正史の孫夫人こと孫尚香は三国志演義では性格がまるで違う?

2020年7月7日

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kawauso編集長(石原 昌光)

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kawauso編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務めるほか、紙媒体やWebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者・おとぼけ(田畑 雄貴)

コンテンツ制作責任者

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月に「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感していただけることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。

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孫尚香

 

正史三国志と三国志演義ではキャラクターが違うというのは良くあることですが、その中でもかなり違う人物として孫尚香(そんしょうこう)、孫夫人(そんふじん)がいます。特に三国志演義の彼女は女性の中でもひと際目を引く存在ではないでしょうか。

 

しかしそんな彼女も正史三国志と三国志演義ではかなり違う?

ということでそんな彼女に今回はフォーカスしたいと思います。

 

孫尚香という名前

呉の孫権は皇帝

 

さて孫尚香、というと三国志時代の人、そして女性にしては珍しく名前が伝わっているんだなぁと思われるでしょう。確かに孫権(そんけん)の妹で劉備(りゅうび)の妻ともなればやはり名前がしっかりと残って……いるという訳ではなく、この名前は京劇(きょうげき)で彼女の名前を「孫尚香」としたものが始まりとして、一般に広まったのです。

正史三国志_書類

 

実際に彼女の名前はどうだったかは正史三国志を見ても不明であり、孫夫人としか記されてはいません。ただ今回は敢えて孫夫人ではなく、孫尚香という名前で進ませて頂くこととします。ご了承くださいね。

 

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孫尚香の出自

呉夫人

 

孫尚香といえば孫権の妹としても有名ですが、一般的には同母ではなく異母妹とされています。主に孫策(そんさく)と孫権は呉夫人の子とされ、孫尚香は呉国太(ごこくたい
)
の子とされていますが正史を見るとこれまた謎が残ります。何故ならば正史には呉国太の記述がないからです。

 

孫堅の妻

 

なのでもしかしたら父・孫堅(そんけん)の他にいた側室の子であったかもしれません。

 

正史の孫尚香の性格は・・・

略奪する兵士(モブ)

 

そんな孫尚香の記述は、正史ではほとんどありません。ただ記されているのは気が強く、傲慢で不遜、周囲と良くトラブルを起こす性格は本人だけでなく、呉から連れてきた兵士たちも同じで、素行が悪い部下たちが良く法を犯したと記されています。

絶世美女 貂蝉

 

また孫尚香の部下、女中たちまでも武装させたことは三国志演義でも言われていますが、こちらも正史では同様です。しかしその振る舞いは「威嚇行動のよう」と……記述の端々から単なる気の強い女性と言うだけでなく、彼女が蜀にとって、劉備たちにとって問題があったように記述されているのです。

 

孫尚香のお目付け役・趙雲

五虎大将軍の趙雲

 

そんな態度をとる彼女のお目付け役として趙雲(ちょううん)が選ばれました。しかしこのお目付け役、異例なことです。本来、この時代では宦官(かんがん)と言う生殖能力を失った男性や、女性だけが夫人たちの世話を行っていました。

 

男気溢れる趙雲

 

これは日本で言う大奥と同じで、後継者の血筋を正しくするためでもあります。確かに趙雲と言えば信頼できる忠実な人物ですが、そんな人物とは言え男性をお目付け役にするのは異例中の異例なのです。なのでここからだけでも孫尚香が如何に危険視されていたかが分かると思います。

諸葛亮も孫夫人を危険視していた?

蜀志(蜀書)_書類

 

更に更に。こちらは法正伝(ほうせいでん)で諸葛亮(しょかつりょう)が述べていますが「北に曹操(そうそう)、南に孫権、更に内にあっては孫夫人の脅威があり、その中で我が君が志を遂げたのは、ひとえに法孝直(ほうこうちょく)の功績である」とあるように、なんと曹操や孫権ほどの危険人物として孫尚香の名前が挙げられているのです。そして最終的に良くなかった夫婦仲は別居から完全に冷えたのか、孫夫人が呉に帰国してからはその行方は記されていません。

 

しかし三国志演義では違う孫尚香

劉備とイチャイチャする孫尚香

 

と、孫尚香は正史では大変問題な奥方として名を馳せていますが、三国志演義ではガラリとイメージが変わります。元々は孫権と周瑜(しゅうゆ)が劉備を呼ぶための計略として孫尚香との婚姻を進めます。しかし劉備と孫尚香は親子ほどの年が離れているにも関わらず仲良くなり、劉備が帰国する際にも孫尚香は妻として同行するほど。

劉備の臨終に立ち会う孔明

 

しかしその後、兄の計略に嵌って偽りの手紙で呼び戻され、最期はお話によって違いがあるものの、夷陵(いりょう)の戦いで劉備が死んだという情報を聞いた彼女は嘆き悲しんで身を投げたとも言われています。

 

孫尚香に抱いたロマン

三国志演義_書類

 

こんな風に正史の記述と三国志演義や京劇ではかなりイメージが違う孫尚香。しかし筆者はそこに当時のロマンが感じられるのです。家に利用されての政略結婚とはいえ、親子ほど年の離れた二人が思いを通じ合わせ、己の意思を通して妻は夫と一緒にいる道を選ぶ。

後継者争いで悩む孫権

 

しかし悪化していく実家と夫との関係のある意味犠牲となり、二人は引き裂かれる。最期はあれだけ気丈だった女性が夫の訃報を知って身を投げ、死んでしまう……とても魅力あるキャラクターです。現代にも通じる強く、哀しい女性の魅力が三国志演義の孫尚香にはあります。真実はどうあれ当時の人々も同じようなロマンを感じていた、そんなことを思えるキャラクターだと思いますね、孫尚香は。

 

三国志ライター センのひとりごと

三国志ライター セン

 

因みに孫尚香、孫夫人は自らも武装していたので「弓腰姫(きゅうようき)」とも呼ばれていた、という呼び名は三国志演義での設定ではなく、吉川三国志での設定です。しかしこの弓腰姫と言う設定は多くの漫画やゲームで見かけることもあり、広く知られている設定と感じると共に、やはり美しく強い女性と言うのはある種の現代的な「ロマン」なのかな、と感じずにはいられませんね。人々のロマンを投影された人物、それが孫夫人なのでしょうか。

 

参考文献:

蜀書先主伝 法正伝

三国志演義 吉川三国志

 

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民間伝承の三国志

 

 

 

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セン

両親の持っていた横山光輝の「三国志」から三国志に興味を持ち、 そこから正史を読み漁ってその前後の年代も読むようになっていく。 中国歴史だけでなく日本史、世界史も好き。 神話も好きでインド神話とメソポタミア神話から古代シュメール人の生活にも興味が出てきた。 好きな歴史人物: 張遼、龐統、司馬徽、立花道雪、その他にもたくさん 何か一言: 歴史は食事、神話はおやつ、文字は飲み物

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