始皇帝の法治国家を助けた韓非と李斯って何でいがみ合ったの?

2017年1月20日


 

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韓非の本を熟読して感銘を受ける政

 

始皇帝は天下統一させ、秦帝国を法治国家として運営していくことにします。

始皇帝が法治国家形成をしようとしたきっかけは、

荀子の考えを学んだ韓非(かんぴ)が書いた書物である韓非子の影響と

荀子の法家思想の実行者・李斯(りし)のふたりの活躍によって成立していくことになります。

荀子を学んだ韓非と李斯。

彼等は一体秦帝国ではどのような役割を果たすのでしょうか。

 

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監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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荀況の元へふたりの青年がやってくる

荀況

 

楚の国に「荀子」と言われる儒教を元にした法家思想を完成させた荀況(じゅんきょう)。

彼が新たに完成させた学問を知るために、全国各地から多くの人が彼の元へ押し寄せてきます。

その中に荀況が気になる人物が二人いました。

 

韓非

 

一人は韓王の弟である韓非(かんぴ)

彼は荀況が教えていることをどんどんと吸収していき、

飲み込みの速さは塾の生徒達で一番でした。

しかし三国志に登場する鄧艾(とうがい)に匹敵するほどのどもりで、人と話すのが苦手でした。

 

李斯 ネズミ

 

そして二人目はカミソリのような目つきの悪い李斯(りし)

彼は目つきが悪く一体どこのゴロツキなんだと思わせる風貌を持っておりますが、

意外と頭が良く勉学に対する姿勢もいい生徒でした。

この二人は互いに切磋琢磨しながら学問をよく学びしっかりと修めていきます。

 



荀況の元から韓非が去る

韓非 キングダム

 

こうして互いに切磋琢磨しながら法の知識を蓄えていくのですが、

二人は荀況が新しく完成させた荀子の学問にだんだん飽き足らなくなってきます。

韓非は荀子曰く「罪を犯す人が出てくるのは礼儀による教育でしっかりと抑えていないからだ。」と

しております。

しかし韓非は「そんなバカな。礼儀を重んじて犯罪がなくなればそんな簡単な事はない。

礼儀なんて物を重んじるような人は極小数の人しかいなく、

大多数の民衆は礼儀よりも明日の食物の事を考えているのだ。

そんな人々に礼儀だなんだといっても無駄である。

礼儀の教育を強化する暇があったら法整備をしっかりと行い、

法によって人々を統治していくのが急務であるよ。」という考えに至ったことがきっかけで、

彼は荀況の元から去っていき、故郷である韓へ帰国していきます。

 

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李斯も荀況の元を卒業

李斯 ネズミ

 

ライバルであり良き友であった韓非がいなくなったことで張り合いをなくしてしまった李斯。

彼も荀況の下で学問し続けることに疑問を持ち始めていたところでした。

そんな時に韓非が韓へ帰国していってしまったので彼も荀況の元を卒業して、

故郷である楚を離れ戦国七雄の中で最強と言われていた秦の国へ向かいます。

 

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運命の出会い

呂不韋

 

李斯は秦へ入国すると当時勢いのあった呂不韋(りょふい)の門を叩いて食客にしてくれるように

懇願します。

呂不韋は新しく食客になりたいと願ってきた李斯と会見し、色々な事を質問します。

彼は李斯へ「今後秦国が大きく飛躍するにはどのような方針を取った方がいいと思うかね」と質問。

すると李斯は「秦は現在天下最強としての勢いを保持しておりますが、

昭襄(しょうじょうおう)の時代と比較すれば、

現在の秦国の勢いは比較的緩やかになったと言えるでしょう。

そこで今後秦国が取るべき方針として私が考えるのは、

富国強兵策を推し進めていき秦国の軍事力を増大させて、

他国と軍事力で差をつけ、他国をガツガツ平定していくのがよいと思います。」と

自分の考えを披露します。

この考えを聞いた呂不韋は彼が答えた他の考えと共に「こいつは役に立つ奴だ」と

確信を持って判断し、食客として李斯を迎え入れることにします。

こうして李斯は呂不韋の食客として迎え入れられる事によって、

秦の国で大きくその才能が開花することになるのです。

 

韓へ帰国した法家

 

荀況(じゅんきょう)の元を卒業した韓非(かんび)は、まっすぐに韓へ帰国します。

当時の中国は7つの国に分裂している状態で、毎日どこかで戦が行われている状態で、

7つの国の中で一番強い国は西方にある秦という国でした。

 

昭襄王

 

この国は昭襄王(しょうじょうおう)という秦王が出現した時、

ものすごい勢いで各国へ攻勢を仕掛けていきます。

特に趙と秦の間で行われた大戦である「長平の戦い」で趙が大敗北を以降、

秦の国を単独で止めることができる国はありませんでした。

韓非の生まれ故郷である韓は天下最強である秦と隣り合わせの国でした。

その為いつ韓へ秦軍が攻撃を仕掛けてくるかわからず、

また攻撃を仕掛けられても単独で秦軍と戦うことができまんでした。

そこで韓非子の兄貴であり韓王は、秦へ毎年贈り物を送って不戦条約を締結することで、

自国の平和を贖う(あがなう)方針を撮り続けることにします。

韓非は弱気な韓王を7つの国最弱の韓の国を立て直す目的を達成する為、

荀況の下で学問を学びます。

その結果彼は法で国家を治めることに成功すれば、

強国になることができるのではないかという考えにたどり着いたので韓へ帰国します。

 

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韓王へ早速進言するが・・・・

韓王を説得する韓非

 

韓非は帰国すると早速、兄である韓王へ帰国の挨拶を行います。

彼は帰国の挨拶を韓王へ「あ・・・た・・・・だいま帰りまして・・・・ございま・・・・す」

とひどい吃りで何しゃべっているか分からないほどでした。

しかしそこは兄弟でしたので、韓王はすぐに韓非が帰国の挨拶をしているのだと気づき、

「ご苦労であった」とねぎらいの言葉をかけます。

その後韓非は一通の手紙を韓王へ渡します。

この手紙にはしっかりとした字体である進言が書かれておりました。

韓非が韓王へ渡した手紙には、

まず現在の韓の国が秦の属国とほとんど変わらない状態であることを説明。

韓王はこの文章を読んだ時に流石に顔色が変わってしまいました。

そして次のページに韓非は現状を打破するための方針として

「現在秦の属国に近い状態から脱出するためには、韓の国家制度を改革しなくてはならないと

考えます。

そのためにはまず現在のあまり意味のない韓の法を撤廃して、

新しい韓の法を制定することが急務であると考えます。

新しい韓の法とは法を厳格にして、信賞必罰を持って接することが肝要で、

韓王が全ての法を家臣に質問して制定し、王がこの法律を運営していくことによって、

国家は生まれ変わります。

秦が現在天下最強の国として君臨することができたのは、商鞅の法改革が成功して、

法治国家として運営していることが原因です。

我が国も秦を見習って法治国家として生まれ変わることができれば、

秦と互角に戦える事が出来るでしょう」と記してありました。

韓王はこの文章を読み終わると「ご苦労」とひと声かけて奥へ引っ込んでしまいます。

その後韓非が一生懸命書いた進言に対しての回答は一切ありませんでした。

 

自らの進言が用いられない苛立ちから「韓非子」を記す

三国志大学

 

韓非はその後もめげずに韓王へ法治国家として生まれ変わるべしとの進言を送り続けますが、

取り上げてもらうことはありませんでした。

彼はせっかく荀況の元で勉学に励んで法家の考えを取り入れたのに、

自分の進言が韓王に取り上げられないことに対しての苛立ちを隠すことができませんでした。

そこで彼はこの苛立ちを解消するため、

自分が考えた法治国家としてのどのようにするのが最適であるのかを記した書物を

執筆することに専念します。

こうして自らの考えを書物として執筆していくこと数年。

ついに完成します。

その書物の名を「韓非子」といいます。

そしてこの韓非子が韓非の運命を大きく狂わせることになるのです。

 

秦王政の側近となって活躍

呂不韋

 

李斯(りし)は呂不韋(りょふい)の元で食客として自らの能力を最大限に披露。

その結果呂不韋はこの食客を秦王となっている政へ側近として活用するように推挙します。

政は李斯を側近として加えると彼の能力を試すため

「お前がどのくらいの能力を持っているのか私は知らん。

そこで君を試すことに決めた。

まず他国へ潜入して軍事権を握る将軍と王族達との関係にヒビを入れてこい。

もし成功すれば大臣として迎え入れることにする」と彼に命じます。

李斯はこの命令を受けて、すぐに秦を出て各国をめぐります。

その後李斯は王族と将軍との関係を破壊することに成功してから帰国。

秦王政は彼の能力を評価し、大臣として任命して優遇します。

こうして彼は出世の糸口を見つけて、その後も順調に出世街道を進んでいくことになるのですが、

ある男が書いた書物のせいで、彼に危機が訪れることになります。

 

「この作者にであることができるのであれば我が生涯に一片の悔いなし」by政

韓非の本を熟読して感銘を受ける政

 

秦王政は各地へ将軍を派遣して各国平定に勤しんでおり、忙しい毎日を過ごしておりました。

そんなある日一つの本を側近が献上してきたので読み始めます。

政はこの本を読み始めると止まらなくなり飯を食っている時や寝る前に読んでおりました。

その結果すぐにこの本を読みきってしまいます。

そして政は李斯や側近に「この本は素晴らしい。

もしこの本の作者に出会うことができるのであれば、我が生涯に一片の悔いなし」と

語ります。

秦王政がハマった本の名を「韓非子」でした。

 

ライバルが秦へやってくる

キングダム 政

 

この話を聞いた李斯は早速この本の作者を調べよと配下に命じます。

数日後李斯に命じられて作者を探索してきた者が報告にやってきます。

この探索者は李斯へ「この韓非子という本を書いたのは、

韓王の弟である韓非(かんぴ)というものです。

またこの韓非なる者は近々秦へ来訪するとのことでした。」と報告を受けます。

李斯は大いに驚き、危うく失神しそうでした。

この事実を知った李斯は自らの前に立ちはだかる大きな壁に困惑の色を隠せませんでした。

そして数ヶ月後ついに韓非が秦へ入国。

韓非は吃りながらも秦王政に挨拶を行います。

挨拶が終わると政は「君がこの本を書いたのかい」と自らが持っている韓非子を見せます。

すると韓非はどもりながら「は・・・・い。私・・・・がかきまし・・・・た」と必死に答えます。

政は韓非の答えが聞き取りにくいながらも一生懸命聞き取った後、

「この本にサインして~」とサインをねだります。

すると韓非はさらっと秦王政が持っている本へサインを行った後、宿舎へ引き返していきます。

韓非が引き下がってから政は「あいつを秦の宰相にしちゃおっか。どもりがひどいけど」と

宰相にしちゃおうか宣言を周りを見渡しながら述べます。

この発言を聞いた李斯は己の地位の危うさに危機感を感じます。

 

李斯の讒言

口論する韓非と李斯

 

李斯はこのまま何もせずに手を拱いていればライバルである韓非に、

自分が苦労して築いてきた地位を乗っ取られてしまうと考えます。

どうすれば自分の地位が保全されるか考えた結果、李斯は一つの考えをひらめき早速秦王政に

進言します。

彼は政へ「韓非は韓王から秦の国情を見てくるようにと言い含められていたそうです。」と

悪口を流します。

すると政は「ほう。そんな事がなぜわかる」と反論。

李斯は「それは。彼の身辺を調査した結果、彼が使節団の副使とそのような事を話していたのを

突き止めたからです。」と述べます。

政は信頼する李斯が進言してきたので、韓非を捕らえて牢屋へとぶち込みます。

その後李斯はすぐにある物を持って牢屋へと向かいます。

 

ライバルを毒殺

 

李斯は韓非がいる牢屋に行って彼と面会します。

彼は韓非へ「すまん。俺がいながら君を救うことができなかった。

秦王は君を韓のスパイであると思い込んでおり、

翌日君を市中で引き回してから車裂きの刑にすることが決まった。

荀子の元で一緒に学問をした君が車裂きの刑に処されるところを見たくない。

だからこれを飲んで自殺してくれ。」と毒の入ったツボを渡します。

韓非はこのツボをしばらく眺めた後、一気に毒入りのツボを飲み干して自殺。

李斯は彼が亡くなると牢屋を出て、自らの屋敷へスキップしながら帰っていくのです。

その後李斯は秦王へ「韓非は獄中で自殺しました。」とさらりと報告。

政も別段気にする風もなくただ頷いただけであったそうです。

 

三国志ライター黒田廉の独り言

黒田廉

 

秦王政はなぜあれだけ韓非の事を尊敬していたのにあんなにドライであったのでしょうか。

もしかしたら韓非子を政が読んだ事で韓非の思想を学びきったので、

本人は不要であり彼が記した韓非子の政策が他国へ流れることを恐れていたのでは

ないのでしょうか。

この考えを仮定として考えると意外と辻褄が合うのではないのでしょうか。

政はばかでも愚か者でもありません。

李斯が韓非を陥れようと考えていることは百も承知で彼の讒言を受け入れて韓非を牢獄へ

ぶち込んだのではないのでしょうか。

もちろん自らは命じなくても信頼している李斯であれば、

政の考えを読んで韓非を殺害するであろうと考えていたのかもしれません。

この推測が正しければ李斯が政から韓非を殺害した責めを受けなかった理由としても納得が

行くのではないのでしょうか。

「今回の春秋戦国時代のお話はこれでおしまいにゃ。

次回もまたはじめての三国志でお会いしましょう。

それじゃあまたにゃ~」

 

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