編集長日記
まだ漢王朝で消耗してるの?




はじめての三国志

menu

三国志の雑学

登山家・馬謖の山登りにはちゃんと意味があった!

この記事の所要時間: 451




基礎知識 馬謖03

 

師である諸葛亮孔明(しょかつりょうこうめい)の言いつけを破り、

街亭の山頂に布陣したばかりに魏将、張郃(ちょうこう)に敗れ

北伐を失敗に導いた孔明の秘蔵っ子、馬謖幼常(ばしょく・ようじょう)

その無残な敗戦により、Mrハイキングなどとあだ名を付けられ

すっかりギャグキャラ化した彼ですが、実は街亭で馬謖が山に登ったのは

ちゃんと彼なりの意味があった事が明らかになりました。

 

はじめての三国志:全記事一覧はこちら

関連記事:【三国志あるある】懐かしい!と思った人は40代!昭和では当たり前だった三国志事情




第一次北伐での孔明の狙いとは?

馬謖 孔明

 

第一次北伐における孔明の狙いとは、長安を眼前にする渭水盆地に

蜀軍の拠点を造る事でした。

何と言っても秦嶺山脈を越える北伐は食糧の補給と兵の往来が困難だからです。

渭水盆地から長安は、目と鼻の先である為に、ここに拠点を確保できれば

肥沃な土地を耕して屯田も可能になりますし、長安を陥落できる確率は

大幅に上昇するのです。

 

もっとも、そんな事は、魏軍だって百も承知ですから、

渭水盆地に蜀軍を入れないように備えを固めていました。




長安を守備する曹真の軍勢を囮部隊で釘づけにする

基礎知識 馬謖02

 

しかし、兵力において、魏軍と蜀軍では開きがありました。

大将軍曹真(そうしん)は、二十万の兵力を率いているので、

十万程度の蜀軍がまともに当たったのでは、勝目はありません。

 

そこで孔明は陽動作戦を取ります、趙雲(ちょううん)鄧芝(とうし)

別働隊一万を率いさせ斜谷道から郿(び)城を攻めると宣伝を流します。

 

董卓

 

郿城とは、かつて董卓(とうたく)が築城した難攻不落の要塞で、

長安の支城の役割を果たしていました。

 

董卓が築城した要塞が絶対防御すぎてヤバイ!郿城(びじょう)とは何?

 

曹真が、孔明の宣伝を真に受けたかどうか分りませんが、

囮(おとり)であろうが、本隊であろうが、素通りさせるわけにはいきません。

こうして二十万の曹真軍と趙雲・鄧芝の軍勢は狭い道で交戦します。

 

狙い通り、曹真を釘づけにした孔明は、西に回り込んで祁山を陥落させます。

この衝撃は大きく、涼州では天水、南安、安定が孔明に寝返ります。

 

関連記事:【軍師連盟】諸葛孔明の北伐は司馬仲達がいなければ成功していたの?

関連記事:【素朴な疑問】蜀漢って国内はどうなっていたの?蜀軍の配置から北伐や蜀の情勢が見えてくる!

 

事態を危惧した曹叡は、長安に親征して張郃を送り込む

韓信vs孔明13 孔明

 

天水、南安、安定が寝返った事は曹叡(そうえい)に衝撃を与えました。

事態を危惧した曹叡は、親征を決意して洛陽から長安に進軍して、

長安で陣頭指揮を執るようになります。

 

同時に伴ってきた歴戦の猛将、張郃に孔明を破るべく軍勢を与えます。

それを知った孔明は、張郃を足止めするべく、馬謖に一万の軍を与え

街亭を占領するように指示します。

 

街亭は狭い山道であり、少数の軍勢で張郃を食い止める事が出来ます。

孔明としては、馬謖に張郃を防がせて時間を稼ぎ、自身の本隊を、

渭水盆地まで進めるつもりでした。

 

そうすれば、曹真と張郃は、背後に蜀軍を抱える事になり、

必ず孔明を撃破する為に渭水盆地まで兵を戻します。

そこで、待ち構えていた孔明の本隊と追撃してきた趙雲、鄧芝の囮部隊が

曹真軍を挟んで撃滅するというシナリオだったのです。

 

馬謖の登山の理由(地図)

 

 

どうして、馬謖は街亭に登ったのか?

基礎知識 馬謖05 孔明

 

しかし、あくまでも麓で張郃の進軍を防げと命じた馬謖は、孔明の命令を無視、

街亭の山頂に布陣して張郃に包囲されて水を断たれて大敗します。

ですが、それには、馬謖なりのちゃんとした理由があったのです。

 

その理由は、長安に出張ってきた曹叡を打ち倒し、一気に魏を滅ぼすという

イチかバチかの危険な賭けでした。

 

関連記事:孔明の北伐の目標はどこだったの?

関連記事:え?劉備は意外にも経済に明るい人物だった?孔明の北伐が継続できたのは劉備のおかげ!?

 

馬謖は張郃を引き受ける事で孔明に長安を突かせようとした

孔明

 

馬謖は軍略に才があったと言われています。

実戦経験は乏しいですが、知略によって、一発逆転の戦術を考えるのは、

大得意だった事でしょう。

街亭に布陣してからしばらくすると、馬謖に長安に曹叡が親征の為に

やってきている報告がもたらされます。

洛陽では届きませんが、長安なら目と鼻の先です。

 

ここで、孔明の本隊が長安を攻撃して、曹叡を殺すか、捕えるかできれば、

魏は一気に動揺して分裂し内部崩壊を起こすに違いない・・

 

馬謖は、このように考えましたが、その邪魔になるのは張郃でした。

もし、馬謖が孔明の言いつけどおりに街亭の麓に布陣すれば、

張郃は、或る程度の所で長安に戻るか、別の進路を探るかも知れません。

 

それでは、張郃を釘づけにする事はかないません。

そこで馬謖は敢えて、張郃を誘う為に麓の道を棄てて、

山頂に布陣したのです。

 

こうして、張郃を馬謖に引きつければ、曹真は趙雲と鄧芝に釘付け、

張郃は馬謖に足止めされる事になります。

そうなれば、周囲には、フリーハンドの孔明の本隊だけが残ります。

そこで孔明は祁山から街亭を通り、長安を襲撃して曹叡を捕えて、

魏を滅ぼすというのが馬謖の計略だったのです。

 

関連記事:孔明の北伐はノープランだった!?北伐の意図は何だったの?

関連記事:孔明の最期の晩餐は一体何を食べていたの?

 

馬謖の奇策は可能だったのか?

馬謖とkawauso

 

では、馬謖の言う通りにして孔明は長安を陥落できたでしょうか?

結論から言うとまず不可能でしょう。

第一に長安は、丸裸ではなく、陳倉や雍、郿というような支城があります。

張郃は愚かではありません、出陣するにあたり、このような支城に

兵力を分けたと考えるのが自然でしょう。

 

そして、陳倉のような小さな城でも、何十日も費やして落せない現実を考えれば、

内応が期待できない限り、それらの支城を短期間で落すのはかなり難しいでしょう。

 

また、孔明の本隊が離れている間に、曹真の本隊が、趙雲・鄧芝の

囮部隊を撃破したら、彼等は漢中を制圧して、成都になだれこみます。

そうなれば、蜀はひとたまりもなく滅んでしまうのです。

時間で考えれば、曹真が囮部隊を撃破する方が、孔明が支城を抜くより

はるかに速いと考えられます。

こうして考えると、孔明が馬謖の意図を見抜いたとしても、

馬謖の思惑通りに長安に兵を進める可能性は無いと言えるのです。

 

関連記事:三国志ライターkawausoが魏を斬る!蜀が中華統一をする方法

関連記事:どうやったら蜀は魏を滅ぼして天下統一を果たせたの?【ろひもと理穂の考察】

 

三国志ライターkawausoの独り言

kawauso 三国志

 

このように馬謖は、実戦が伴わない机上の空論の奇策を思い付き、

一度に魏を撃滅しようと考え、あえて張郃を引きつける囮となって

街亭の山頂に布陣したのです。

そこには、孔明ならば自分の意図に気付くに違いないという

独りよがりなうぬぼれもあったでしょう。

 

泣いて馬謖を斬る

 

ところが、馬謖のそのような意図は後世に伝わらず、

命令に背いて山に登るという奇行だけが残った為に、

兵法読みの兵法知らず、Mrハイキングと罵倒されるように

なったのではないでしょうか?

 

※地図は武将の配置を説明用に配置しているだけです。

布陣の位置などは正確ではありませんのでご了承下さい。

 

はじめての三国志:全記事一覧はこちら

関連記事:【悲報】泣いて馬謖を斬る!は嘘だった?馬稷の死は敗戦の責任のみでは無かった!?

関連記事:もし郭嘉が劉備軍の軍師だったらどうなる?呂布や袁術も討伐できた!?

 

—古代中国の暮らしぶりがよくわかる—

 




 

kawauso

kawauso

投稿者の記事一覧

三度の飯の次位に歴史が大好き

10歳の頃に横山光輝「三国志」を読んで衝撃を受け
まずは中国歴史オタクになる。
以来、日本史、世界史、中東、欧州など
世界中の歴史に興味を持ち、
時代の幅も紀元前から20世紀までと広い。
最近は故郷沖縄の歴史に中毒中、、

好きな歴史人物:

西郷隆盛、勝海舟、劉邦、韓信、、etc

何か一言:

歴史は現在進行形、常に最新のジャンルです。

関連記事

  1. まだまだあるよ!諸子百家シリーズ 陰陽家・農家・小説家
  2. これは意外!?三国志時代では戦争の必需品だった短刀
  3. 曹操、生涯最大の苦戦 白狼山の戦い|烏桓討伐編
  4. 周泰(しゅうたい)ってどんな人?孫権に重んじられた、全身傷だらけ…
  5. まだ漢王朝で消耗してるの?第1話:改革なき破壊者 董卓
  6. 見た目で比較してもいいですか?曹操とナポレオン
  7. 廖化(りょうか)ってどんな人?蜀漢成立~滅亡まで戦い続けた蜀の将…
  8. 朝まで三国志2017 三国志の最強軍師は誰だ! 第11部

google検索フォーム

過去記事を検索できます

ピックアップ記事

おすすめ記事

  1. 早すぎた時代の改革者・袁術にヘッドハンティングされた徐璆の逸話
  2. 93話:名将 張任、遂に堕ちる
  3. 【三国志の分岐点】最大のチャンスを見逃してしまった曹操のミス
  4. ええっ?蒙驁(もうごう)将軍は史実では秦の六大将軍に並ぶ超名将だった
  5. 曹丕の残忍さがよく分かる曹丕の妻、甄氏の悲劇
  6. 【九州三国志】『三國志』は中国だけじゃない!日本の三国志事情 Part.1

三國志雑学

“広告募集"

はじめての三国志 書籍情報


著:kawauso 価格480円
※Kindle読み放題対応

ピックアップ記事

おすすめ記事

何で劉備と司馬懿は無能な人間のふりをしたの?分かりやすく解説してみるよ 【週間まとめ】はじめての三国志ニュース18記事【9/4〜9/10】 【軍師連盟】司馬懿が起こしたクーデターは博打だったの? 田横(でんおう)ってどんな人?不撓不屈の精神で正義を模索した王の生涯 【戦国四君の食客の名言】人間関係を達観した馮驩の名言 曹操のお屋敷はガラスでキラキラだった?西域趣味の曹操が金髪美女とアモーレ・ミ―オ! 【見逃した方向け】情熱大陸に出演した原先生の苦痛の漫画人生 【名将対決】雷神と恐れられた名将立花道雪VS呉の名将陸遜 Part.1

おすすめ記事

  1. 曹仁(そうじん)ってどんな人?熱血と沈着冷静、大人な大将軍の人生
  2. 王騎将軍は二人いた!キングダムのカリスマの真実
  3. もし郭嘉が魏の建国まで長生きしていたら魏の内閣総理大臣になっていた?
  4. 【ネオ三国志】第4話:孫家の跡継ぎ、天下へ向けて出陣
  5. 董允(とういん)ってどんな人?蜀の黄門様、劉禅の甘えを許さず!
  6. 出来ると言われる人必携!三国時代の役人7つ道具
  7. オルド将軍は実在するの?やっぱり最期は龐煖にバッサリ?
  8. 被らないのは裸で歩くようなもの?中国人が被っていた冠は何?

はじさん企画

袁術祭り
李傕祭り
帝政ローマ
広告募集
まだ漢王朝で消耗してるの?
HMR
ライフハック
君主論

ビジネス三国志
春秋戦国時代
日常生活
曹操vs信長
架空戦記
ライセンシー
北伐
呂布vs項羽
編集長日記
はじめての三国志TV
PAGE TOP