世の中には、徳という不思議な概念があります。
あの人は、そんなに才能があるようには見えないけど、何故か人に好かれる。
或いは仕事に恵まれるという事を人徳があるなどと言います。
三国志において、人徳の人と言えば、劉備(りゅうび)ですが、日本にも、
そのあり余る程の徳の力で、維新を実現させた大人物がいます。
それが西郷隆盛(さいごう・たかもり)です。
そして、劉備と西郷には、1700年の時の隔たりを越えた
徳という共通点があります。
この記事の目次
みずから謀らないで生きた、劉備と西郷隆盛
西郷も劉備も、弱肉強食の動乱の時代を生きてきた人物です。
本来なら、居並ぶライバルを蹴散らして、権力の高みを目指すのが
通常の生き方なんでしょうが、二人はまるで違いました。
西郷は、自ら、何かを提案するという事がなく、
そういう事は部下に任せて、その部下が力を発揮できるような
環境造りに腐心しました。
そして、手柄を立てても、部下の物とし、逆に失敗すると
自分がその責任を被ったのです。
自然に西郷の下には、有能な人材があつまり、それが結果として、
西郷の名声を大きくしていったのです。
劉備も部下任せ
一方の劉備も、漢室の再興という大目的は最期まで、
降ろしませんでしたが、そこまでのビジョンとなると、
ぼんやりとしか持っていませんでした。
ただ、自分を必要とする群雄の下で、
手柄を立てたり敗走したりしていただけで
名前ばかりが上がるけど実力が伴いませんでした。
それが孔明という逸材を得るや、全てを彼に任せて、
巴蜀の地を得て、三国の一国を得るという奇跡の逆転劇を達成させます。
西郷も劉備も、自分で何かをするという事なく、
運命に全てを委ねている間にとてつもない大事業を成し遂げていくのです。
動けば自然に運命が回転する不思議な魅力
西郷は、一種独特の勘の持ち主でした。
1868年、鳥羽伏見の戦いで、敗れた徳川慶喜は、蟄居謹慎しますが、
江戸には、なおも数万の幕府軍が控えて士気旺盛です。
官軍になった、薩摩がどうやって、江戸を落そうかと議論している頃、
西郷はフイと陣を出て、江戸に向かって歩き出しました。
すると、総司令官の西郷が江戸に向かったというので、薩摩の将兵は、
次々に、それについていき、五百名程が先発隊になります。
これが、東征軍の始まりで、幕府方は、準備が整わない間に、
西郷が軍を進めたので虚を突かれて大慌てになります。
結局、降伏を主張する勝海舟が幕府の責任者となり、
西郷と談判し、江戸城は無血開城して、徳川幕府は瓦解しました。
劉備にも備わっている人望力
劉備も、主要な戦いは、大半負けているという戦が下手な人です。
本来なら、「こんな弱い大将、願い下げ」と言って、
皆、その下を去りそうなんですが、まるで反対で、愛想を尽かす、
武将もいなければ、兵士は募集を掛ける度に集まってきました。
このような英雄は三国志の世界でも劉備のみでしょう。
荊州の劉表(りゅうひょう)を頼る時にも、趙雲(ちょううん)や、
引きつけられるように参入していき、負けながら勢力が
充実するという不思議な状態が起きていくのです。
いざという時には、泥も被る非情な決断
西郷も、劉備も一見、手荒な事や、
泥を被るような事はしないように見えますが、
土壇場では、非情な側面を見せる強さもあります。
劉備は、劉璋(りゅうしょう)の蜀を獲ろうとして、
計画が露見すると、
「これから荊州に帰るから別れの挨拶をしたい」と
涪水城の楊懐と高沛を騙して宴会を開き、
そこで、彼等が自分を騙し討ちにしようとしたと濡れ衣を着せて
殺してしまい、その兵力と城を奪った事があります。
本来ならば、このような汚いやりかたを嫌う劉備ですが、
人生の最期のチャンスとして、どうしても劉璋から蜀を奪うと
決断して、躊躇なく泥を被ったのです。
一方の西郷も、徳川慶喜が大政奉還を実現して、天皇に政治を返した
時には、どうあっても武力で徳川を打倒すると画策し、
江戸の薩摩藩士を使って、放火や強盗などのテロを引き起こし、
我慢できなくなった幕府が兵を挙げたのを見て、武力討伐に踏み切り
鳥羽伏見の戦いを引き起こしました。
両者とも、これが私利私欲というよりは、世の中を良くする為に、
敢えて、「悪」と言われても断行するという決意があったのです。
周囲の評判を気にして、大事を行えないというような事は、
彼等には、ありませんでした。
最期は「理」よりも「情」に死んだ西郷と劉備
西郷は明治政府の成立後、征韓論を巡って、同郷の大久保利通と
反目して、新政府を去ります。
この時に西郷に同調して政府を去った人々は600名にも上りました。
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