日本では三国志を題材にした漫画が数多くあります。筆者は「横山三国志」から物語の全体像を学び、そこから三国志の世界観にハマっていきました。日本ではこういったケースも珍しくありませんが、お隣の台湾ではどうなのでしょうか?
台湾の人たちは中国からの移民の末裔が多いため、自身を漢民族と考える人も少なくありません。そういった人たちがどのような本を読んで三国志を学ぶのか。今回は台湾で販売されている三国志作品をいくつかピックアップし、その概要を簡単し紹介していきます。
三国志キャラをネコ化した作品
登場人物を動物化する作品はいくつかありますが、台湾にも三国志キャラをネコ化した作品があります。
それが肥志という作者の
「如果歷史是一群喵:亂世三國篇(もしも歴史の登場人物が猫だったらシリーズ:乱世三国志篇)」。
この本はネコ化した可愛いキャラクターと共に歴史を学ぶという趣旨で作られた本で、三国時代はその一部です。第一巻は夏、商、周の古代中国篇からスタートし、最後は隋唐時代篇で終わります。
三国時代については三国志演義の影響か、劉備や蜀を視点とした物語展開がメイン。漫画ではあるものの歴史を学ぶ本なので比較的文章量が多く、ネコ化したキャラは挿絵に近い感じで登場します。
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最初は面白かったが失速した作品
日本でも最初は順調だったのに、途中で人気がなくなる漫画は少なくありません。香港の漫画家である李志清の「三國英雄傳」もその一つ。もともとは香港の作品ですが、台湾でも販売され迷作として知られています。
序盤では青龍偃月刀や蛇矛など9つの武器を題材とした作品となっていて、三国志の時代背景を踏襲しつつもオリジナルの作品展開を見せていました。しかし、物語が進むにつれてオリジナリティが失われていき、後半は演義のストーリーそのままという感じに。
最後は長坂の戦いが終わったところで連載が終了し、伏線を張っていたはずの孫権についても明かされないまま終わってしまいました。
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三国志の短編集
三国志の中には様々なエピソードが盛り込まれていますが、その一部分を切り取ってオリジナルの話を作り出したのが、陳某という漫画家が書いた「不是人」です。
この作品の中では呂布が義父の丁原を殺し、その後に董卓を殺すまでの裏側が描かれていたり、曹操に捕らえられた呂布と貂蝉の末路、諸葛亮と魏延の確執など人間模様をうまく表現した作品となっています。
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日本でも読める海外の三国志
漫画大国の日本において海外の作品がヒットする例はあまり多くありません。ただ、前述した陳某の作品には日本でも販売され、一定の人気を獲得している作品があります。
それが「火鳳燎原」。
物語は反董卓連合のあたりからスタートし、主人公は司馬懿と「燎原火」を名乗るあの人気武将。オリジナルキャラも多数登場する上に、敗残兵たちを集めて作った「残兵」という暗殺集団など独自の要素が満載です。
2020年末の時点で68巻まで出版されていますが、まだまだ終わる気配はありません。日本では知られざる名作として語られているので、興味がある方は読んでみてはいかがでしょうか。
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