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三国時代の戦乱の世にはどんな甘い物を食べてたの?

2020年12月24日


 

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スイーツを国中から求める曹丕

 

皆さんは甘いものはお好きですか?

甘いものは疲労回復に良いとされ、ストレスを緩和してくれるとも言われています。では三国時代の戦乱の世には、どんな甘いものがあったのでしょうか。

 

魏の皇帝になる曹丕

 

と、言うことで「スイーツ皇帝」と(一部で)呼ばれている文帝(ぶんてい)様に、三国時代の甘いものについてお話を伺いましょう。

 

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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曹丕はスイーツ皇帝?

皇帝に就任した曹丕

 

と、ここまででは文帝(ぶんてい
)
こと曹丕(そうひ)について良く知らない人は意味が分からない……と思うことでしょう。

 

典論を掘る曹丕

 

曹操(そうそう)の後継者となり、魏の皇帝となった曹丕(そうひ)ですが、文帝と呼ばれるだけあって色々な文、詩、そして皇帝ということで(みことのり)を出しています。皇帝ということで彼が発した言葉は良く記録として残されているのですが、その中でやたらと果物に付いて記されているものがあるのが特徴です。

 

このため曹丕は後の世では「甘いもの好き」だと良く言われるのですが、その一部をご紹介しましょう。

 

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曹丕は葡萄が大好き!

曹丕

 

さてこれはある記述、とある日に魏の文帝が詔を出して仰いました。

 

「葡萄はおいしい。甘いけどくどくない。酸味はあるけどきつくなく、味は最高。めっちゃおいしい。みずみずしい。食べたら煩わしさもなくなっちゃう」

 

やはり甘いものはストレス緩和の効果があるようですね……と、気がそれかけましたが、これは皇帝が、家臣たちに出した公式の文章です。まあもしかしたら曹丕にとってはあくまで言いたかっただけで記録にしたのは周囲かもしれませんが、それでもこの文章からは並々ならぬ葡萄への愛が感じられます。

 

そして後々にも触れますが、この文章からも分かるように「曹丕は甘いものが好きだけど甘さがくどくないものがすき」であると推測できると思います。

 

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ワインにまで手を出していた曹丕

曹操と曹丕

 

と、ちょっと葡萄に話を戻しますが、曹丕はこの葡萄をお酒にしていたようで、そちらについても述べています。

 

「米の酒よりも甘い。酔い心地が良く、二日酔いしにくい」

 

これはおそらく現代で言うワインでしょう。また二日酔いしにくいとのことから、白ワインであったと思われます。ワインの風味を出してくれるコンジナーという成分があるのですが、これは赤ワインに多く、その代わりに悪酔いしやすくなっているのだそうです。

 

曹丕

 

もしかしたら曹丕がめちゃくちゃ酒に強くて酔わない可能性もありますが、皇帝が飲む酒となると不純物である皮や種は取り除くと思うので、個人的にこれは白ワインだと思いますね。

 

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その他の果物

孟達に恋文を送る曹丕

 

因みに曹丕はその他の果物についても色々と述べています。例えば、梨は水分が多くて美味しい。蜜柑は酸っぱい、甘いのは少ししかない。と言ったように、この時代の果物について情報が残されています。今の時代とは違い、甘いものと言えば果物であるというのも注目ポイント。

 

この飴とは?

孟達に猛烈なラブコールを送る曹丕

 

ではその他に甘いものがあるのかと見ていくと、蜀の蜀事情……ではなく、食事事情を曹丕が孟達(もうたつ)から聞いたという話で、こんなものがありました。

 

「蜀の豚肉や鶏肉は味が薄いから、飴で味付けをしているらしい」

 

伊尹 料理人

 

現代でも、砂糖で甘さを付けることでコクや照りを出す調理方法はありますね。これもその調理法と同じようなものと思われます。しかし飴と言われると想像するのは砂糖ですが、この時代に砂糖はあったのか?

 

として調べると、これが一般的な飴とは違い、水あめのことであることが分かりました。

 

 

飴の分類

料理人

 

中国語において砂糖で作るキャンディなどは「糖」と呼び、麦芽などで作る水あめは「飴」と呼ばれるそうです。おそらく時代背景を考えても、これはもち米に麦芽を加えて糖化させ、煮詰めることによって作られた水あめの一種でしょう。

 

この水あめは日本でも古来より作られており、点滴注射がなかった時代には病人に栄養を付けさせる際に、この水あめを舐めさせたようです。因みに曹丕は「飴の甘さはくどい!」と言っているので、彼自身は果物の甘さの方が好みだったのかもしれません。

 

「はちみつちょうだい!」

袁術

 

そしてもう一つ、この時代の甘いものと言えば「はちみつ」。かの皇帝・袁術(えんじゅつ)がその死の際に「はちみつ舐めたい!」と言って死んだとされることで有名ですが、現代でもそうであるように、この時代のはちみつも庶民の口に入るものではなかったようです。

 

なお、横山三国志ではこのシーンは「水」に代えられています。

 

袁術と一緒にはちみつを楽しむ袁燿(えんよう)

 

おそらく逃亡の最中であり、食べ物も飲み水もないのにまず「はちみつ」と言い出すのは、ちょっと違和感だと思われたのかもしれませんが……そんな中でもはちみつを求めるというのは、袁術という人物を良く表しており、またそんな中だからこそ甘味を求めたと思うと……何だか、切ないものを感じますね。

 

三国志ライター センのひとりごと

三国志ライター セン

 

現代では砂糖は一般的ですが、嘗て砂糖が手に入らない、無かった時代は甘いものは憧れであり、人々が欲してやまないものだったのかもしれません。

 

ポイント解説をするセン様

 

芥川龍之介の「芋粥」では平安時代の人物が、甘蔓で煮た芋の粥を腹いっぱい飲みたい、と言っており、その時代においても甘いものが贅沢であったことが窺い知れます。そう考えるとやはり甘いものというのは食べ物、というよりは「娯楽」のためのものであったのでしょう。

 

三国志を楽しく語るライターセン様

 

今ではコンビニまで走りさえすれば(そしてある程度お金があれば)手に入るスイーツ、嘗ては皇帝のような身分の者でないと味わえなかった甘味に、どこかありがたみが増してきますね。この貴重な甘さ、良く味わって頂きましょう。

 

と、曹操が蜜柑を剥いたら中身がなかったシーンを読みながら思う筆者でした。

 

参考文献:藝文類聚 大観本草

 

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両親の持っていた横山光輝の「三国志」から三国志に興味を持ち、 そこから正史を読み漁ってその前後の年代も読むようになっていく。 中国歴史だけでなく日本史、世界史も好き。 神話も好きでインド神話とメソポタミア神話から古代シュメール人の生活にも興味が出てきた。 好きな歴史人物: 張遼、龐統、司馬徽、立花道雪、その他にもたくさん 何か一言: 歴史は食事、神話はおやつ、文字は飲み物

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