皆さん、パリピ孔明はご存じですか?
一見謎の組み合わせのように感じるこの組み合わせ、もしも知らない方には何のこっちゃと思うかもしれませんが、実に面白い漫画で、アニメにもなっている作品です。
ぜひ実物でこの衝撃を味わって欲しいため詳しい話は伏せておきますが、この漫画、現代に諸葛亮と共にその計略の数々も蘇って活躍します。そこで今回は諸葛亮の計略の一つである、空城の計についてちょっとお話したいと思います。
この記事の目次
空城の計とは?いったいどんな計略なの?
まずは空城の計について、軽くご説明をしましょう。空城の計とは、字のまま「城を空にする計略」です。一般的な説明としては「あえて自分の陣地に敵を招き入れることで敵の警戒心を誘う計略のこと」と言われています。この場合の城というのは自分の領地の城、もしくは拠点のことですね。自らの拠点地を利用して敵を計略にかける、ある種、恐ろしい計略です。
諸葛亮が使った空城の計とは?登場してくるのは三国志演義
この空城の計を諸葛亮が使ったのは、三国志演義で出てくるお話です。史実でこそないとはいえ、かなり緊迫感溢れるストーリーの中、空城の計は出てきます。
司馬懿率いる魏との戦いの中、諸葛亮率いる蜀軍は敗北して撤退することになりました。圧倒的な数の魏軍に、このままでは……と一計を案じた諸葛亮。何を考えたのか、場内を掃き清めた上で城門を開け放ちます。
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これぞ空城の計!「慌てるな!これは孔明の罠だ!!」
追ってきた魏軍、城門が開けられていたことにも、楼の上でたった一人諸葛亮が琴を奏でていることにも驚きました。事実、この時に諸葛亮は自軍の兵士たちを隠し、己のみがいるだけかのような振る舞いをしていたのです。ここで三国志演義をベースにした横山三国志では有名なこのセリフが司馬懿から飛び出します。
「慌てるな!これは孔明の罠だ!!」
司馬懿は諸葛亮の策を警戒し、敢えて魏軍を場内に入り込ませることを避けたと言います。
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諸葛亮の空城の計、一体何が狙いだったのか?
この時、諸葛亮は城の中に兵士たちを隠していました。では突入してきた魏軍を攻撃するつもりだったのか?
それは違います。この際に、魏軍と蜀軍の兵士差は明らかであり、攻め込まれていては諸葛亮たちはひとたまりもなかったでしょう。諸葛亮は「敢えて敵が入り込みやすい状況を作ることによって、敵の疑心暗鬼を誘い、結果的に何もできない」状況を作り上げたのです。これこそが諸葛亮の空城の計!一歩間違えば大変危険だった計略ですね。
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決して計略にかかった司馬懿が諸葛亮に劣るわけではない
「じゃあ司馬懿は作戦ミスしちゃったってこと?」
それは大きなミステイク。この諸葛亮の空城の計、前述したようにそのまま攻め込まれてしまえば大打撃を受けることになります。
横山三国志でも諸葛亮は「良く物事を理解している司馬懿が相手だからこそできた」とも言っているように、相手が賢くなければできない計略なのです。寧ろこの空城の計は、相手が司馬懿という存在だからこそできた「相手にも一定以上の能力を求める」計略と言えるでしょう。
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実は二つのパターンがある空城の計
因みにこの空城の計、もう一つのパターンがあります。もう一つのパターンを使ったのは三国志演義での趙雲で、曹操との戦いでこの計略が行われました。退却する趙雲を追っていった曹操ですが、趙雲は陣の門を開いていました。
「何かあるに違いない」
そう思った曹操は敢えて攻め込まず、退却をし始めます。すると陣の中に伏せられていた兵士たちが一斉に曹操軍に石や矢を雨あられと浴びせてきたのでした。このように、空の城のように見せかけて兵を伏せる……攻撃をするタイプの空城の計もあるのです。
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実は空城の計を使った魏の文聘と徳川家康
因みに魏の文聘もまた、空城の計を使ったという記録が魏略から読み取れます。これは孫権に大軍率いて攻め込まれた時に、敢えて責められたらヤバイ城を無人のように見せかけて孫権の疑心暗鬼を誘って撤退させた、諸葛亮の方式の空城の計ですね。
また大河ドラマで現在更に知名度を高めている権現様こと、徳川家康も武田信玄から攻撃された時に敢えて城を放棄したように見せかけて攻撃を交わしました。どちらも相手が「強いからこそ」使用できた空城の計。こんな風に実は「相手を認めているからこそ使える」計略。空城の計、凄さと同時にロマンも感じる計略ですね。
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三国志ライター センのひとりごと
空城の計は、実際には「攻め込まれたら本当にヤバい」という状態で使用されることが多い計略です。
だからこそ「何かあるかもしれない」「何かない訳がない」「無かったとしても、あった場合のリスクが大きすぎる」そんな風に深くまで考えられるだけの能力、そして慎重に慎重を重ねる相手でなければ効果がない可能性がある、というのは非常にリスクと共にロマン溢れる計略でもあると思います。何せ、計略に嵌める相手を理解しているからこそできる計略ですから。
相手をリスペクトしているからこそ使える大技……それこそが空城の計。実に好きです。どぼん。
参考:三国志演義 魏略
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