曹操が女好きというエピソードを見ることで、
曹操が女の敵なのかどうかを(勝手に)検証するシリーズ、
パートⅡです。
さて、今回着目すべきは、曹操が、歌妓さんだろうが人妻だろうが
未亡人だろうが、「俺、全然気にしないもんね!」とすがすがしく
言い寄るという点について、別の視点から考えてみたいと思います。
夫に先立たれた妻の生活は厳しい
とんでもない小見出しをつけましたが……!
もちろん、三国時代のお話です。
現代ではありませんので許してください。
まずはためしに、『三国志演義』の主人公、劉備を見てみましょう。
劉備は劉家の嫡男です。
劉家は言わずもがな、漢の皇帝の子孫です。
ですが、劉備は幼いころに父親に先立たれたため、母親と共に
むしろを編んだりして暮らす貧乏生活をしていました。
これを見てもわかるように、当時の女性の生き方について
夫に先立たれた場合、かなり生活は苦しいものになったといえます。
ただでさえ、政治腐敗の動乱の世の中で、飢饉や災害なども頻繁に
起こってきた時期ですから。
そんな中、親戚の厚意に甘えてお荷物と疎まれながら
つつましい生活を送ることと、
有力者に見初められて、新しい第二の人生を華々しく送ること
女性にとってどちらの方が、いいでしょうか。
まあ、相手にもよるのでしょうが……それは現代の私たちの考えです。
当時の苦しい状況の中では、それは救いの手であったような気もします。
曹操をめろめろにさせた未亡人、鄒氏が、色気たっぷりの毒婦のように
描かれる創作物もあります。
当時の貞操観念や、道徳観などをかんがみて、
進んで二夫と交わるような女、と認識されるためかもしれませんが、
それは少し違うような気もしてくるのです。
漢民族の絶対のタブーは近親婚
未亡人や人妻に横恋慕する曹操には、なにやらイケナイことをしている
気にさせられますが、
実を言うと、漢民族にとっての絶対のタブーは、そこではありません。
近親婚です。
これは、自分のお母さん、娘、姉妹が対象であるのみならず、
近親者の妻も、手を出したらダメなのです。
当時、漢を取り巻いていた北方騎馬民族たちには、
「レビレート婚」という制度がありました。
これは、夫を亡くした女性は、夫の兄弟や、その息子(もちろん義理の息子)
と結婚するという制度です。
漢民族は、これを、蛮族たる証の野蛮な行為として、
たいへん嫌悪しました。
曹操は、実は、節操がないように見えて、
このタブーだけは、犯していないのです。
未亡人に目をつけるという行為は、むしろ、
夫を失い路頭に迷ってしまいそうな女性を救うことになったかもしれないのです。
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この記事を書いた人:東方明珠
こんにちは。とうほう めいしゅです。
中国は上海の雰囲気が好きなので、テレビ塔の「トンファンミンジュ」を名乗っています。
もともと『水滸伝』の大ファンで、『三国志』に興味を持ったのは、アーケードゲーム「三国志大戦」がきっかけです。
当時はゲームセンターに通いつめました!
まだまだ中国史について勉強中ですが、精いっぱい面白いことを探してお伝えしたいと思っています。
どうぞよろしくお願いいたします。