公孫瓚(こうそんさん)に「やーい、悔しかったら雨を降らせてみろ」と無茶振りされ、当然雨を降らせることはできずに殺されてしまった劉虞でした。
しかし、この無理難題をあっさりとクリアしたのに殺されてしまった人物が、『三国志演義』には登場します。面白いのでご紹介したいと思います。
雨を降らせたのに
道教の書物である『太平経』の作者、徐州生まれの于吉(うきつ)仙人という人がいました。仙人という名の通り、不思議な術を使い、民衆からあがめられていました。
呉の孫堅(そんけん)の息子、孫策(そんさく)は、この人心を掌握しているうさんくさい仙人が気に入らないと思いました。
そこで于吉仙人を呼び、大衆の前で「雨を降らせてみろ」と言いつけたのです。孫策は、ハナからこういう神秘主義なことがらを信じていなかったのだと思います。ところが、于吉仙人はなんと、雨を降らせてしまったのです。
孫策は焦りました。そして、苦し紛れにこう叫びます。
「人心を惑わす妖術使いめ!!」
……知っていて呼び寄せたのですけれどね。于吉仙人は、孫策に罪を問われて殺されてしまいます。
これを見ると、もし万が一、公孫瓚から雨を求められた劉虞が、偶然にも雨を降らせていたとしても、結局は于吉仙人と同じ目に遭ったのではないかと思えてきます。
関連記事:古代中国のコペルニクスは孔明だった?彼はなぜ天文学を学んだの?
関連記事:赤壁の戦いで孔明が東南の風を吹かしたじゃん?あれマジらしいよ?
于吉仙人その後
気になるのは殺されてしまった于吉仙人のその後です。仙人だから、不老不死のはずなのですが、于吉仙人は死んでしまいました。……つまり、偽物だったということでしょうか!?
しかしその後、ただでは済みませんでした。孫策は、毎晩毎晩、自分が殺した于吉仙人の夢を見るのです。こわいですね。小覇王と称された強い孫策なのに、こわかったみたいです。孫策は、おびえて死んでしまいました。ちょっと可愛いですね……(すみません、萌えスイッチが入りました)
ちなみにこれは、『三国志演義』の話であり、実際は、孫策の死因は暗殺です。
関連記事:不老不死の妙薬を求めて? 孫権の倭国(日本)遠征計画