140話:夏侯覇蜀に降り、魏に二将現る【全訳三国志演義】




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曹爽

 

高平陵(こうへいりょう)の変で曹爽(そうそう)の一族とその取り巻きを粛正した司馬懿(しばい)に魏の国内は動揺します。曹爽政権は10年も続き、現在、栄華を極めている高官たちで曹爽に媚びていない人間は、まず1人もいませんでした。

 

司馬懿

 

しかし、狡猾な司馬懿は彼らを全て赦します。中には楊綜(ようそう)のように、大将軍の印璽(いんじ)を抑えて司馬懿に渡さず反抗した硬骨漢もいましたが、司馬懿は、逆に楊綜の忠義を褒め称え旧職に戻してあげたのです。

 

司馬師

 

こうして自分に累が及ぶかもとビクビクしていた魏の高官たちは落ち着き、司馬懿は息子の司馬師(しばし)司馬昭(しばしょう)と共に朝廷の顕職を独占しました。




司馬懿、夏侯覇の殺害を決意

司馬懿

 

少帝曹芳(そうほう)は、司馬懿の功績を褒め称え、丞相(じょうしょう)のポストを与え九爵を加えようとしますが、司馬懿は

 

「それがしは、天下の為に老骨に鞭打ち為すべきことをしたまででございます。この老いぼれめには九爵も丞相の地位も過分な御沙汰、謹んで辞退させて頂きたく…」

 

と謙虚さを(ほの)めかす発言をしますが、少帝は許さず、丞相と九爵の辞退については、司馬懿の希望を入れたものの、父子3人に魏王朝の重職を任せてしまいます。

 

もちろん、これらは少帝の意思ではなく司馬懿の宮廷への根回しによるものでした。

 

家路につく途中に司馬懿は、ふと気が付きます。

(曹爽めの一族は全て始末できたが、そう言えば夏侯覇(かこうは)雍州(ようしゅう)で軍務についておったな。あれは曹爽とは親戚、肉親の情で反乱など起こされては後々困る。わしも先が短い、今のうちに始末しておくか…)

 

 

こうして司馬懿は、夏侯覇の甥にあたる征西将軍夏侯玄(かこうげん)を洛陽に呼び出し、九卿に昇進させますが、同時に実権を奪って監視の目を光らせ事実上の軟禁状態に置きました。

 

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夏侯覇、司馬懿の魔手を逃れ蜀に投降

逃げる夏侯覇

 

夏侯玄が洛陽で軟禁状態に置かれた事を知った夏侯覇は激しく動揺。ついに手勢3000を率いて謀反を起こします。雍州刺史の郭淮(かくわい)は、夏侯覇の謀反を知って激怒し手勢を率いて夏侯覇を罵ります。

 

魏の将軍、郭淮(かくわい)

 

郭淮「この恩知らずめ!貴様は魏の皇室に連なる家に生まれ、天子様からも重用され、何一つ不足の無い待遇を得ていながら、何を考えて謀反をしでかすか!」

 

夏侯覇も負けずに言い返します。

魏の夏侯淵

 

「わしの父は国には随分と手柄を立てて来た!だが今になって、あの司馬懿の下郎めが、曹爽の兄弟を亡き者にし一族を平らげて、あろうことか父子3人、国政を一手に握り、わしや夏侯玄まで亡き者にしようとしておる。今は、猫を被り大人しくしておっても、いずれ国を乗っ取るつもりに違いないわ!

 

それを見て見ぬふりをしておいて、このわしを謀反人とはしゃらくさい!郭淮!司馬懿の下郎に味方するなら貴様も同罪、わしが天誅を下してやる」

 

郭淮は怒り、自ら馬を飛ばして夏侯覇と槍をかわしますが、僅かに10合も切り結ばぬうち、馬首を巡らし逃げていきます。

 

「腰抜けめ!逃がさぬぞ」

 

兵士 朝まで三国志

 

夏侯覇は勢いに乗り、郭淮の軍勢を追いかけますが、背後からどっ!と鬨の声が上り、陳泰(ちんたい)の軍勢が押し寄せてきます。それに併せて、逃げていた郭淮の軍勢も戻り、夏侯覇の軍勢を挟み撃ちにしました。

 

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【孔明没後も続く!はじ三三国志演義全史】
全訳三国志演義

 

夏侯覇、蜀に降る

蜀の姜維

 

夏侯覇は軍勢を散々に撃ち破られ、手勢の大半を失います。

 

夏侯覇の妻は誰?

 

魏において天地に居場所が無い夏侯覇は、秦嶺山脈(しんれいさんみゃく)を越え蜀に降伏を決意しました。現在の蜀帝劉禅(りゅうぜん)の妃は張飛(ちょうひ)の娘で、生母は夏侯氏の出身であり、夏侯覇とは縁続きだったのです。

 

君たちはどう生きるか?劉禅

 

漢中にて、夏侯覇投降の知らせを受けた姜維(きょうい)は偽装降伏を疑いますが、密偵に色々探らせると、高平陵の乱で司馬懿一派の圧迫を受けやむなく降った事情が分かりました。そこで、姜維は、夏侯覇を城内に引き入れて会見します。

 

自信のある夏侯覇

 

夏侯覇「武人の端くれでありながら、かかる無様なさまをお目にかけ面目次第もない。本来ならば、大恩ある魏の王室に義理を立て自決して果てるべきでありましょうが、あの司馬父子の無道なやりようを見、やがて王室が衰微し乗っ取られる事を悟ってはとても大人しく冥府にも旅立てず、蜀帝のお妃が夏侯氏である事に縋り、おめおめと生き恥をさらし降って参った次第でござる」

 

夏侯覇は、涙ながらにこれまでの境遇を語り、かくなる上は蜀の武将として魏を簒奪する司馬父子に一矢報いたいと姜維に告げ、それが無理なら斬って欲しいと頼みました。

 

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