77話:老将黄蓋、身体を痛めつけて曹操を欺く

2015年4月30日


親友に裏切られた曹操

 

曹操(そうそう)は凹んでいました、、

周瑜(しゅうゆ)の計略にハマり、水軍を指揮できる蔡瑁(さいぼう)と

張允(ちょういん)を処刑した上に、今度は孔明(こうめい)に欺かれ

矢を10万本タダでくれてしまったのです。

 

前回記事:76話:孔明による材料も手間もなく矢を造る方法

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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曹操軍の参謀が荀攸が動く

 

意気消沈する曹操に、参謀の荀攸(じゅんゆう)が進言します。

 

 

荀攸:「スパイを送り込もうとしても無理なら我が軍から偽装降伏をさせましょう」

 

 

曹操は、この提案を入れて、蔡瑁の弟の

蔡和(さいわ)と蔡仲(さいちゅう)を偽装降伏させます。

 

蔡和と蔡仲は、いわれた通り呉に投降します。

 

 

「曹操は無実の罪で兄を殺しました、このような横暴な人間には

仕えられない、せめて仇を討たせて欲しい」

 

 

蔡和と蔡仲はこのように降伏の理由を説明しました。

 



周瑜は偽装降伏を見抜く

周瑜 美男子

 

周瑜は、この二人の偽装降伏をあっさりと見抜きますが、

計略を仕掛けるのに使えそうだと考えて騙されたフリをします。

 

 

その上で、周瑜は老将の黄蓋(こうがい)を内密に呼び寄せて相談しました。

 

「呉を救う為に黄蓋殿に一肌脱いでもらいたいが、

承知してもらえまいか?」

 

 

黄蓋:「この老いぼれに奉公が出来るならなんなりと、、」

 

 

黄蓋は、周瑜の頼みに即座に応じました。

 

 

周瑜:「実は、曹操の本隊に大打撃を与える為に、

あなたに偽装降伏をしてもらいたい、、

 

次の軍義で私が意見を述べるので、黄蓋殿は

それをわざと批判して下さい、、

私はそれを聴いた上で怒り、あなたを斬れというが

恐らく重臣はこぞってこれに反対するでしょう。

 

そうしたら、私はあなたに百叩きの刑罰を与えます。

 

心苦しいが、黄蓋殿には刑罰を甘んじて受けてもらいたい、、

 

曹操から最近偽装降伏した蔡和と蔡仲をその場に

同席させ、その刑罰を見せたいのです。

 

 

そうすれば、連中は黄蓋殿の降伏を本心からであると

曹操に報告するでしょう、、

 

 

その上で黄蓋殿が曹操に周瑜への恨みから

降伏すると言えば、疑り深い曹操も警戒心を解きます」

 

 

黄蓋は、周瑜の計略を承諾しました。

 

呉軍の軍議が行われる

孫呉(孫権黄蓋陸孫周瑜周泰) 

 

さて、暫くすると、周瑜は軍義を開き兵糧3カ月分を持って

曹操軍に備えると宣言します。

 

 

すると打ち合わせ通り黄蓋は、真っ向から反論を唱えます。

 

 

黄蓋:「たった3カ月の兵糧で何が出来ようかお笑い草だ、、

こんな事ならば曹操に降伏すべきであったわ」

 

 

周瑜は激怒して剣を抜き放ちます。

 

 

「無礼者!!全権を託された私に意見するか!!

すでに曹操に和を請うなと呉君からは厳命されている筈だぞ」

 

 

しかし黄蓋は鼻で笑って言いかえします。

 

 

「何が全権か、若僧めが!ただ呉君と親しい事をカサにきて

好き勝手を抜かすな」

 

 

「おのれ、、もはや聞き捨てならぬ、そこに直れ斬り捨ててやる」

 

しかし、慌てた群臣は、総出で周瑜を止めに入ります。

 

 

群臣:「お待ちください、黄蓋殿は、孫堅様の時代からの忠臣、、

何とぞ死罪だけはお許しを!!」

 

 

「ううむ、、、仕方が無い、おいぼれの戯言と思って死は免じてやるが、

このままでは軍規が維持できぬ、

懲罰官、こやつを鞭打ち100回の刑に処せ」

 

 

再び、群臣は周瑜を止めますが、今度は周瑜も許しません。

黄蓋は、衣服を脱がされ、容赦なく鞭で叩かれます。

 

うめき声と共に、ほどなく皮膚が破れて血が飛び散ります。

 

 

「もうおやめ下さい!」という群臣の声を無視して周瑜は、

黄蓋が気絶するまで鞭を打つのを止めません。

 

黄蓋、遂に気絶する

黄蓋 奮闘

 

辺りは、血しぶきで赤く染まり、強情な黄蓋は100回の

鞭に耐え抜き、最後の100回目で気絶します。

 

 

周瑜:「もうよかろう、、部屋に連れていき手当してやれ!」

 

 

黄蓋は、引きずられるように部屋から出されました。

 

蔡和と蔡仲は、そのショッキングな場面の様子の

一部始終を曹操に報告しました。

 

 

周瑜は、夜陰に乗じてこっそりと黄蓋の病室を訪ねます。

 

「御苦労さまでありました、、これで曹操を欺く

下準備が出来ました、、」

 

 

「なんの、これしき、、呉を救えるなら大した事ではありませぬ」

 

黄蓋は、苦痛に呻きながらも答えます。

 

 

ですが、これだけでは、まだ曹操軍を壊滅させるには不十分です。

周瑜は更に新たな計略を仕掛けるのでした。

 

 

この苦肉の計は、三国志演義にのみ登場するフィクションですが、

中国の歴史上には、似たような実在する苦肉の計があります。

 

過去の歴史にも似たような苦肉の計

 

春秋戦国時代の鄭(てい)の武公(ぶこう)は、胡(こ)を討伐する際に、

わざと胡の姫と結婚して姻戚関係を結びます。

 

 

その後、関其思(かん・そし)という家臣が胡を討とうと進言すると

武公は怒りこれを殺害しました。

 

 

胡は、これを見てすっかり武公を信用して警戒を解きます。

すると武公は、電光石火の勢いで胡を攻めて滅ぼしました。

 

 

もちろん、関其思は、納得づくで殺害されたのであり、

最初から、胡を油断させる芝居だったのです。

 

計略の為には人命も奪うとは、乱世とはいえ恐ろしい事です。

 

 

耳で聞いて覚える三国志

 

次回記事:78話:龐統初登場、連環の計発動!

 

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どうも、kawausoでーす、好きな食べ物はサーモンです。
歴史ライターとして、仕事をし紙の本を出して大当たりし印税で食べるのが夢です。

もちろん、食べるのはサーモンです。

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台湾より南、フィリピンよりは北の南の島出身、「はじめての三国志」の創業メンバーで古すぎる株。もう、葉っぱがボロボロなので抜く事は困難。本当は三国志より幕末が好きというのは公然のヒミツ。三国志は正史から入ったので、実は演義を書く方がずっと神経を使う天邪鬼。

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