キングダムにおいては、古参の名将として知られる麃公(ひょうこう)将軍。
実際には、六大将軍に匹敵する武勇を持ちながら、常に辺境を守った為に
知名度がなく昇格できなかったという噂もある猛将です。
『はじめての三国志』では、この麃公の実像に迫ってみようと思います。
この記事の目次
史実では実に二行しか記述がない人物
歯がギザギザ、巨体、味方の犠牲を顧みず、燃え盛る大炎を目指して
戦場を疾駆する本能型武将の極致とも言える麃公将軍は、キングダムでも初期から
登場し、主人公・信(しん)ともタイプが似ているせいか早くから打ち解けた人です。
性格は豪放で、細かい事は気にせず、大きい事もあまり眼中になく、
ただ、戦場において生命のやり取りをする事に無上の喜びを感じています。
そんな麃公将軍ですが、史実の記載は二行しかなく、
・紀元前246年、秦王政が即位すると将軍に任じられる
・紀元前244年、韓を攻め首を斬る事3万であった
という簡単な記述があるだけです。
つまり、漫画の麃公のキャラクターは原先生の創作という事になります。
無茶苦茶厳しいけど痺れる言動の男・・
麃公は、まさに戦の中に生き、戦の中で死んでゆく事を覚悟した人です。
魏軍の魏火龍七師の一人、呉慶(ごけい)との一騎打ちの途中、
呉慶が本当は小国の王族であったが趙に滅ぼされて、一族を殺され
流浪し苦労の末に魏で返り咲いた話をすると
「そんな話は乱世にはありふれておるわィ!」
と一喝し、圧倒的武力で呉慶を討ち取っています。
過去を引きずる影のある呉慶と、今しかない麃公の鮮やかなコントラストでした。
人の身の上話を一笑にふすとは厳しい人ですが、その分、
前向きな生きる力に溢れている武将なのです。
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李牧を驚愕させた野生の感が秦の窮地を救う
そんな麃公の面目躍如が、合従軍編の最終局面で起こりました。
函谷関が抜けずに撤退していく五カ国連合軍の中、李牧(りぼく)は少しずつ、
兵力を抜き出して、函谷関を迂回して険しい山道の間を通り、
そのまま秦の首都咸陽を突こうとします。
全ての兵力を出払っている秦は驚愕し、対応に苦慮しますが、
秦王政は、自ら、前線の蕞(きょう)に籠城し李牧の2万の大軍に
千名の農民兵で対抗します。
この絶体絶命の窮地に、異変を察知した麃公は、救援に駆け付けたのです。
本能型武将の彼は、李牧が味方さえも欺いて実施した計略を
直感で見抜き、自らも間道を走破してやってきたのでした。
この計略を破るものは秦軍にはいないと確信していた李牧は驚愕し
麃公を本能型武将の極致と評しました。
麃公の出現で完璧な筈の李牧の策は狂い、さらに山の民の王
楊端和(ようたんわ)の軍勢が出現するに至り、完全な敗北に終わりました。
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武神龐煖の片腕を手土産に、逝った麃公
李牧は、この咸陽突撃に、武神龐煖(ほうけん)を伴っていました。
麃公は、この龐煖に純粋に武人としての興味から一騎打ちを挑みます。
王騎(おうき)を葬り、幾多の豪傑を葬った龐煖の一撃を麃公は「軽い」と評します。
いかに強くても、沢山の人間の思いを背負った将軍の武と、たった一人の
自己満足の武では、強さの重みが違うというのです。
同じ事を王騎からも聞いた龐煖は動揺しますが、
やはりそこは武神、圧倒的な力の差で麃公を破壊するように殺します。
しかし、麃公は絶命する前に龐煖の片腕を折るという置き土産を残します。
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火を絶やすでない・・信へ引き継いだ武人の魂
信は、麃公が龐煖に殺されそうになるのを止めに入りますが、
麃公は、それを許さず、盾を投げ渡して咸陽に急ぐように命じます。
「火を絶やすでない・・」
それが麃公の最後の言葉でした。
麃公は信という後継者を得て、満足だったのかも知れません。
秦王政や、昌平(しょうへい)君とは違い、中華統一というような
大きなビジョンは持たない武一徹な麃公ですが、その爽やかな潔さは際立っています。
王騎もそうでしたが、血沸き肉踊る乱世という極上の空間を麃公は
目一杯楽しみ、そして人生を全うしたのです。
キングダムライターkawausoの独り言
すでに故人になってしまった麃公ですが、見た目と違い、部下に気を遣う
所もあり、時折、信の前にも出現してはアドバイスをしていました。
秦の将軍といえば王翦(おうせん)や桓騎(かんき)のように一癖も二癖もあり、
迂闊に本心を話せない武将も多いですが、麃公は、まったくそんな感じがない、
子どものように純粋な武人の感じがありましたね。
いなくなってしまって残念です。
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