鄒氏|その美貌ゆえに破滅した悲劇の女性


13人の妻達(曹操)

 

三国志、随一の英雄、曹操(そうそう)には13名の妻がいましたが、女好きの彼は、妻以外の女性とも関係を持ちました。その最たる女性が、鄒(すう)氏であり、また、赤壁以前で曹操が絶対絶命のピンチに陥った女性でもあります。


鄒氏の人生

鄒氏

 

鄒氏の夫は、張済(ちょうさい)と言いました、彼は暴君であった董卓の重臣でしたが、呂布(りょふ)が王允(おういん)と結託して董卓(とうたく)を暗殺すると、董卓の遺臣である、李傕(りかく)、郭汜(かくし)、樊調(はんちょう)、王方(おうほう)、李蒙(りもう)と長安に攻めのぼり、王允を殺害して、再び、献帝(けんてい)を後ろ盾にして恐怖政治を敷きます。ところが、献帝を長安から引き離そうとした董承(とうしょう)の計略で、献帝を手放すと求心力が大きく低下します。張済は、荊州の北部で山賊をするまでに落ちぶれ、最期には流れ矢に当り、戦死しました。行き場を失った、鄒氏は、張済の甥、張繍(ちょうしゅう)の元に行きます。張繍は、美しい鄒氏に惚れこんで、関係を迫ったと伝わりますが、鄒氏は、夫の喪中だからという理由で断ったと言われています。


張繍の支配地に曹操がやってくる

曹操躍進

やがて張繍の支配地に、曹操(そうそう)がやってきます。張繍は、軍師の賈詡(かく)に善後策を聴くと、今は曹操に降伏した方が得策としたので、張繍は曹操に降伏しました。ところが、曹操の関心は、領土だけでなく、鄒氏にありました。曹操は、強引に鄒氏の居場所を捜しあてて、関係を持ちます。


女好きの曹操は鄒氏に溺れる

曹操女性の敵2 ゆるキャラ

 

ここから、曹操は鄒氏の魅力の虜になり、政務を放棄して、毎日、毎日、鄒氏と愛し合うようになります。曹操孟徳、42歳、不惑を超えてからの未亡人とのロマンスです。しかし、これを面白くないと思う人間がいました、そう張繍です、いつかは、モノにしようと思っていた鄒氏を曹操が横から、かっさらったのです。また、曹操も張繍が鄒氏に入れこんでいる事を知っていて、これを先手を打って殺そうともしていたといいます。これで張繍は完全に逆上します。


張繍は賈詡に相談をする

賈詡

 

張繍は、賈詡を呼んで曹操暗殺を相談し、賈詡は策を授けました。一方の曹操は、息子の曹昂(そうこう)や、甥の曹安民(そうあんみん)が、そろそろ、政務に戻るように進言しても聞く耳を持ちません。完全に鄒氏に骨抜きになっていて、何事も耳に入らないのです。張繍は、曹操の居城の四方に伏兵を配置して、城門を守る典韋(てんい)には、酒を振る舞って酔わせました。曹操がこの調子ですから、一部を除いて部下も油断しきり、周囲に張繍の伏兵がいるなど、まるで考えもしません。

 

張繍、遂に曹操の暗殺計画を実行する

張繍

 

その夜、曹操が鄒氏と共に寝静まった頃を見計らい、張繍は、伏兵を四方から城に襲いかからせました。火矢が飛び、油断した曹操の兵が次々に斬られていきます。曹操のボディーガードの悪来典韋だけは、泥酔して、武器がない状態にも関わらず、敵の武器を奪い、奮戦しますが、離れた場所から、矢を雨のように降らされて絶命します。

 

曹操には服従しているが内心キレている張繍

 

「曹操を殺せーーー!!!」絶叫する張繍の兵に異変を察知した曹昂は、ためらう事なく、父曹操と鄒氏が同床している寝室に飛び込みます。裸の曹操は、息子のただならぬ表情を見てようやく夢から覚めます。

 

賈詡と曹操と張繍

 

「しまった、張繍に謀られたか」

 

暫く呆然とする裸の曹操に曹昂は、自分の衣服を渡して言います。

 

「父上は、私の馬でお逃げ下さい、私は父上になりすまし敵を引きつけて時間を稼ぎます!!」

 

「曹昂、、しかし、お前はどうやって・・」

 

「この世に曹操孟徳は、ただ一人、父上は死んではなりません」

 

曹昂は父親・曹操になりすます

曹昂(曹昴)

 

曹昂は、曹操を寝室から追い出すと、曹操の着物を着て、冠を被り、曹操になりすまします。寝室には裸で事態が飲みこめずに震えている鄒氏が居ました。蝋燭の明かりで照らされたその肌は、男を狂わせるに充分な怪しい魅力を放って、艶めかしく揺れています。

 

(この女を生かしておいてはいけない・・)

自らも鄒氏に劣情を抱いた曹昂は、本能的に直感します。

 

曹昂は鄒氏を殺害

曹昂(曹昴)

 

「あなたに恨みはない、だが、父上の為に、我が曹家の天下の為にあなたには、死んでもらう!!!」

 

曹昂は、父の剣を抜くと、恐怖で顔を引きつらせた鄒氏の首を刎ねてしまいます。

 

「曹孟徳は、ここにいるぞ!!張繍の下郎め!ここまで来い、成敗してくれるわ!!」

 

曹昂は、剣を奮って躍りあがり、張繍の兵へと突っ込んでいきました。鄒氏は、ここで人生の幕を降ろします。亨年は分かっていませんが、恐らく30代だったのでしょう。

 

鄒氏は曹昂に切られていなかった説

 

一説には、鄒氏は曹昂には斬られずに生き残り、張繍に、敵に体を売った女として処刑されたとも言われます。しかし、鄒氏が一体、何をしたというのでしょう?

 

自ら、曹操を騙したわけでもなく、張繍に通じていたわけでもない、ただ、女として夫を愛し、愛人として曹操を愛したそれだけです。鄒氏はただ、その美貌故に人生を狂わせられ、殺されてしまったのでした。今日も、三国志をご馳走様でした。

 

 

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