2020年12月11日に上映される『新解釈・三國志』これまでの三国志映画とは異なり、コメディ要素も含まれた内容と言う事で、おふざけが大好きなkawausoとしても、とても楽しみにしています。
『新解釈・三國志』のクライマックスは、赤壁の戦いですが、メイキング映像では絶望的な戦力差に落胆する劉備に、孔明がネバギバ!と煽るシーンがあります。このシーンは事実を元にしたものなのか?ただの創作なのか、考えてみましょう。
隆中対で劉備にネバギバ!
当たり前すぎてアレですが、孔明が劉備にネバギバと言った事実はありません。ネバギバは英語ですし、三国志の時代にはそもそも英語は誕生ていないのです。
しかし、孔明が劉備を励まし中華を狙えと言ったかどうかについては可能性があります。それが世にいう、隆中対というモノで、簡単に言うと、曹操に追い詰められたギリギリ崖っぷち劉備が孔明の庵を尋ねて人払いをして2人きりになってから、
「こうめいもーん!徳も武力もない僕が曹操をぎゃふんと言わせて、漢王朝を救えるみたいな便利な道具を出してよー」みたいなノリで泣いてすがったと思ってくれれば大体間違いないです。多分
これに対し孔明は、
「曹操は元々弱小勢力だったけど、チャンスと知恵を駆使してライバルを蹴散らし、今では100万の大軍勢を持ち、おまけに皇帝の威光を後ろ盾にしていますから正面からぶつかっても勝てっこないです。」とキッパリ言います。
ただ、孔明は非凡で、曹操が強いからって諦めてはいけないネバギバです!と続け、ここから劉備が曹操に対抗するプランを提示するのです。
ネバギバ必勝法!
孔明の劉備ネバギバプランは、大体、以下の4カ条から出来ていました。
①孫権の呉は3代続き、民衆も懐き長江があって侵略が難しく名将知将が沢山います。ここは奪い取るのは難しいので味方につけましょう。
②荊州は交通の便がよい豊かな土地ですが、ここを守る劉表は病弱で国を維持できません。これは天が劉備玄徳に荊州を獲れと告げているのですがその覚悟がありますか?
③益州は秦嶺山脈を天然の要塞とする豊かな土地で、あなたの先祖、劉邦はここを基盤に天下を制しました。今、益州の主の劉璋は暗君で民も賢人も名君を求めています。
④あなたは漢王室の血を引き、天下の人々の声望を集める存在ですから、それを大義名分として荊州と益州を領有し、孫権とは結んで曹操に対抗しチャンスを待てばよい。
そして時期が来れば軍を二手に分けて、一方は荊州、もう一方は益州から魏に向かって進撃すれば、民百姓で、あなたを迎えて持て成さないものはいないでしょう。
このように劉備の天下の一角奪取プランを提示します。正史三国志の劉備は、これを聞いて「善」今でいうと「超クールなんですけど!」と大変気に入り、以来、関羽と張飛が嫉妬するほど、孔明と親密な関係になりました。
孫権にもネバギバ!
次に孔明は、荊州のボス劉表が病死した時の弔問客として訪れた魯粛と共に長江を渡り、呉の国に入ります、理由は孫権と同盟を結ぶ為でした。
しかし呉でも、曹操軍80万に対し孫権の軍勢は3万人、27倍の兵力差とあっては、99%の家臣はギブアップして曹操の家来になりましょうという意見でした。
孫権はまだ20代と若く、曹操の覇権に対して対抗する意識もありましたが、こうも降伏論者が多いとその気持ちもナエナエになってしまいます。
魯粛は孔明に、孫権は弱気になっているので、曹操の兵力については大軍とだけ言って、実数をボカすようにお願いし孔明もOKしますが、実際に孫権と会見すると、
「曹操軍は80万と言っていますけど、実際に戦った私の目線から言えば、あれは控え目の数字ですね。本当は150万くらいでしょうし、優秀な参謀や将軍もまず千から二千人は下らないと思います。
もし戦う気があれば早く戦うべきですし、そうでないなら降伏したほうがいいんじゃないですか?グズグズしてる暇はないっすよ」
と煽ります。
ムッとした孫権は、
「それならば、どうして君は私に言う前に、劉備に降伏を勧めないんだね?」と意地悪な質問をしますが、孔明は、
「はっはっは、何をおっしゃるウサギさん。主君劉備は、痩せても枯れても漢王朝の末裔で満天下の声望を集めています。
逆賊曹操と戦うのは宿命というもので、武運つたなく敗死してもそれは天命。降伏などしません、あくまでネバギバです」と答えたのです。
これに孫権は反発し、
「私にだって江南の広大な土地と3万の将兵がいるのだ!曹操の如き輩の指図は受けない。私の心は決したぞ!」
とネバギバ宣言をします。
このように孔明は、孫権にネバギバの大事さを説いています。何度負けようが、みすぼらしかろうが、誇り高き劉備は曹操如きにギブアップなどしない。この構えでいれば、チャンスは必ずやってくると言うわけです。
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対抗できる根拠を説いてネバギバ
しかし、ここで孫権は、あくまで煽られて曹操と戦うと言っただけです。時間が経過すれば冷静になり、でも、あの兵力差では勝てないよなと弱気になるのは確実でした。そこで、ネバギバ孔明は、確かに魏と呉には兵力差があるけど、曹操にも弱点があり、実際は五分五分だと孫権に説明します。
「劉備は破れたとはいえ、戻って来た兵士と関羽の水軍で1万人はいます。また、江夏の太守である劉琦がまとめた兵力も1万人を降りません。それに曹操の軍勢は、最近、遠征をして荊州を落としたばかりで疲労していて、本来の力を発揮する事が出来ません。
そして、荊州の民は曹操の力に怯えて従うのみで、心から服しているのではなく、曹操は大軍といえど、その兵力に見合う力は持っていないのです。
逆に、呉の兵力は建国以来付き従う、猛将と国を守る愛国心に満ちた精兵数万。これは、あたかも硬い石で紙を破るようなもので、勝利は疑いありません。
曹操は、この戦いに敗れれば、北に逃げるを得ず、荊州の勢力は後退します。その分だけ、呉の勢力は伸び勢力は均衡し、我々に有利になりましょう。これは、ピンチではなくチャンスなのです。ネバギバ!」
その後も色々ありますが、孫権は孔明のネバギバに心を動かされ、魯粛や周瑜のダメ押しもあり、曹操との戦いを決意し、見事に赤壁で勝利し生き残りました。
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