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鄒氏|その美貌ゆえに破滅した悲劇の女性

2015年6月8日


 

13人の妻達(曹操)

 

三国志、随一の英雄、曹操(そうそう)には13名の妻がいましたが、女好きの彼は、妻以外の女性とも関係を持ちました。その最たる女性が、鄒(すう)氏であり、また、赤壁以前で曹操が絶対絶命のピンチに陥った女性でもあります。

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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鄒氏の人生

鄒氏

 

鄒氏の夫は、張済(ちょうさい)と言いました、彼は暴君であった董卓の重臣でしたが、呂布(りょふ)が王允(おういん)と結託して董卓(とうたく)を暗殺すると、董卓の遺臣である、李傕(りかく)、郭汜(かくし)、樊調(はんちょう)、王方(おうほう)、李蒙(りもう)と長安に攻めのぼり、王允を殺害して、再び、献帝(けんてい)を後ろ盾にして恐怖政治を敷きます。ところが、献帝を長安から引き離そうとした董承(とうしょう)の計略で、献帝を手放すと求心力が大きく低下します。張済は、荊州の北部で山賊をするまでに落ちぶれ、最期には流れ矢に当り、戦死しました。行き場を失った、鄒氏は、張済の甥、張繍(ちょうしゅう)の元に行きます。張繍は、美しい鄒氏に惚れこんで、関係を迫ったと伝わりますが、鄒氏は、夫の喪中だからという理由で断ったと言われています。

 

張繍の支配地に曹操がやってくる

曹操躍進

やがて張繍の支配地に、曹操(そうそう)がやってきます。張繍は、軍師の賈詡(かく)に善後策を聴くと、今は曹操に降伏した方が得策としたので、張繍は曹操に降伏しました。ところが、曹操の関心は、領土だけでなく、鄒氏にありました。曹操は、強引に鄒氏の居場所を捜しあてて、関係を持ちます。

 

女好きの曹操は鄒氏に溺れる

曹操女性の敵2 ゆるキャラ

 

ここから、曹操は鄒氏の魅力の虜になり、政務を放棄して、毎日、毎日、鄒氏と愛し合うようになります。曹操孟徳、42歳、不惑を超えてからの未亡人とのロマンスです。しかし、これを面白くないと思う人間がいました、そう張繍です、いつかは、モノにしようと思っていた鄒氏を曹操が横から、かっさらったのです。また、曹操も張繍が鄒氏に入れこんでいる事を知っていて、これを先手を打って殺そうともしていたといいます。これで張繍は完全に逆上します。

 

張繍は賈詡に相談をする

賈詡

 

張繍は、賈詡を呼んで曹操暗殺を相談し、賈詡は策を授けました。一方の曹操は、息子の曹昂(そうこう)や、甥の曹安民(そうあんみん)が、そろそろ、政務に戻るように進言しても聞く耳を持ちません。完全に鄒氏に骨抜きになっていて、何事も耳に入らないのです。張繍は、曹操の居城の四方に伏兵を配置して、城門を守る典韋(てんい)には、酒を振る舞って酔わせました。曹操がこの調子ですから、一部を除いて部下も油断しきり、周囲に張繍の伏兵がいるなど、まるで考えもしません。

 

張繍、遂に曹操の暗殺計画を実行する

張繍

 

その夜、曹操が鄒氏と共に寝静まった頃を見計らい、張繍は、伏兵を四方から城に襲いかからせました。火矢が飛び、油断した曹操の兵が次々に斬られていきます。曹操のボディーガードの悪来典韋だけは、泥酔して、武器がない状態にも関わらず、敵の武器を奪い、奮戦しますが、離れた場所から、矢を雨のように降らされて絶命します。

 

曹操には服従しているが内心キレている張繍

 

「曹操を殺せーーー!!!」絶叫する張繍の兵に異変を察知した曹昂は、ためらう事なく、父曹操と鄒氏が同床している寝室に飛び込みます。裸の曹操は、息子のただならぬ表情を見てようやく夢から覚めます。

 

賈詡と曹操と張繍

 

「しまった、張繍に謀られたか」

 

暫く呆然とする裸の曹操に曹昂は、自分の衣服を渡して言います。

 

「父上は、私の馬でお逃げ下さい、私は父上になりすまし敵を引きつけて時間を稼ぎます!!」

 

「曹昂、、しかし、お前はどうやって・・」

 

「この世に曹操孟徳は、ただ一人、父上は死んではなりません」

 

曹昂は父親・曹操になりすます

曹昂(曹昴)

 

曹昂は、曹操を寝室から追い出すと、曹操の着物を着て、冠を被り、曹操になりすまします。寝室には裸で事態が飲みこめずに震えている鄒氏が居ました。蝋燭の明かりで照らされたその肌は、男を狂わせるに充分な怪しい魅力を放って、艶めかしく揺れています。

 

(この女を生かしておいてはいけない・・)

自らも鄒氏に劣情を抱いた曹昂は、本能的に直感します。

 

曹昂は鄒氏を殺害

曹昂(曹昴)

 

「あなたに恨みはない、だが、父上の為に、我が曹家の天下の為にあなたには、死んでもらう!!!」

 

曹昂は、父の剣を抜くと、恐怖で顔を引きつらせた鄒氏の首を刎ねてしまいます。

 

「曹孟徳は、ここにいるぞ!!張繍の下郎め!ここまで来い、成敗してくれるわ!!」

 

曹昂は、剣を奮って躍りあがり、張繍の兵へと突っ込んでいきました。鄒氏は、ここで人生の幕を降ろします。亨年は分かっていませんが、恐らく30代だったのでしょう。

 

鄒氏は曹昂に切られていなかった説

 

一説には、鄒氏は曹昂には斬られずに生き残り、張繍に、敵に体を売った女として処刑されたとも言われます。しかし、鄒氏が一体、何をしたというのでしょう?

 

自ら、曹操を騙したわけでもなく、張繍に通じていたわけでもない、ただ、女として夫を愛し、愛人として曹操を愛したそれだけです。鄒氏はただ、その美貌故に人生を狂わせられ、殺されてしまったのでした。今日も、三国志をご馳走様でした。

 

 

 

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kawauso

台湾より南、フィリピンよりは北の南の島出身、「はじめての三国志」の創業メンバーで古すぎる株。もう、葉っぱがボロボロなので抜く事は困難。本当は三国志より幕末が好きというのは公然のヒミツ。三国志は正史から入ったので、実は演義を書く方がずっと神経を使う天邪鬼。

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