あまり愉快な事がなかった2020年の日本ですが、12月11日には三国志ファン待望、そして『水曜どうでしょう』ファン待望の『新解釈・三國志』が封切られます。
2014年から、『はじめての三国志』で三国志記事を書き続けてきたkawausoも、ここぞとばかり便乗しようと気合を入れておりますよ。そこで今回は、三国志を代表する美女貂蝉について、三国志知識ゼロでも、ありえないほどスラスラと分かるように解説します。
貂蝉とは何者?
貂蝉は『新解釈・三國志』において渡辺直美が演じるちょいと太めの絶世の美女であり、董卓と呂布に奪い合いをされるという役柄です。
そもそも貂蝉は孤児で、董卓が支配する後漢王朝で司徒という高い地位に就いている王允という爺さんに拾われて養女となり、歌や踊りを仕込まれた舞姫でした。
舞姫なので身分は低いですが、宴席には欠かせない存在であり、必然的に身分が高い人の前でも歌や踊りを披露する事になります。そして、絶世の美女ともなれば身分が高い人に見染められて妻になる玉の輿のチャンスだってあります。つまり、貂蝉はそういう立ち位置の女性です。
貂蝉の役割とは?
では、三国志における貂蝉の役割とは何でしょうか?
これも単純で、呂布と董卓の2人を誘惑して仲違いさせ、呂布の手で董卓を殺害するように仕向ける事です。
当時の後漢王朝では、暴虐な董卓が皇帝を操り人形として支配者の地位についていました。もちろん、董卓の暴力政治を憎む人は大勢いて、王允もその1人でしたが、董卓を暗殺するのは容易ではありませんでした。
理由は、董卓には三国志の登場人物の中で一番強い呂布という豪傑がボディーガードとしていつも側についているからです。でも、呂布と董卓には弱点がありました。2人とも美女に目がないドスケベだったのです。
そこで王允は自分の養女で、今や16歳の花も恥じらう美しい乙女になった貂蝉に「スケベな董卓と呂布を色仕掛けで喧嘩させてくれ」と土下座して頼み込んだのです。貂蝉も孤児の自分を拾って育ててくれた王允の恩義に報いる為に、危険な計略を仕掛ける事を承知します。
難しい言葉では、この計略を連環計と言います。
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どちらにもラブコールして喧嘩させる
王允は最初、呂布を自宅に招き、貂蝉に舞を舞わせてお酌をさせました。呂布がすぐに貂蝉を気に入ったのを見て取った王允は、呂布に貂蝉を妻として差し上げたいと持ち掛けます。スケベな呂布はすぐに承知してしまいました。
さて、翌日、王允は董卓を自宅に呼んで、奥の部屋で接待し貂蝉を呼んで、舞を舞わせてお酌をさせます。董卓もすぐに目がハートマークになりましたので、王允は同じように、貂蝉を董卓の妻として差し上げたいと持ち掛けたのです。
あとは簡単、貂蝉は董卓の前では、野獣のような呂布がしつこく言い寄り困ると相談し、呂布の前では、董卓の脂デブに抱かれるのは耐えられないと涙を流します。
2人はまさか、16歳の貂蝉に騙されてるとは夢にも思わずお互いを憎んでゆき、ついには、先手必勝で呂布が董卓を刺し殺してしまいました。
王允は貂蝉を使い見事に董卓を排除する事に成功したのです。
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渡辺直美は適役なの?
はいはい、ここまで書いた上での皆さんの不満はよく分かります。どうして、『新解釈・三國志』には、橋本環奈も山本美月も出ているのに、その、なんだ、貂蝉だけ渡辺直美なの?という事ですよね。
渡辺直美は、絶世の美女とまでは言えないんじゃないの?もっと、シュッとした美女で、配役はなんとかならなかったの?
そういうご不満であられますか?
大変よくわかります。
実際、渡辺直美さんも、最初、自分の配役を張飛と勘違いしていて「豪傑役だ、どうしよう」と、悩みながら数ページ張飛のセリフを覚えたとコメントで仰っていました。
しかし、あたくし、この記事を書くにあたり原典の三国志演義にあたってみましたが、貂蝉の容姿は輝くばかりとは書いてあっても、絶世の美女とも、ましてやスリムとも書いていないので御座います。
世の中には、豊満な肉体のダンサーの方もおられますし、スリムなダンサーとは別のセクシーな魅力を放っているわけで、董卓も呂布も太めの女性がタイプだったかも知れません。
董卓と呂布が太めの女性が嫌いと歴史書に書いていない以上、その可能性だって否定できないのです。
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