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容姿
と、お気付きの方もいらっしゃいますでしょうか。沙悟浄は、お供になる時に剃髪します。つまりそれまでは髪があるのです。しかもこの髪の毛についても描写があり「紅い炎のような色のふわふわの髪」という髪質までも言及が為されています。
まあ他の容姿に付いては「丸い目で光っている」「黒いような青いような藍色の顔」と、それなのに怖い描写ではありますが。何が言いたいかと言うと、別に河童なんて一言も書かれてはいないのです!
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ああ勘違い
で、この沙悟浄=河童というイメージがどこから生まれたかと言うと。
「沙悟浄は妖怪となった」
「流沙河に住んでいた」
この二つがポイントです。
実は文字から勘違いされる……実際に勘違いされたのですが、流沙河とは流砂河、即ち流砂が河のようになっている場所のことで、つまりここは砂地なのです。ですが西遊記が日本に入ってきた時に流沙河が「河」として認識され、河の妖怪=河童としての沙悟浄の姿が生まれた、というのが河童としての沙悟浄が生まれた経緯なのです。
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注目点
さて、そんな沙悟浄ですが西遊記ではちょっと目立たない存在です。兄弟子二人がヒーローポジションの孫悟空、コミカルな立ち位置の猪八戒。この二人が喧嘩をした時に仲裁したりする役目……と言えば聞こえはいいですが、兄貴分二人にキャラクターを持っていかれた感はありますね。
しかしそんな沙悟浄は西遊記を元にした作品では厭世的なキャラクター、クール系、敢えて落ち着きのあるおじさま枠など、あまり本編で目立たないからこそのキャラクター性を付けられている気がしますね。もしかしたらそこが沙悟浄の魅力、なのかもしれません。
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三国志ライター センのひとりごと
今回は沙悟浄と、河童に付いてお話しました。こうやって翻訳の過程で生まれるキャラクター性、ついつい注目してしまいます。
もちろん西遊記本編も面白いです。しかし同時にこういう沙悟浄のようなキャラクターの「読者に想像の余地を与える」というのもまた、物語の面白さだと思いますね。そういう意味では三国志とはまた違い、三国志演義で生まれたキャラクターが人気が出る、というものに繋がるのかも……なんて。
色々と想像してしまいがちな筆者でした。どぼーん。
参考文献:西遊記
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えっ?三蔵法師にも、猪八戒にも沙悟浄にも前世があった!?
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