魏の武帝、曹操(そうそう)については、
宦官曹騰(そうとう)の孫である事や、大金持ちであり曹嵩(そうすう)の
ドラ息子である事など、あまり良い印象がありません。
曹操が自分の先祖について、あまり語った様子がない点を事を見ても
曹操が先祖を誇っていたとは言えないフシがあります。
曹操は血筋にコンプレックスを抱えていた?
逆に曹操はやたらに、自分の家臣を古代の名将、名軍師に例えていますから、
何か、血筋に関するコンプレックスがあったのかも知れません。
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曹操の先祖は曹参(そうさん)
では、曹操の先祖とは、遡ると、誰になるのでしょうか?
魏の記録である武帝紀には、曹操の先祖は前漢の建国者劉邦(りゅうほう)の
功臣であり、後に丞相になった曹参(そうさん)であると書かれています。
この曹参も曹操と同じく沛国礁県の出身であり、
同県には曹を名乗る一族が、何万人も存在していました。
ですが、、後漢書の曹騰伝では、曹騰の先祖に触れた話しはありません。
つまり、曹参を持ってきたのは、曹操の出自を少しでも良くみせたい
魏王朝の苦心が現れているのです。
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曹萌(そうぼう)ってどんな人?
一方で、曹操の曽祖父、つまり曹騰の父に関してまでは記録があります。
曹操の曽祖父は、名前を曹萌(そうぼう)といい字を元偉と言いました。
何の変哲もない農民でしたが、心が広く優しい人として知られています。
曹萌の心温まるエピソード
ある時の事です、曹萌の隣の家の豚小屋から、豚が逃げてしまいました。
隣家の人は豚が居なくなったのを知り、探しますが、途中で曹萌の
豚小屋に自分の豚とよく似た豚を見つけます。
(これは、曹萌が俺の豚を盗んだに違いない)
当時、豚は貴重な財産です、隣家の主人は、カンカンになり曹萌の家に向かいました。
「ウチの家から豚が逃げた!あんたのとこの豚は、
ウチの豚にそっくりだがもしかして、ウチの豚じゃああるまいな?」
普通なら、「何だと、ウチがあんたの豚を盗んだとでも言うつもりか!
証拠もないのに、人を泥棒呼ばわりは許さんぞ」と怒って当然です。
しかし、曹萌は、村人の訴えを聴き終わると、、
「そんなに似ているなら、これはあなたの豚かも知れません、
どうか、連れて帰って下さい」と豚を差し出したのです。
「ふん、、まあ、返してくれたんだから、勘弁してやる、、
今度、同じ事があったら承知しないぞ」
隣家の主人は、曹萌から、豚を受け取るとぷんすか怒りながら、
帰っていきました。
ところが、数日すると、逃げていた隣家の豚がお腹を空かして、
戻ってきたのです、隣家の主人はびっくり、
そして、自分が曹萌に濡れ衣を着せていた事を知り深く恥じます。
「曹萌さん、すまない、、これはあんたの豚だった・・
ウチの豚は、今しがた戻ってきたんだ・・」
しかし、隣家の主人が謝ってきたのを見た曹萌は、、
「豚が戻ってきたんですか?いやー良かったですねえ」
とニコニコして、少しも責めませんでした。
人々は、曹萌の心の広さを賞賛してやまなかったそうです。
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三国志ライターkawausoの独り言
それにしても、曹操のひいおじいさんとは思えない、
何と優しくて心の広い人でしょう。
まさに、元祖、萌えキャラに相応しいですね。
今日も三国志の話題をご馳走様でした。
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