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丁夫人に辛く当たられても配慮を忘れなかった卞夫人
さて名家生まれの丁夫人は、身分が低い卞夫人を軽蔑し、日頃から辛く当たっていたと言います。それでも卞夫人は丁夫人に逆らうことなく、良く仕えました。しかし今や丁夫人は離縁され、卞夫人は曹操の正室。
そう、今までの恨みを……とはなりませんでした。卞夫人は曹操と丁夫人が離縁した後も丁夫人への配慮を欠かさず、丁夫人もこれに深く感謝したそうです。
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息子の事より曹操を支える事を優先した卞夫人
そんな卞夫人、息子の曹丕が後継者になることが正式に決まった時のこと。
周囲の者がお祝いに天下に貯蔵している宝を配りましょう!と言われて「夫は曹丕が年長だから太子にしたのです。何をそんなに喜んでいるのですか。そのように祝う必要などありません」とこれに取り合わず、あくまで粛々と過ごしました。
これを聞いた曹操は「怒った時には顔色を変えず、喜んだ時には節度を忘れない。これは最も難しいことだ」と言ったと言います。
また可愛がっていた曹植が罪を犯した際にも「曹植を特別扱いするな」と言っていたようで、卞夫人の冷静さと言うか、覇者の妻である迫力が伝わってくるようですね。
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母の愛に生きた丁夫人と曹操の妻として生きた卞夫人
丁夫人の怒りはごもっともですし、子を亡くした母親の怒りと哀しみは良く分かります。ですが、丁夫人はあくまで曹昂の母親であり続けました。
対して卞夫人は、曹操の妻、というか、覇者である曹操の妻、という迫力と気概を感じさせる女性でもあります。どちらが優れているという訳ではありませんが、個人的な観点だけを述べると、卞夫人はやはり、曹操の妻なんだなぁ……と、どうしても感じてしまいますね。
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三国志ライター センのひとりごと
主観だけを述べましたが、筆者は丁夫人も大好きです。曹昂を失って、決してその原因の一端である曹操に譲らないその姿は、正に母親としての愛と強さを感じさせます。
そして卞夫人の強さはまた、それとまた別方向に突き抜けているんですよね。卞夫人が決して愛情のない母親という訳ではないのですが、覇者・曹操の妻と言えば、自分は卞夫人かなぁ……とちょっと思ってしまった次第でした。
どぼーん。
参考文献:魏書武帝紀 后妃伝
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