141話:牛頭山の戦い【全訳三国志演義】

2021年5月11日


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監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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修羅場の退却戦で司馬師が登場

司馬師

 

「くそっ!考えが浅かった。兵糧を断たれてはおしまいだ」

 

姜維は悔みますが、どっちかと言うとその台詞は、水も食料も断たれて奮戦していた、麴山の蜀兵が姜維に言いたい事ではないでしょうか?

 

それはともかく、今は逃げのびる事が先決です。姜維は、夏侯覇を先鋒に自分は殿(しんがり)を務めて、襲い掛かる陳泰と郭淮の軍をバッタバッタとなぎたおします。

 

姜維 VS 鄧艾

 

「やめろー魏ョッカー!ぶっとばすぞぉぉ!!」

 

姜維の強い事、泣くと腕を振り回し無敵になる小学生のように、追いすがる魏兵を討ち取り、山に登って矢の雨を降らす陳泰をかいくぐり、背後から攻撃してきた郭淮を裏拳で、ぶっとばしつつ、さながらランボーのように姜維は陽平関に向かって退却します。

 

こうして、逃げのびた姜維に、新たな魏の部隊がぶつかってきます。部隊を率いた大将は、丸い顔に大きな耳、四角な口に厚い唇で左目の下に瘤が出来ていて、そこから数十本の黒々した毛が生えていました。

 

司馬師

 

これぞ司馬懿(しばい)の嫡男、司馬師(しばし)です。

 

目玉が飛び出て亡くなる司馬師

 

「どけ小僧!わしの退路を遮るな」

 

姜維は激怒して槍をしごいて司馬師にぶち当たりますが、司馬師は3合も持たずに逃げていき、その間に陽平関(ようへいかん)の門が開いて姜維の一隊を収容しました。

 

「おのれ!逃がすか!」

 

司馬師は、自らも陽平関に押し込もうとしますが、その時、城の左右に臥せていた諸葛亮(しょかつりょう)の連弩が司馬師の軍勢に一斉に矢を放ちます。

 

司馬師

 

諸葛亮の連弩は、1つの弩で10本の矢を放てるスグレモノで、毒が塗られた無数の矢は、たちまちのうちに司馬師の兵馬の命を奪い、司馬師は、1人だけでようやく逃げる事が出来ました。

 

なんとか退却に成功した姜維ですが、数万の兵を失い、麴山の句安も気力を失い魏に降伏、大見得を切って開始した姜維の雍州分断作戦は大失敗に終わります。

 

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三国志ライターkawausoの独り言

kawauso 三国志

 

雍州を分断して、魏の影響力を低下させようとした姜維の戦略は失敗に終わります。夏侯覇が加わり戦略面では、助言する副官を得た姜維ですが、それでも智謀で魏の陳泰や郭淮には及ばず、戦闘でやや負けて戦略で大敗するというパターンになりました。

 

それでも、三国志演義は蜀びいきの読者に意気消沈させないため、司馬懿に次ぐ大物の司馬師を、脈絡なく登場させて諸葛亮の連弩で撃退される話を挿入し主人公補正をしているのです。

 

さて、大敗してしまう姜維ですが、魏でも大きな出来事がありました。諸葛亮を凌いだライバル司馬懿が病を得て亡くなってしまうのです。

 

ここから三国志演義は、どうなっていくのでしょうか?

それは次回のお楽しみ、完訳三国志演義141回、この辺でお開きです。

 

参考文献:三国志演義

 

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トウ艾

 

 

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台湾より南、フィリピンよりは北の南の島出身、「はじめての三国志」の創業メンバーで古すぎる株。もう、葉っぱがボロボロなので抜く事は困難。本当は三国志より幕末が好きというのは公然のヒミツ。三国志は正史から入ったので、実は演義を書く方がずっと神経を使う天邪鬼。

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