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