曹操孟徳特集
朝まで三国志悪




はじめての三国志

menu

デザイン担当:よりぶりん

まるで蒟蒻問答?(こんにゃくもんどう) 孔明と張飛の知恵くらべ

この記事の所要時間: 36




吉川英治様表紙リスペクト

 

明の時代に成立した『三国志演義』は、それ以前の時代、元代に刊行された『新刊全相平話三國志(三国志平話)』を下敷きにしています。

更に、この『三国志平話』は宋代から伝わる民間伝承を元にしており、史実とはだいぶ違う、荒唐無稽なお話も多く含まれています。

 

滑稽話として伝承されている話に、張飛が孔明と知恵くらべをするというものがあります。

実はこの話にとても良く似たものが日本にもあるんです。それは……。




落語『蒟蒻問答』

三国時代 江戸

 

江戸時代から伝わる古典落語の演目に、『蒟蒻問答(こんにゃくもんどう)』というものがあります。

荒れ寺に住みこんでそこの住職のフリをしていたこんにゃく屋のところに本物の禅僧が現れ、禅問答を挑んできます。

 

禅僧が何を尋ねても偽住職は答えません。

禅僧はそれを無言の行だと勘違いし、今度はゼスチャーで問いかけます。

 

禅僧が手で丸を作ると、偽住職はもっと大きな丸を。

禅僧が十本の指を突き出して見せると、偽住職は五本の指を。

禅僧が三本の指を立てると、偽住職は『あっかんべー』をしてみせる。

 

突然、禅僧は『恐れいりました』と頭を下げ、その場から退散してしまいます。

様子を見ていた男が不思議に思い、禅僧の後を追って理由を聞きました。

 

禅僧は『自分が“天地の間は?”と問いかけると住職は“大海のごとし”と答えられた。

次に自分が“十万世界は?”と問うと、住職は“五戒で保つ”と答えられた。

最後に“三尊の弥陀は?”と問うたところ、住職は“目の下にあり”と答えられた』といい、大いに恐れ入っていました。

 

戻った男が偽住職に問答の意味を問うと、彼はこう答えたそうです。

 

『あいつは俺がこんにゃく屋だと知っていやがった。

手で小さな丸を描いて“おまえの店のこんにゃくはこんなに小さいだろう”というから“こんなに大きいぞ”と返してやった。

十文で売れと言いやがるから五百文だと言ってやったらあの野郎、三百にまけろと言いやがった。だからアカンベーしてやったのさ』

 

とんちんかんで見当外れな問答を、ゼスチャーを交えて見せる名作と知られる落語ですが、この元ネタになったと思われる話が中国にありました。

それは諸葛孔明張飛が知恵くらべをする、という話です。

 

関連記事:びっくり!三国時代の文化は日本に近かった?

関連記事:お酌上手になって株を上げよう!古代中国のお酒のマナーを紹介!

関連記事:関羽に憧れていた新選組局長の近藤勇




孔明と張飛の知恵くらべ

蒟蒻問答 孔明と張飛

 

劉備が三度目に孔明の庵を訪ねた折、ついに根負けした孔明は

「私と問答をして、答えられたら一緒に行くことにしましょう」と言いました。

 

劉備関羽が答えようとすると、張飛が話に割り込み、「孔明先生、俺が答えましょう」と言いました。

 

張飛の挑戦に、孔明は無言で空を指差します。

すると張飛は地面を指さしました。

 

次に孔明が片手を前に出すと、張飛は両手を前に出してみせます。

更に孔明が三本の指で小さな円を描いてみせると、張飛は九本の指で大きな円を描きました。

最後に孔明が拳を使って胸元で円を描くと、張飛は袖の中を指さしました。

孔明は感心した様子で『当たりです。お約束通り、一緒に行きましょう』と言いました。

 

問答の意味が分からなかった劉備関羽が孔明に問うと、彼は答えました。

『私が天文と言うと、張将軍は地理と答えられた。私が天下統一と言うと、張将軍の答えは三国鼎立でした。三回で元に戻ると問うたところ、将軍は九回でも戻ると答えられた。最後に私の胸中には陰陽八卦があると言うと、将軍は太陽と月を袖に隠してあると言われた。実に恐れ入りました』

 

張飛にこんな知恵があったとは知らなかった劉備関羽は、張飛にどうして孔明の問いの意味がわかったのかと尋ねました。

張飛は笑って答えました。

 

『孔明先生が、今日は雪が降りそうだって言うもんだから、俺は地面が滑るって答えてやったんだ。すると先生は月餅を三つくれるってんで、俺は九つくらいないと足りないって言ったんだ。先生は、自分の持ってきた月餅は大きいから食べきれないぞと言うんで、食べきれなかった分は袖に入れておみやげにするって答えたんだよ』

 

張飛は桃園の誓いを結んだ三人の義兄弟たちの中でも、その分かりやすいキャラクターで中国でも日本でも人気があります。

中国各地に、張飛を主人公とした民間伝承が数多く残されていることからも、その人気ぶりが伺えます。

 

なお、これは余談になりますが、「蒟蒻問答」や「孔明と張飛の知恵くらべ」のような話は、他にもあります(ローマ教皇とユダヤ教のラビの問答等)。

この手の話は、物語の類型として、世界的にもスタンダードなものであると言えるかもしれません。

 

関連記事:諸葛孔明の庵を3回尋ねる劉備、これが三顧の礼

関連記事:古代中国のコペルニクスは孔明だった?彼はなぜ天文学を学んだの?

関連記事:実は孔明は墨者(ぼくしゃ)だった!?意外すぎる6つの理由

 

 

耳で聞いて覚える三國志




よく読まれている記事

通俗子 張飛 女性

 

関連記事:三国志の二次小説が江戸時代に書かれていた

 

張飛 文武両道

 

よく読まれてる記事:張飛(ちょうひ)は本当は知将だった?

 

 

孔明過労死

 

よく読まれてる記事:諸葛亮の死因は過労死らしいけど、一体どんな仕事してたの?

 

 

この記事を書いた人:石川克世

石川

 

自己紹介:

三国志にハマったのは、高校時代に吉川英治の小説を読んだことがきっかけでした。
最初のうちは蜀(特に関羽雲長)のファンでしたが、次第に曹操孟徳に入れ込むように。
三国志ばかりではなく、春秋戦国時代に興味を持って海音寺潮五郎の小説『孫子』を読んだり、
兵法書(『孫子』や『六韜』)や諸子百家(老荘の思想)などにも無節操に手を出しました。

 

関連記事

  1. 諸葛亮の住まいはどっち?襄陽古隆中VS南陽臥竜崗
  2. 何で日本人は三国志が好きなの?
  3. ええっ?曹操は歴史の先生として宮廷で採用されていた!?
  4. 61話:曹仁が繰り出した高度な陣形 八門金鎖の陣を繰り出す。劉備…
  5. 夏侯 惇(かこうとん)ってどんな人?| 曹操に最も近い男
  6. 【夷陵の戦い】なぜ劉備は陸遜にフルボッコされたの?大敗北を考察
  7. 曹操と劉備はどうしてライバル扱いなの?【三国志の素朴な疑問】
  8. 司馬家の皇帝殺害を正当化するための故事が存在した!?晋国を安定に…

google検索フォーム

過去記事を検索できます

ピックアップ記事

おすすめ記事

  1. 趙雲ってどんな人?|投票ランキング1位の理由
  2. 三国志時代にタイムスリップしたらあなたはどこに仕えたい?魏?呉?それとも蜀?
  3. 三国志の時代に実際にあった計略について徹底紹介
  4. 【水滸伝】可哀想すぎる強引な梁山泊のスカウトが悲劇を産む
  5. 井伊直弼とは何者?英雄・冷酷な独裁者?
  6. 【閲覧注意】血煙上がる『三国志』きれいなお花を咲かせた将軍たち

三國志雑学

“広告募集"

はじめての三国志 書籍情報

朝まで三国志 三国志最強のワルは誰だ (桃園出版 三国舎)

著:kawauso 価格480円
※Kindle読み放題対応

ピックアップ記事

おすすめ記事

【はじめての水滸伝】主役級を一挙公開、これが好漢だ! 46話:袁紹軍の審配、石弓隊で曹操軍を撃破 103話:黄忠・厳顔の老将コンビ大活躍|年寄りをなめるな! 陸抗(りくこう)ってどんな人?父の無念を晴らした孫呉最後の名将 公孫瓚特集:悔しかったら雨を降らせてみろ・その2 韓浩(かんこう)とはどんな人?曹操が常に手元に置きたがった男 小牧長久手の戦いの勝敗はどうなった?漫画・センゴクから見る小牧長久手の戦い 劉禅が読んだ韓非子ってどんな本?

おすすめ記事

  1. 全中が泣いた!益州のボス・劉璋の最後は実に感動的だった!
  2. 12話:黄巾賊の反乱を平定した漢王朝と残念なくらい無能な霊帝
  3. 張紘(ちょうこう)とはどんな人?張昭と共に孫策・孫権を支えた補佐役
  4. 橋本左内と吉田松陰、二人の天才が残した功績とは?
  5. 【曹操が慕った偉大な王様】天下の三分の二を所有するも王へ登らなかった周の文王ってどんな人?
  6. 張悌(ちょうてい)とはどんな人?呉の滅亡に殉じ、壮烈な死を果たす最後の宰相
  7. 【曹操の人心掌握術】身内よりも部下を優先せよ
  8. 盧毓(ろいく)とはどんな人?魏の逃亡兵を規制する法律に「待った」をかけた政治家

はじさん企画

袁術祭り
李傕祭り
帝政ローマ
広告募集
まだ漢王朝で消耗してるの?
HMR
ライフハック
君主論

ビジネス三国志
春秋戦国時代
日常生活
曹操vs信長
架空戦記
ライセンシー
北伐
呂布vs項羽
編集長日記
はじめての三国志TV
“曹操孟徳" “黄巾賊" “赤壁の戦い" “THE一騎打ち" “夷陵の戦い" “kawausoのぼやき記事" “よかミカンのブラック三国志"
“邪馬台国"
PAGE TOP