しかしそこに
では最終的に、水滸伝の宋江は何も成し遂げなかったのでしょうか?
ただ利用され、国のために尽くしたのに、仲間たちを失い、最期は毒を飲まされて死亡。そこには悲劇しかなかったのでしょうか。ここで一歩、もう一歩だけ踏み込んで考えたいのが、水滸伝の浪漫についてです。水滸伝に浪漫があるとすれば、運命に導かれた108星が終結する、これこそ浪漫であり、70回の終幕ですね。
では100回は?
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滅びの道
100回は、宋江は仲間たちを説得して国に帰順、国のために戦い、その果てに始末されます。しかし最後に、その忠義は認められ、星は天に帰り、そして後に国は滅んだ。
結果を知っている人たちからすれば、滅ぶために戦っていた、滅ぶ国のために戦った人たちです。三国志演義で言うなら、諸葛亮がそうでしょう。蜀はどうあっても滅びます。どう足掻いても滅ぶのですが、忠義のために戦い続けました。そこに、その次代の人々は浪漫を見ました。夢を見て、煌めきを感じたのではないでしょうか。
同じ時代に生まれたお話、二つの終幕に、それを感じずにはいられない筆者でした。
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三国志ライター センのひとりごと
水滸伝と三国志演義、過程も終幕も全てが違う話が同じ時代に生まれたのは、その当時の人々がどんなものに感動したのか、その理由が込められているのではないかと思います。
正直に話すと、三国志が好きすぎて嘗てはさほど水滸伝には惹かれなかった筆者でした。しかし読み進めていく内に、ある種、共通する何かを読み取れるのではないかと思いました。
水滸伝、まだまだ筆者はその面白さの沼の畔ですが……いずれもっともっと、沈めていけたらな、と思います。
ちゃぽーん。
参考文献:水滸伝
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