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強すぎるので主役になれない孫悟空とハヌマーン
また、もう一つの二人の共通点として、お供である、ということが挙げられます。孫悟空は西遊記の中でも圧倒的な強さを誇りますが、あくまで三蔵法師のお供であり、ちょっと反抗的な面もありますが、それでもちゃんと各所で御師さんを助けるヒーローですね。
ハヌマーンも前述したように、そしてインドの叙情詩ラーマーヤナ本編でもとてつもない強さを誇りますが、あくまで彼は当初はスグリーヴァという猿の弟王の、そしてラーマ王子に仕える、礼節を持った存在です。
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功績から今でも生きている孫悟空とハヌマーン
更に言うと、二人とも最後にはその功績から永遠になります。三蔵法師のお供を見事勤め上げた孫悟空は、その功績から仏へと至ります。
ハヌマーンもまたラーマ王子への功績から、その褒美として「ラーマ王子の名前が聞こえる時にはずっと傍らにいる」ことができるようになったという話もあり、このため叙情詩としてラーマーヤナが語り継がれている現代においても、ハヌマーンはずっと存在すると言われています。
どちらもまた、その功績から永遠となった、と言っても良いのではないでしょうか。
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三蔵法師がインドから帰った時にインド神話が中国に持ち込まれた
さて、これほど共通点がある二人ですが、そもそも三蔵法師、玄奘は実在する法師です。実在の玄奘も中国からインドへ渡り、巡礼や仏教を学んで帰国。そうして法相宗の開祖となったのです。
このことから、元々西遊記自体がインドの物語、インド神話から影響を受けている、と言われています。その上で特に愛される、しかも何でもできちゃう神様としてハヌマーンを基に……しかしドラマ性をもたらすためにちょっと性格を改編して……孫悟空という存在が生まれたのでは、と言われているのです。
因みに実は「悟空」という僧侶もいたことから、そちらのルーツも考察されています。個人的にはこれらをミックスした存在が孫悟空だと思っているのですが、皆さんはどう思いますか?
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三国志ライター センのひとりごと
とは言え、孫悟空は石から生まれます。もうちょっと言うと、石から卵が産まれてそれが孵ったのが孫悟空です。(どゆこと?)これは物語の始まりとしてもかなり衝撃であり、秀逸でもありますよね。何の捻りもなく言うなら「そういう超常的な存在」となるのでしょうが……。
この辺りはもっと考察してみたくなるポイントですね。
ざぶーん。
参考文献:西遊記 「孫悟空の誕生 サルの民話学と「西遊記」」
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