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93話:名将 張任、遂に堕ちる

2015年7月4日


 

張任(ちょうじん)の立て籠る雒城は名城であり張任が守る限りは陥落しない、、

そのような情報は、先の戦いで劉備(りゅうび)軍の捕虜になった武将達も、

口ぐちに言っている事でした。

 

そこで、孔明(こうめい)は、張任を戦場におびき出し、

二度と、雒城に戻さない計略を考案します。

孔明は雒城の近くに架かる金雁(きんがん)橋に目をつけます。

 

前回記事:92話:劉備を徹底的に追い詰める張任

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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孔明 対 張任

諸葛孔明

 

翌日、孔明は極く少数の手勢で、雒城を攻めさせました。

城内から、これを見ていた張任は、これを侮ります。

 

張任:「ふん、この程度、蹴散らすのはわけもないわ」

 

張任は雒城を飛び出し、劉備軍を蹴散らします。

 

蹴散らされた劉備軍は、金雁橋を通過して、逃げていきます。

 

張任もそれを追いかけると、橋の先には、孔明が車に載って座っています。

 

孔明:「張任とやら、私は諸葛亮孔明だ、、聞いた所では、お前は

少しばかりの武勇と知略を鼻にかけて自惚れているそうだが、、

とんだ井の中の蛙というものだ、、

あの曹操100万の大軍でさえ、私を恐れて逃げる程であるのに

お前ごときのちっぽけな知略では、この孔明には歯が立つものか

無駄な抵抗はやめて降伏するがいい」

 

孔明の挑発にも動揺しない名将 張任

張任

 

孔明の挑発ですが、流石に張任は、軽率には飛び付きません。

しかし、張任の見た所、孔明の周辺は老人兵ばかり、

隊列もバラバラでちっとも戦えそうではありませんでした。

 

(孔明は、神算鬼謀と聞いていたが、どうやら買いかぶりらしい

この程度の弱兵しか扱えぬようでは、ろくな戦は出来ん、、

今の内にひっ捕らえて、劉備の戦意を挫いてやろう)

張任は、馬に鞭をあてると兵と共に、金雁橋を渡ります。

 

それを見た、孔明は、急いでその場を離れました。

 

孔明の策略が張任に通用するのか?

 

張任:「はっは!逃げるか腰抜けめ!天才軍師が聞いて呆れ、、」

 

張任が言いかけたその時、橋の左から劉備、

右から厳顔(げんがん)の軍勢がこちらに向かってくるのが見えました。

 

張任:「しまった、謀られたのか!」

 

張任は、金雁橋を渡って逃げようとしますが、すでに、

橋は、趙雲(ちょううん)によって落され、

北は趙雲の軍勢に包囲されています。

 

「うぬぬ、、止むをえん!!」

 

張任は、ならばと残された南の道を逃げますが、

そこへ、魏延(ぎえん)の部隊が襲い掛かり、

さらに黄忠(こうちゅう)の部隊が、

襲い掛かり、張任の兵力を減少させました。

 

張任 対 張飛

 

張任は、たった一人で逃げに逃げますが、

そこは、行き止まりで、張飛(ちょうひ)の伏兵が待っていました。

 

張飛:「どうする?張任、、俺と一騎打ちするか?」

 

余裕で蛇矛を振り回す張飛に張任は、挑みかかりますが、

所詮、歯が立つものではなく、馬から突き落とされて、

もがいている所を縄で縛られてしまいます。

 

張任は、こうして、劉備の軍門に引き立てられていきました。

 

張任を劉備軍に加えたい劉備

 

劉備は、自分を計略で散々悩ました張任の力を気に入り、

是非、配下に加えたいとスカウトします。

 

しかし、張任は、、

 

張任:「忠臣は二君に仕えぬものだ、、これまで多くの部下を失いながら、

わしだけがおめおめ、敵の家来になるなど、それで男が立つものか

さっさと首を刎ねてくれ!」

 

と言い続けるばかりで、説得には耳を貸しませんでした。

 

劉備は、その潔さと勇気を心の底から惜しみましたが、

軍規を守る為に、張任の処刑命令を降しました。

 

張任の勇気に惹かれた劉備

 

劉備は、張任の亡きがらを、金雁橋の橋の側に埋めて、

ここに張任の忠義を称える碑を建てたという事です。

 

人物を大事にし、惚れこんだ武将には、敵も味方もなく

手厚く遇するという劉備らしさが見える逸話ですね。

 

 

次回記事:94話:成都を陥落させ李厳を得る劉備軍

 

 

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kawauso

台湾より南、フィリピンよりは北の南の島出身、「はじめての三国志」の創業メンバーで古すぎる株。もう、葉っぱがボロボロなので抜く事は困難。本当は三国志より幕末が好きというのは公然のヒミツ。三国志は正史から入ったので、実は演義を書く方がずっと神経を使う天邪鬼。

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