ここから考察です。まずは、892話の予想の答え合わせから。
予想記事の第1弾では、本命を「李牧は斬首されずに雁門を去る。駆けつけたカイネは、刃を抜かずに見送る」としていました。ここはドンピシャ!(ドヤ顔)892話は、言葉を返せないまま李牧を見送るカイネから始まりました。住民と一緒に助命を願い出る場面までは来ませんでしたが、そこはご愛嬌です。対抗の「カイネが李牧を追って邯鄲へ」は外れでした。
大穴の「李牧の後任は若き日の趙忽」は、いやー、気持ちいいくらいに外れました。後任の将軍は匈奴に首を取られています。現在の物語で生きている趙忽では、ありえません(汗)。ここでお詫び申し上げます。
第2弾の本命「雁門編の山場は、李牧が匈奴を大きく破る戦い」は当たりです。891話の「十万以上」を伏線と読みましたが、集まったのは十五万でした。ただ、決戦はカイネの語りで短く済まされたので、対抗に書いた「大勝は短い語りで済まされるかもしれない」も半分当たった形です。「現在の牢に戻るのは早くても11月半ば」という読みは、うれしい方向に外れました。
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この記事の目次
キングダム892話考察|李牧の後任はなぜ負けたのか。同じ「両翼」で明暗が分かれた理由
後任の将軍の首が描かれたコマには、ぞっとしました。見落としたくないのは、この将軍も最初は勝っていたことです。油断していた匈奴に不意打ちをかけ、成果を上げていました。崩れたのは、その勢いのまま長城の外へ踏み込んでからです。
おとぼけが気になったのは、両翼です。後任の将軍は、丘を埋め尽くす大軍を前に両翼への突撃を命じました。『史記』の李牧伝にも、李牧が匈奴を破ったとき、左右の翼を広げて攻めたとあります。同じ両翼でも、敵地に踏み込んで突っ込んだ後任と、相手を誘い出して待ち構えた李牧とでは、結果が正反対でした。史実の李牧の戦い方は889話と890話の予想記事で書いたので、そちらに譲ります。
891話で李牧は、匈奴に勝つには十万以上が要ると言っていました。892話で集めたのは、十五万。戦わない守りは、勝てる数がそろうまで待つための時間だったのだと思います。決戦のきっかけも、匈奴の大族が一か所に集まるという知らせでした。後任は勝てそうだから進み、李牧は勝てる形になるまで待った。李牧パイセンの我慢強さが、いちばん効いたところかもしれません。みなさんは、後任の将軍の何がいちばんまずかったと思いますか。
▶ 参考:『史記』巻81 廉頗藺相如列伝(李牧伝)原文(數位經典)
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キングダム892話考察|カイネはなぜ李牧を信じたのか。ショウの死と「気づくのが遅かった」
ショウの最期は、読んでいてつらかったです。ショウがしたのは、邯鄲の伯父を通じて、雁門の不満を中央に届けたことでした。カイネも李牧に反発していたので、気持ちそのものは雁門の多くの人と同じだったはずです。ただ、中央に届いたのは「戦わない」という事実だけで、誰も死なず、羊一匹奪われていないという成果は訴えに入っていません。おとぼけは、罰を受けたのは李牧ではなく、雁門だったと読んでいます。
更迭を決めたのは趙王で、ショウの訴えがどこまで効いたのかは描かれていません。カイネが「ショウ一人のせいではない」と言ったのは、その意味で筋が通っています。それでもカイネは、ショウを責めるかわりに、自分が気づくのが遅かったと言いました。891話の宴で、誰も失っていないことを喜ぶ人々に反発したのは、ほかならぬカイネです。あのとき勝利と呼べなかったものの重さを、カイネは墓を掘りながら知ったことになります。
戻ってきた李牧は、カイネを責める言葉を一つも口にしませんでした。かけたのは、生き残っていてくれてよかった、という言葉。891話で「カイネ自身の命も守られるべきもの」と伝えていた李牧が、892話の最初と最後でも、カイネの命を数に入れていました。失敗を責められるのではなく、生きていたことを喜ばれた。現在のカイネが李牧のそばを離れない理由は、ここにあるのだと思います。みなさんは、カイネがいつ李牧を信じたと思いますか。
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キングダム892話考察|サブタイトル「不思議な縁」は、二人にとって本当に「不思議」なのか
タイトルの意味が分かったのは、最後の数ページでした。カイネの言う縁は、雁門の過去が馬陽での出会いにつながっていたことです。ただ、並べてみると、手放しで「いい縁」とは言いにくいところがあります。
雁門で多くを失い、李牧の下で立て直し、匈奴を破った北部の軍。その一部が南へ下って加わったのが、王騎を討った馬陽の戦いでした。河了貂にとって王騎は、信が背中を追いかけてきた大将軍です。カイネの喪失と立て直しの先にあった軍が、河了貂の側の大将軍を討った戦いにつながっていたことになります。縁と呼ぶには、少し苦い。
それでもカイネは、自分のつらい過去を話し終えたあと、今度は河了貂のことを知りたいと言いました。敵だった相手の人生を聞こうとする。原先生が「不思議」と付けたのは、因縁にもなりえたつながりが、牢の中で会話になったことなのかもしれません。この縁、みなさんはどう受け取りましたか。
キングダム893話予想|夜明けに戻るのは趙忽か。河了貂を待つ尋問の行方
夜明けの知らせに、背すじが冷えました。雁門の回想に入る前、現在の牢では、河了貂が趙忽の戻る朝を待っていました。牢の外の兵が言った「時間」は、この朝のことだと読んでいます。
おとぼけの本命は、893話で現在の牢に戻り、趙忽が河了貂の前に姿を見せる展開です。892話で、カイネは河了貂の人生を聞きたいと言い、河了貂も話し始めていました。その直後に時間切れを告げられたので、893話の冒頭は話の続きではなく、牢の扉が開く場面から始まるのではないでしょうか。
気になるのは、趙忽が河了貂をどう扱うかです。飛信隊の軍師を捕らえた以上、黙って置いておくとは思えません。尋問するのか、どこかへ移すのか。そのとき、牢に自分から残ったカイネがどう動くのかが、893話の山場になると思います。李牧の側近であるカイネが趙忽の前で河了貂をかばえば、趙軍の中で立場が悪くなるおそれもあります。
雁門で「命は守られるべきもの」を受け取ったカイネが、今度は河了貂の命をどう数えるのか。892話の回想は、893話のカイネの判断のために置かれていたのかもしれません。夜明けにやって来るのは誰だと思いますか。
キングダム893話予想|回想は明けた。カイネは河了貂のために動くのか
正直、ここは読みが割れます。対抗は、カイネがすぐには動かない展開です。カイネは李牧の側近で、趙軍の側の人間です。河了貂の話を聞いて気持ちが近づいたとしても、それだけで趙忽に逆らう理由にはなりません。892話でも描かれたのは気持ちの接近までで、カイネが何かを決めた場面はありませんでした。
もう一つの可能性は、李牧の名前が出てくる形です。趙の総大将は、李牧。カイネが自分で河了貂を逃がすのではなく、李牧の判断を仰ぐ、という道があります。雁門で、勝ちを急いで突っ込んだ者がどうなったかを見てきたカイネなら、こちらを選んでもおかしくありません。891話で李牧が語った、行角の戦いの若者の話とも重なります。
雁門編が長かったぶん、893話でカイネがどちらを選んでも、その理由はもう読者の手の中にあります。そう思うと、来週はこわくもあり、楽しみでもあります。回想明けのカイネ、みなさんはどう動くと思いますか。
みなさんはキングダム892話どう読みましたか?
今週、意見が分かれそうなところが二つあります。一つはショウです。雁門のためを思って訴えたショウを、責める気になれるかどうか。カイネの言うとおり、ショウ一人のせいではないと読む兄弟も多いと思います。
もう一つは、十五万の決戦がカイネの語りだけで済まされたことです。早く現在の牢に戻ってほしかった兄弟にはうれしい進み方でしたが、李牧の大勝をじっくり見たかった兄弟には、少し物足りなかったかもしれません。
コメントで教えてください。次回の記事で紹介させていただきます。
キングダムライターおとぼけの独り言
今日、東京スカイツリーを川の上から眺めるナイトカヤックに行ってきました!Outdoor Sports Club ZACさんのツアーで、漕いだのは江戸川区・墨田区・江東区の境を流れる旧中川です。夜の水面から見上げるスカイツリーは、いつも地上から見ているのとはまるで別物でした。

夕暮れの旧中川。正面にスカイツリーが見えます
乗ったのは2人乗りのカヤックで、後ろの席で漕いでいるのがおとぼけです。漕ぎ出したのは夕暮れどき。

旧中川のナイトカヤック。後ろの席で漕いでいるのがおとぼけです
空がオレンジから紺色に変わっていくあいだに、スカイツリーの明かりがだんだん主役になっていきました。この旧中川、名前に「旧」が付くのには理由があります。もとは中川の本流でしたが、荒川放水路(今の荒川)などが開かれて流れが分断され、取り残された部分がのちに旧中川と呼ばれるようになりました。さかのぼると江戸時代の享保10年(1725年)、8代将軍・徳川吉宗のもとで、周りの村を洪水から守るために川筋が整えられています。点在する沼や池をつないだため流れがくねくねと曲がり、「九十九曲り」と呼ばれたそうです。
旧中川と、隅田川へ抜ける小名木川が出会う場所には、江戸時代、川を行き来する舟を調べる「中川船番所」が置かれていました。小名木川は、江戸に入った徳川家康が水運のために開かせた運河です。今は夜のレジャーで漕げる川も、かつては江戸の物流を支える水の道でした。

光るアーチが旧中川・ふれあい橋。その奥にスカイツリー
スカイツリーの手前に架かっている光るアーチは、「旧中川・ふれあい橋」です。江戸川区の平井と江東区の亀戸を結ぶ、歩行者と自転車のための橋で、平成6年(1994年)に架けられました。日が沈むとLEDで色が変わるライトアップが始まり、正面にスカイツリーが重なる眺めの名所になっています。水面すれすれの目線から見るこの景色は、カヤックならではでした。
今週の李牧は、戦うことより、住民が暮らせる土地を守ることを選びました。吉宗が川筋を整えたのも、村を水害から守るためです。守る仕事はいつも地味で、なくなって初めてありがたみが分かるものなのかもしれません。なんだか、しみじみしてしまいますね。
▶ 参考:旧中川のカヤック(Outdoor Sports Club ZACブログ)
▶ 参考:旧中川(ニッポン旅マガジン)
▶ 参考:旧中川・ふれあい橋(ニッポン旅マガジン)
それでは兄弟たちよ、また木曜にお会いしまっせ!
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