広告

【新解釈・三國志】ネバギバと劉備を煽る孔明は実話なの?


 

はじめての三国志コメント機能バナー115-11_bnr1枠なし

 

進撃が止まらない張遼

 

2020年12月11日に上映される『新解釈・三國志』これまでの三国志映画とは異なり、コメディ要素も含まれた内容と言う事で、おふざけが大好きなkawausoとしても、とても楽しみにしています。

 

新解釈・三國志 ネバギバと煽る孔明

 

『新解釈・三國志』のクライマックスは、赤壁(せきへき)の戦いですが、メイキング映像では絶望的な戦力差に落胆する劉備(りゅうび)に、孔明(こうめい)がネバギバ!と煽るシーンがあります。このシーンは事実を元にしたものなのか?ただの創作なのか、考えてみましょう。

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


【誤植・誤字脱字の報告】 バナー 誤字脱字 報告 330 x 100



【レポート・論文で引用する場合の留意事項】 はじめての三国志レポート引用について



隆中対で劉備にネバギバ!

孔明

 

当たり前すぎてアレですが、孔明が劉備にネバギバと言った事実はありません。ネバギバは英語ですし、三国志の時代にはそもそも英語は誕生ていないのです。

 

しかし、孔明が劉備を励まし中華を狙えと言ったかどうかについては可能性があります。それが世にいう、隆中対(りゅうちゅうたい)というモノで、簡単に言うと、曹操に追い詰められたギリギリ崖っぷち劉備が孔明の(いおり)を尋ねて人払いをして2人きりになってから、

 

徐庶がいなくなり寂しがる劉備

 

「こうめいもーん!徳も武力もない僕が曹操をぎゃふんと言わせて、漢王朝を救えるみたいな便利な道具を出してよー」みたいなノリで泣いてすがったと思ってくれれば大体間違いないです。多分

 

これに対し孔明は、

 

献帝を保護する曹操

 

「曹操は元々弱小勢力だったけど、チャンスと知恵を駆使してライバルを蹴散らし、今では100万の大軍勢を持ち、おまけに皇帝の威光を後ろ盾にしていますから正面からぶつかっても勝てっこないです。」とキッパリ言います。

 

スマホをいじる孔明

 

ただ、孔明は非凡で、曹操が強いからって諦めてはいけないネバギバです!と続け、ここから劉備が曹操に対抗するプランを提示するのです。

 

ネバギバ必勝法!

扇からレーザー光線を放つ孔明

 

孔明の劉備ネバギバプランは、大体、以下の4カ条から出来ていました。

酒癖が悪い孫権

 

孫権(そんけん)()は3代続き、民衆も(なつ)き長江があって侵略が難しく名将知将が沢山います。ここは奪い取るのは難しいので味方につけましょう。

後継者を決めるのに困っている劉表

 

荊州(けいしゅう)は交通の便がよい豊かな土地ですが、ここを守る(りゅうひょう)表は病弱で国を維持できません。これは天が劉備玄徳に荊州を獲れと告げているのですがその覚悟がありますか?

祁山、街亭

 

益州(えきしゅう)は秦嶺山脈を天然の要塞とする豊かな土地で、あなたの先祖、劉邦はここを基盤に天下を制しました。今、益州の主の劉璋は暗君で民も賢人も名君を求めています。

 

劉備

 

④あなたは漢王室の血を引き、天下の人々の声望を集める存在ですから、それを大義名分として荊州と益州を領有し、孫権とは結んで曹操に対抗しチャンスを待てばよい。

 

そして時期が来れば軍を二手に分けて、一方は荊州、もう一方は益州から魏に向かって進撃すれば、民百姓で、あなたを迎えて持て成さないものはいないでしょう。

 

ラブラブな孔明と劉備に嫉妬する張飛と関羽

 

このように劉備の天下の一角奪取プランを提示します。正史三国志の劉備は、これを聞いて「善」今でいうと「超クールなんですけど!」と大変気に入り、以来、関羽(かんう)張飛(ちょうひ)嫉妬(しっと)するほど、孔明と親密な関係になりました。

 

赤壁の戦い

 

孫権にもネバギバ!

孔明と魯粛

 

次に孔明は、荊州のボス劉表が病死した時の弔問客(ちょうもんきゃく)として訪れた魯粛(ろしゅく)と共に長江を渡り、呉の国に入ります、理由は孫権と同盟を結ぶ為でした。

 

呉と蜀を倒しに南下する曹操軍

 

しかし呉でも、曹操軍80万に対し孫権の軍勢は3万人、27倍の兵力差とあっては、99%の家臣はギブアップして曹操の家来になりましょうという意見でした。

 

呉の孫権

 

孫権はまだ20代と若く、曹操の覇権に対して対抗する意識もありましたが、こうも降伏論者が多いとその気持ちもナエナエになってしまいます。

 

魯粛

 

魯粛は孔明に、孫権は弱気になっているので、曹操の兵力については大軍とだけ言って、実数をボカすようにお願いし孔明もOKしますが、実際に孫権と会見すると、

孔明

「曹操軍は80万と言っていますけど、実際に戦った私の目線から言えば、あれは控え目の数字ですね。本当は150万くらいでしょうし、優秀な参謀や将軍もまず千から二千人は下らないと思います。

 

もし戦う気があれば早く戦うべきですし、そうでないなら降伏したほうがいいんじゃないですか?グズグズしてる暇はないっすよ」

 

と煽ります。

 

ムッとした孫権は、

「それならば、どうして君は私に言う前に、劉備に降伏を勧めないんだね?」と意地悪な質問をしますが、孔明は、

 

孔明

 

「はっはっは、何をおっしゃるウサギさん。主君劉備は、()せても枯れても漢王朝の末裔(まつえい)で満天下の声望を集めています。

 

劉備と曹操

 

逆賊曹操と戦うのは宿命というもので、武運つたなく敗死してもそれは天命。降伏などしません、あくまでネバギバです」と答えたのです。

 

これに孫権は反発し、

呉の孫権

 

「私にだって江南(こうなん)の広大な土地と3万の将兵がいるのだ!曹操の如き輩の指図は受けない。私の心は決したぞ!」

 

とネバギバ宣言をします。

 

舌戦で煽るのがうまい諸葛亮孔明

 

このように孔明は、孫権にネバギバの大事さを説いています。何度負けようが、みすぼらしかろうが、誇り高き劉備は曹操如きにギブアップなどしない。この構えでいれば、チャンスは必ずやってくると言うわけです。

 

関連記事:七星壇も出てこない?かなり創作色が強い赤壁の戦い

関連記事:孔明の大きな見せ場、赤壁前の論戦!後々これが意外な方向に?

 

対抗できる根拠を説いてネバギバ

孔明

 

しかし、ここで孫権は、あくまで(あお)られて曹操と戦うと言っただけです。時間が経過すれば冷静になり、でも、あの兵力差では勝てないよなと弱気になるのは確実でした。そこで、ネバギバ孔明は、確かに魏と呉には兵力差があるけど、曹操にも弱点があり、実際は五分五分だと孫権に説明します。

 

孔明

「劉備は破れたとはいえ、戻って来た兵士と関羽の水軍で1万人はいます。また、江夏(こうか)の太守である劉琦(りゅうき)がまとめた兵力も1万人を降りません。それに曹操の軍勢は、最近、遠征をして荊州を落としたばかりで疲労していて、本来の力を発揮する事が出来ません。

 

村人(農民)

 

そして、荊州の民は曹操の力に怯えて従うのみで、心から服しているのではなく、曹操は大軍といえど、その兵力に見合う力は持っていないのです。

 

山越族から信服される黄蓋

 

逆に、呉の兵力は建国以来付き従う、猛将と国を守る愛国心に満ちた精兵数万。これは、あたかも硬い石で紙を破るようなもので、勝利は疑いありません。

 

ブチ切れる曹操

 

曹操は、この戦いに敗れれば、北に逃げるを得ず、荊州の勢力は後退します。その分だけ、呉の勢力は伸び勢力は均衡し、我々に有利になりましょう。これは、ピンチではなくチャンスなのです。ネバギバ!」

赤壁の戦い

 

その後も色々ありますが、孫権は孔明のネバギバに心を動かされ、魯粛や周瑜のダメ押しもあり、曹操との戦いを決意し、見事に赤壁で勝利し生き残りました。

【次のページに続きます】

 

次のページへ >

  • この記事を書いた人
  • 最新記事
kawauso

kawauso

台湾より南、フィリピンよりは北の南の島出身、「はじめての三国志」の創業メンバーで古すぎる株。もう、葉っぱがボロボロなので抜く事は困難。本当は三国志より幕末が好きというのは公然のヒミツ。三国志は正史から入ったので、実は演義を書く方がずっと神経を使う天邪鬼。

-新解釈・三國志
-, ,