魏延
馬超




はじめての三国志

menu

デザイン担当:よりぶりん

まるで蒟蒻問答?(こんにゃくもんどう) 孔明と張飛の知恵くらべ

蒟蒻問答 孔明と張飛




吉川英治様表紙リスペクト

 

明の時代に成立した『三国志演義』は、それ以前の時代、元代に刊行された『新刊全相平話三國志(三国志平話)』を下敷きにしています。

更に、この『三国志平話』は宋代から伝わる民間伝承を元にしており、史実とはだいぶ違う、荒唐無稽なお話も多く含まれています。

 

滑稽話として伝承されている話に、張飛孔明と知恵くらべをするというものがあります。

実はこの話にとても良く似たものが日本にもあるんです。それは……。




落語『蒟蒻問答』

三国時代 江戸

 

江戸時代から伝わる古典落語の演目に、『蒟蒻問答(こんにゃくもんどう)』というものがあります。

荒れ寺に住みこんでそこの住職のフリをしていたこんにゃく屋のところに本物の禅僧が現れ、禅問答を挑んできます。

 

禅僧が何を尋ねても偽住職は答えません。

禅僧はそれを無言の行だと勘違いし、今度はゼスチャーで問いかけます。

 

禅僧が手で丸を作ると、偽住職はもっと大きな丸を。

禅僧が十本の指を突き出して見せると、偽住職は五本の指を。

禅僧が三本の指を立てると、偽住職は『あっかんべー』をしてみせる。

 

突然、禅僧は『恐れいりました』と頭を下げ、その場から退散してしまいます。

様子を見ていた男が不思議に思い、禅僧の後を追って理由を聞きました。

 

禅僧は『自分が“天地の間は?”と問いかけると住職は“大海のごとし”と答えられた。

次に自分が“十万世界は?”と問うと、住職は“五戒で保つ”と答えられた。

最後に“三尊の弥陀は?”と問うたところ、住職は“目の下にあり”と答えられた』といい、大いに恐れ入っていました。

 

戻った男が偽住職に問答の意味を問うと、彼はこう答えたそうです。

 

『あいつは俺がこんにゃく屋だと知っていやがった。

手で小さな丸を描いて“おまえの店のこんにゃくはこんなに小さいだろう”というから“こんなに大きいぞ”と返してやった。

十文で売れと言いやがるから五百文だと言ってやったらあの野郎、三百にまけろと言いやがった。だからアカンベーしてやったのさ』

 

とんちんかんで見当外れな問答を、ゼスチャーを交えて見せる名作と知られる落語ですが、この元ネタになったと思われる話が中国にありました。

それは諸葛孔明張飛が知恵くらべをする、という話です。

 

関連記事:びっくり!三国時代の文化は日本に近かった?

関連記事:お酌上手になって株を上げよう!古代中国のお酒のマナーを紹介!

関連記事:関羽に憧れていた新選組局長の近藤勇




孔明張飛の知恵くらべ

蒟蒻問答 孔明と張飛

 

劉備が三度目に孔明の庵を訪ねた折、ついに根負けした孔明

「私と問答をして、答えられたら一緒に行くことにしましょう」と言いました。

 

劉備関羽が答えようとすると、張飛が話に割り込み、「孔明先生、俺が答えましょう」と言いました。

 

張飛の挑戦に、孔明は無言で空を指差します。

すると張飛は地面を指さしました。

 

次に孔明が片手を前に出すと、張飛は両手を前に出してみせます。

更に孔明が三本の指で小さな円を描いてみせると、張飛は九本の指で大きな円を描きました。

最後に孔明が拳を使って胸元で円を描くと、張飛は袖の中を指さしました。

孔明は感心した様子で『当たりです。お約束通り、一緒に行きましょう』と言いました。

 

問答の意味が分からなかった劉備関羽が孔明に問うと、彼は答えました。

『私が天文と言うと、張将軍は地理と答えられた。私が天下統一と言うと、張将軍の答えは三国鼎立でした。三回で元に戻ると問うたところ、将軍は九回でも戻ると答えられた。最後に私の胸中には陰陽八卦があると言うと、将軍は太陽と月を袖に隠してあると言われた。実に恐れ入りました』

 

張飛にこんな知恵があったとは知らなかった劉備関羽は、張飛にどうして孔明の問いの意味がわかったのかと尋ねました。

張飛は笑って答えました。

 

『孔明先生が、今日は雪が降りそうだって言うもんだから、俺は地面が滑るって答えてやったんだ。すると先生は月餅を三つくれるってんで、俺は九つくらいないと足りないって言ったんだ。先生は、自分の持ってきた月餅は大きいから食べきれないぞと言うんで、食べきれなかった分は袖に入れておみやげにするって答えたんだよ』

 

張飛は桃園の誓いを結んだ三人の義兄弟たちの中でも、その分かりやすいキャラクターで中国でも日本でも人気があります。

中国各地に、張飛を主人公とした民間伝承が数多く残されていることからも、その人気ぶりが伺えます。

 

なお、これは余談になりますが、「蒟蒻問答」や「孔明と張飛の知恵くらべ」のような話は、他にもあります(ローマ教皇とユダヤ教のラビの問答等)。

この手の話は、物語の類型として、世界的にもスタンダードなものであると言えるかもしれません。

 

関連記事:諸葛孔明の庵を3回尋ねる劉備、これが三顧の礼

関連記事:古代中国のコペルニクスは孔明だった?彼はなぜ天文学を学んだの?

関連記事:実は孔明は墨者(ぼくしゃ)だった!?意外すぎる6つの理由

 

 

耳で聞いて覚える三國志




よく読まれている記事

通俗子 張飛 女性

 

関連記事:三国志の二次小説が江戸時代に書かれていた

 

張飛 文武両道

 

よく読まれてる記事:張飛(ちょうひ)は本当は知将だった?

 

 

孔明過労死

 

よく読まれてる記事:諸葛亮の死因は過労死らしいけど、一体どんな仕事してたの?

 

 

この記事を書いた人:石川克世

石川

 

自己紹介:

三国志にハマったのは、高校時代に吉川英治の小説を読んだことがきっかけでした。
最初のうちは蜀(特に関羽雲長)のファンでしたが、次第に曹操孟徳に入れ込むように。
三国志ばかりではなく、春秋戦国時代に興味を持って海音寺潮五郎の小説『孫子』を読んだり、
兵法書(『孫子』や『六韜』)や諸子百家(老荘の思想)などにも無節操に手を出しました。

 

関連記事

  1. 結婚を喜ぶ孫策 【衝撃の事実】孫策の○○で孫呉が滅びる原因となった!
  2. 呉の孫権 孫権は何であれほど合肥城を狙い続けたの?理由をわかりやすく解説(…
  3. オトコ漫画が読みたいヤツ集まれ!キングダムを超える戦国群像劇「義…
  4. え!?周瑜って憤死してるの知ってた!?
  5. 袁紹にお茶を渡す顔良 袁紹は凡将に非ず!袁紹の逸話から伝わってくる袁紹本初の評価
  6. 甘寧に殺されかける料理人 【よかミカン紀行】甘寧がブイブイいわせてた重慶ってこんな街!
  7. 李儒 董卓の軍師・李儒はどれだけ凄かったの?革新的な進言を続けた謎の軍…
  8. 徐庶 【徐庶が改名した理由】ケガの功名か?それともワザと?徐庶の名前雑…

コメント

  • トラックバックは利用できません。

  • コメント (0)

  1. この記事へのコメントはありません。

CAPTCHA


google検索フォーム

過去記事を検索できます

ピックアップ記事

  1. 三国志 象兵
  2. キングダム52巻
  3. 孔明
  4. 韓非子を読む劉禅
  5. 周瑜 美男子
  6. はじめての三国志 画像準備中

おすすめ記事

  1. 衝撃!江戸時代は1862年に終った?一会桑政権vs明治政権の戦い
  2. 弱きを助け強きを挫く!異民族をも信服させた黄蓋の魅力とは 黄蓋
  3. 【リアル七人の侍】戦国時代、村はどうやって略奪から身を守った? 合戦シーン
  4. 【砕けた友情】刎頸の交わりで結ばれた二人の絆にヒビが・・・・
  5. 三国志のダブー・劉禅は本当に劉備の子だったの?
  6. 甘寧の子孫はその後どうなったの?呂蒙の地位にも劣らぬ大出世した子孫たち 甘寧と凌統

三國志雑学

  1. 孔明
  2. 曹丕と曹操
  3. 赤壁の戦いで敗北する曹操
  4. 劉禅と孔明
“はじめての三国志150万PV" “はじめての三国志Youtubeチャンネル" “広告募集" “誤字・脱字・誤植などの報告フォーム"

はじめての三国志 書籍情報


著:kawauso 価格480円
※Kindle読み放題対応

ピックアップ記事

  1. 武田騎馬軍団 馬場信春
  2. 合戦シーン
  3. 曹操VS孫権 R2
  4. 胡亥
  5. 夏侯惇

おすすめ記事

西郷どんと会津藩はどんな関係性なの?3分で薩摩藩と会津藩の関係を理解 劉邦や劉備も手本にした人物 「重耳」 とは? 高杉晋作の名言脳に刺さる言葉を紹介 羊コと信頼の関係を築く陸抗(りくこう) 羊祜 陸抗と羊祜は力が拮抗していたから○○しなかった 宋姫 大奥も目じゃない?曹操の妻達の人生まとめ6選 魏延 魏延はどんな性格だったの?実はあの有名人のファンで純粋な漢だった! 獬豸冠(かいちかん)って何?とんがり帽子は正義のしるし!司法官がかぶったイカす冠 kawauso編集長のぼやきVol.21「陰謀論」

はじさん企画

“if三国志" 英雄の死因 “三国志とお金" “はじめての漢王朝" “はじめての列子" “はじめての諸子百家" “龍の少年" “読者の声" 袁術祭り
李傕祭り
帝政ローマ
広告募集
まだ漢王朝で消耗してるの?
HMR
ライフハック
君主論

ビジネス三国志
春秋戦国時代
日常生活
曹操vs信長
架空戦記
ライセンシー
北伐
呂布vs項羽
英雄の武器 編集長日記
はじめての三国志TV
“曹操孟徳" “黄巾賊" “赤壁の戦い" “THE一騎打ち" “夷陵の戦い" “kawausoのぼやき記事" “よかミカンのブラック三国志" 英雄の墓特集 誤字・脱字・誤植などの報告フォーム
“西遊記"

“三国志人物事典"

“はじめての三国志PR募集郭嘉"
PAGE TOP