皆さんは三国志は良く、それは良くご存知のことでしょう。もちろん三国志演義についてもまた、良くご存知のことでしょう。
ではその三国志演義と並ぶ、水滸伝についてはご存知でしょうか?
今回は「水滸伝ってなあに?」という方のために、まだまだ水滸伝の神髄には至っていない筆者が、水滸伝についてかなりざっくりとした説明をしたいと思います。
水滸伝の始まり
ではまず水滸伝の始まりから見てみましょう。時代は北宋、それも末期。官吏たちは汚職に手を染め、世には不条理と不正が跳梁跋扈するそんな時代。この乱れし世の中をどうにかするべく立ち上がったのは108人の英雄たち。
様々な理由と背景を持った彼らは、導かれるように「梁山泊」という沼の傍に集まって、悪漢らを倒そうと正義の道を志して行く……という感じのストーリーです。
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「水滸伝」とは?
この水滸伝、には三国志、と同じく意味が有ります。
水滸、これは「水」の「滸」という意味です。ほちろとは水際、河や湖のほとり、というように、水滸伝は水のほとりの伝説、という意味になります。そしてこの水のほとりが指し示すのは梁山泊、これはかつて中国にあったとされる沼のことです。
現在はこの沼は存在しないようですが、ここは低地であり、その昔は黄河の反乱などで水が溜まり、このために大きな沼が生まれていました。ここに英雄たちが終結していた、と思うと不思議なロマンを感じますね。
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水滸伝の生まれた時代
ここで一端、水滸伝が生まれた時代についても説明しておきましょうか。水滸伝が生まれたのは明の時代、著者は施耐庵、もしくは羅貫中と言われています。この名前を見て思い出した方も多いでしょう。
そう、三国志演義の作者とされる二人の名前、そして三国志演義が書かれた時代もまた明時代です。この時代に二つの「奇書」が生まれたのは偶然か、はたまた何らかの運命か……それは誰にも分かりません。
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奇書について
奇書についてもお話しておきましょう。
水滸伝は三国志演義、西遊記、金瓶梅と共に、中国四大奇書と言われています。この「奇書」についてですが、日本では「三大奇書」として夢野久作氏の「ドグラ・マグラ」小栗虫太郎氏の「黒死館殺人事件」中井英夫氏の「虚無への供物」という著作が有名になって「奇妙な書物」「奇抜な作風の物語」の印象が強くなっているのですが、中国での奇書とは「類い稀なる素晴らしさの書」という意味で使われているのです。
筆者などは昔、これについて「奇書っていうなら封神演義とかの方が奇書じゃないかなぁ」なんて勘違いをしていたものです、お恥ずかしい!
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時代を超えて愛される中国四大奇書「はじめての西遊記」
水滸伝のスピンオフ?金瓶梅
因みに四大奇書には「西遊記」「三国志演義」「水滸伝」と共に「金瓶梅」が挙げられています。この金瓶梅は、水滸伝に出てくる英雄の一人、武松のストーリーを中心としたお話です。
武松のストーリー自体は水滸伝中にも出てきますが、それを更に膨らませて面白くしたもの……というか、そこまで武松の出番は多くなく、敵役の二人が破滅していく様を見ていくストーリーというかで……
かなり三国志演義、水滸伝、西遊記とは趣が違うお話になっております。こちらも興味のある方はどうぞ。
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