

北方謙三先生の『水滸伝』の「続編」には、2つの意味がある。ドラマの続編は、2027年に放送・配信が予定されている。原作の続きは『楊令伝』全15巻、さらに『岳飛伝』全17巻へと続く。
19巻を読み終えても、物語は終わらない。この記事では両方を順に見ていく。んで、最後に「19巻だけで終えてもいいのか」という話までする。
この記事の目次
北方謙三『水滸伝』の続編は2つある
楊令伝(全15巻、楊令伝読本を含む、計16巻セット)北方謙三
| どちらの続編か | 内容 | 時期 |
|---|---|---|
| ドラマの続編 | 連続ドラマ『北方謙三 水滸伝』のシリーズ続編 | 2027年に放送・配信予定 |
| 原作の続き | 『楊令伝』全15巻 →『岳飛伝』全17巻 | すでに完結済み |
原作のほうは、もう最後まで出ている。とっくに完結している。待たずに読める。
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ドラマの続編は2027年に放送・配信
連続ドラマ『北方謙三 水滸伝』は、2026年2月15日からWOWOWとLeminoで配信された全7話の作品だ。宋江を演じたのは織田裕二さん。続編の制作は、第1シリーズの最終回を待たずに発表された。2026年3月27日のことだ。
最終回より先に、続きを決めていた。よほど手応えがあったんだと思う。放送・配信は2027年の予定で、若松節朗監督が引き続き指揮を執る。現時点で公表されているのは「2027年」という年だけだ。月や具体的な日付は出ていない(2026年8月時点)。
梁山泊の側にも青蓮寺の側にも、新しい人物が登場すると告知されている。青蓮寺は原典の『水滸伝』には存在しない、北方版のオリジナル組織だ。
原作の続きは『楊令伝』と『岳飛伝』
北方謙三先生の『水滸伝』は、『楊令伝』『岳飛伝』と合わせて「大水滸伝」と呼ばれる三部作の第一部だ。
| 作品 | 巻数 | 連載 | 受賞 |
|---|---|---|---|
| 水滸伝 | 全19巻 | 1999年〜2005年 | 第9回 司馬遼太郎賞 |
| 楊令伝 | 全15巻 | 2006年〜2010年 | 第65回 毎日出版文化賞特別賞 |
| 岳飛伝 | 全17巻 | 2011年〜2016年 | 第64回 菊池寛賞 |
合計51巻。いずれも集英社から出ていて、連載はすべて『小説すばる』だった。
※ここから先は『水滸伝』の結末に触れます
ドラマを追っている途中の方は、この見出しの下を飛ばして「大水滸伝を読む順番」まで進んでほしい。
『楊令伝』はどんな話なの?
『水滸伝』のあと、梁山泊を再び立ち上げる話だ。頭領となるのは楊令。ドラマで満島真之介さんが演じた楊志の子にあたる。舞台は遼の滅亡と金の勃興という激動期。生き残った百八星と、死んでいった者たちの遺児が、新しい国を作るために戦う。
北方謙三先生はこの2作の違いを、『水滸伝』は反権力を掲げた夢の話、『楊令伝』は新しい国を作る現実の話、という趣旨で語っている。権力を倒した側が、今度は権力になる。読んでいて重くなるのは、こちらだ。
『岳飛伝』はどんな話なの?
主人公が梁山泊から離れる。南宋の武将・岳飛が中心になり、金との戦いへ進む。舞台も広がる。中国大陸だけでなく、日本や西域、さらにメコン川の流域まで話が及ぶ。水滸伝の続きを追っていたはずが、メコン川まで連れて行かれる。この飛距離が大水滸伝だ。
岳飛は史実に実在した武将だ。金と戦い、宰相の秦檜によって獄死したと伝えられる。原典の『水滸伝』には登場しないが、宋代を扱う以上は避けて通れない人物だった。
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大水滸伝を読む順番
刊行順に読むのが、そのまま正解だ。
| 順番 | 作品 | 巻数 | 累計 |
|---|---|---|---|
| 1 | 水滸伝 | 19巻 | 19巻 |
| 2 | 楊令伝 | 15巻 | 34巻 |
| 3 | 岳飛伝 | 17巻 | 51巻 |
途中から入るのは勧めない。『楊令伝』は『水滸伝』で誰が生き残ったかを前提に始まるし、『岳飛伝』はさらにその上に乗っている。順番を飛ばして得をすることは、まずない気がする。
『水滸伝』には別巻として『替天行道 北方水滸伝読本』もある。対談や人物辞典が入った本で、19巻を読み終えたあとに手を出すのがちょうどいい。先に読むと結末に触れるおそれがある。
『水滸伝』の19巻だけで終えてもいいのか
いいと思う。『水滸伝』は19巻できちんと閉じる。続きを読まないと宙ぶらりんになる作りではない。
ただ、少し引っかかることがある。三部作という構想が明かされたのは『楊令伝』の連載終了後だった。『水滸伝』は、続編を前提に書かれた作品として世に出たわけではない。それでいて、続きが2作、合計32巻も生まれた。
19巻で閉じているのに、書き足りない何かが残った。それが物語の側の要請だったのか、書き手の側の未練だったのか。正直、ここは決め手がない。作者本人の言葉を追っても、そこまでは分からなかった。
著者(おとぼけ)はいま『岳飛伝』の4巻、数えて38冊目を読んでいる。19巻で止めてもいいと書いておきながら、自分は止まれなかった。
ドラマの続編を待つ間に読む、というのも一つの手だ。2027年まで、まだ時間がある。
北方謙三『水滸伝』の続編についてよくある質問
ドラマの続編はいつ放送されますか?
2027年に放送・配信が予定されている。月や日付は2026年8月時点で公表されていない。
ドラマの続編は原作のどこを描きますか?
公表されていない。第1シリーズが原作全19巻のどこまでを描いたかによるが、続編の範囲についての発表はまだない。
『楊令伝』から読み始めても大丈夫ですか?
勧めない。『水滸伝』の登場人物のうち誰が生き残ったかを前提に始まるため、先に読むと『水滸伝』の結末が分かってしまう。
大水滸伝は全部で何巻ですか?
『水滸伝』19巻、『楊令伝』15巻、『岳飛伝』17巻の合計51巻。読本を含めるとさらに増える。
原典の『水滸伝』にも続編はありますか
『水滸後伝』という続書が存在する。生き残った好漢たちのその後を描いたもので、北方謙三先生も『岳飛伝』で梁山泊が南方へ進出する展開にこの要素を取り入れている。
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水滸伝ライターおとぼけの独り言
51巻という数字は、字面だけ見るとまず引く。ただ、連載期間を並べてみると印象が変わる。1999年から2016年。17年だ。読者からすれば51巻の山だが、書いた側は17年かけて1冊ずつ積んだことになる。毎月あの分量を書き続けた人がいるという事実のほうが、こわい。読むほうは、38冊目まで来てもまだ終わりが見えない。17年書き続ける根気は、たぶん一生手に入らないと思う。













