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「兄者!荊州は俺に任せとけ!」「そうか?では張飛に・・・」関羽ではなく張飛を荊州の太守に任じていたらその後の三国志はどうなった?

2023年12月3日


 

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父・関羽とともに亡くなる関平

 

 

おそらく劉備(りゅうび)を中心に三国志を見ている人にとって、最大の衝撃シーンは、荊州(けいしゅう)争奪戦における関羽(かんう)の死でしょう。赤壁(せきへき)の戦いでの勝利から、荊州の平定、益州(えきしゅう)の平定と、劉備の版図が着々と広がっていたというのに!

 

悪役の曹操、正義の味方の劉備

 

これから曹操(そうそう)に対する最終決戦が始まる!というタイミングで、まさかの!

 

朱然によって捕まる関羽

 

 

根拠地のひとつの荊州が陥落し、名将である関羽(かんう)が敗死。この後、蜀漢の趨勢はどんどん下り坂になっていきます。

 

 

大きすぎる関羽像

 

 

もし、関羽が死ななかったら?もし、荊州が奪われていなかったら?蜀のファンであれば、何度も何度も、この問いを繰り返したことでしょう。いったいどこから歯車が狂ってしまったのでしょう?

 

 

はじめてのプロ野球 関羽

 

 

関羽一人に荊州を任せたから?でもあの時点で、誰かを重要拠点の荊州に置いていかねばならないとすれば、実績としても勇名としても申し分のない関羽以外にいなかったはずです。

 

 

献帝(はてな)

 

 

いや、本当にそうでしょうか?ここで、あえて、「関羽を活かす道は本当になかったのか?」を検討するために、大胆なイフ設定を考えてみましょう。つまり、あそこで関羽ではなく、張飛を荊州の太守に任命していたら、いったいどうなっていたのでしょうか?

 

 

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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張飛の荊州太守任命で劉備軍の配置は劇的に変わる!

酒癖の悪い張飛

 

 

もちろん、張飛(ちょうひ)と関羽を比較した時の一般的なイメージからすると、この役割交替にはムチャがありそうに見えるでしょう。『三国志演義』で描かれている張飛は、酒癖の悪さで油断した為に呂布(りょふ)に城を奪取され、最晩年も、酒癖の悪さで部下の恨みを買い、それが原因で暗殺されるという最期を遂げています。

 

 

殿を務める張飛

 

 

彼の活躍といえば、数々の一騎打ちでの勝率や、長坂(ちょうはん)において百万の大軍を「一喝」して引き下がらせたなど、戦場での局地的な働きの凄さばかり。統治者としての能力は疑問符がつきそうです。

 

 

張飛の虎髭

 

 

しかしこれらはあくまで『演義』でのイメージ。『正史』の張飛は、少し様子が違うのです。確かに目下のものを軽く見るところがあり粗野とは評価されているものの、占領地の統治などは積極的に任されていた模様。領土統治の経験もきちんと踏んでいるのです。

 

張飛の男気人生

 

 

確かに、関羽のほうが安定感はありそうですが、「敢えて張飛」という判断も、『正史』のキャリアから見れば、それほど突飛ではないかもしれません。

 

 

五虎大将軍の張飛

 

 

 

それに、もし、張飛を荊州に赴任させたら、劉備軍の組織はどう変わるでしょう?張飛が荊州を守るということは、その代わりに、関羽が益州攻略に同軍します。そしてそのまま関羽が漢中争奪戦にも加わることでしょう。

 

 

 

実は頭がイイ賢い張飛

 

 

 

となると、最終的な赴任地は、張飛が荊州を守り、関羽が漢中を守り、劉備は成都(せいと)に収まる、という布陣になった筈です。

 

 

 

ヒゲが美しい関羽

 

 

「関羽を荊州から外す」というネガティブな理由ではなく、「関羽を漢中の領主にするために、張飛に少し背伸びしてでも、荊州を頑張ってもらう」というならば、この抜擢も、オプションとしてはなかなか良案に見えて来ませんか?

 

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関羽

 

 

 

最大のポイント!張飛に荊州は守れるか?

三国志の武器 木慢 関羽

 

 

なるほど、関羽を漢中(かんちゅう)方面の領主として使う、というのは、なかなかメリットがありそうです。しかしその場合、問題となるのは、「では張飛に荊州を守り切ることができるか」という点です。

 

 

喧嘩ばかりする張飛と関羽

 

 

これは、正直、なんとも言えません。しかし、関羽と比較した場合に、張飛ならばうまくいくかもしれないメリットもありそうです。

 

 

 

セクシーすぎる塩商人だった関羽

 

 

 

まず、史実の三国志の関羽は、良くも悪くも、劉備から荊州における軍事内政のすべてを委任されていました。あたかも一国の君主のようにすべてを仕切っていたために、独自の判断で出撃もしていましたし、孫権(そんけん)もこの関羽を相手に婚姻政略の誘いをかけるなど、あたかも一国の君主に対しているかのような虚々実々の駆け引きを挑んでいます。

 

 

自分の人形を操る張飛

 

 

これが張飛なら、どうだったでしょう?「荊州の守りは張飛に任ずる。ただし、決して私や孔明(こうめい)の指示を得ないで独自の判断はするな。頑強に荊州の守りを固め、何もするんじゃないぞ。それと、酒は控えておけよ」くらいの厳命を、劉備じきじきから言い渡されたら、どうだったでしょう。

 

 

 

さっさと処刑しろと張飛にキレる厳顔

 

 

 

張飛は、馬鹿正直に荊州の守りを固め、一歩も動かない状況になったのでは?そうすれば、樊城(はんじょう)の戦いも起きなかったため、曹操軍との戦線は膠着状態のまま、何も動きはなかったでしょう。孫権軍の側からも、いかに虚々実々の外交計略を仕掛けても、張飛は馬鹿正直に一歩も反応しないので、何も仕掛けようがなかったかもしれません。

 

 

 

大声を出す張飛

 

 

 

かといって力押しを試みれば、かつての長坂(ちょうはん)の戦いのように、「俺様一騎で百万の兵でも相手になってやるぞ」という凄みで立ちはだかるのですから迫力満点。能力があるゆえに、全権の自由を与えられていた関羽よりも、「益州の攻略と漢中制圧が完了するまで、荊州を一歩も動かず守り抜け!」という厳命を馬鹿正直に守るだけの張飛のほうが、意外や意外、荊州の守りには向いていたかもしれません!

 

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まとめ:いちばんのメリットは関羽が生き残ること

はじ三倶楽部 スマホの誤変換でイライラする参加者(はてな)

 

 

「いやそれでも張飛で荊州を守りきるのは厳しいのでは?」と思う方もいるかもしれません。しかし、ここからは、恐ろしい考察をしますが、このシナリオにおいては、「荊州争奪戦で、関羽が死なない」こともメリットでした。

 

 

ポイント解説をするYASHIRO様

 

 

そうです。張飛が、荊州を守れなくても、劉備軍全体にはメリットが残るのです。

 

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三国志ライターYASHIROの独り言

三国志ライター YASHIRO

 

 

史実(しじつ)を思い返してみましょう。

 

 

 

亡くなる張飛将軍

 

 

 

荊州争奪戦に関羽が敗死した時、そのショックで酒乱になった張飛が、部下に当たり散らし、それが原因で張飛は暗殺されてしまいました。

 

 

憤死する麋竺(モブ)

 

 

いっぽう、荊州争奪戦で張飛が敗死したら?そのショックを受けた関羽は、オオマジメに呉への復讐のために準備をして戦線に参加するでしょう。張飛の死のショックで部下にあたりちらし恨みを買う、なんて展開はあり得ません。

 

 

劉備とはぐれて山賊に落ちぶれた張飛

 

 

つまり、関羽が早世したら、張飛も連動して早世しますが、張飛が早世しても、関羽が早世する理由はないのです。張飛が、荊州を守り切ってもよし、守り切らなくても、それはそれで劉備軍にはヨシ!

 

 

三国志を楽しく語るライターYASHIRO様

 

 

この恐るべしシナリオを是とするか非とするか!皆様はどうお考えでしょうか?

 

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YASHIRO

とにかく小説を読むのが好き。吉川英治の三国志と、司馬遼太郎の戦国・幕末明治ものと、シュテファン・ツヴァイクの作品を読み耽っているうちに、青春を終えておりました。史実とフィクションのバランスが取れた歴史小説が一番の好みです。 好きな歴史人物: タレーラン(ナポレオンの外務大臣) 何か一言: 中国史だけでなく、広く世界史一般が好きなので、大きな世界史の流れの中での三国時代の魅力をわかりやすく、伝えていきたいと思います

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